今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

招き猫が来たTENAX Ⅱ/ テナックスⅡ

2012年08月30日 18時28分46秒 | インポート

Dscf024055 珍しいカメラが来ましたね。ツァイスイコンのTENAXⅡで、ゾナー2/4cmが付いていますがレンズ交換の出来るComperRapidを搭載したレンズシャッターカメラです。製造年を調べると1938年となっていますが、昭和で言えば13年ですよ。日本では日中戦争が泥沼に嵌って戦時体制に移行した暗い時代です。それにしては、ダイカスト本体などは非常にがっちりとした作りで、当時からドイツの工作力は素晴らしいです。しかし、内部の巻上げ機構やファインダーの作りなどは、普及機クラスと感じます。外観の特徴は、前面にある巻上げレバーが招き猫のようで、非常にユーモラスです。ドイツでは招き猫なんてないでしょうけどね。全体のメンテナンスですけど、ファインダーの前面保護ガラスの接着はずれなどをご指摘頂いていますが、それよりも、巻上げのフィーリングが非常に重く、ガリガリとして感触で、レバーも完全に復帰しない時があります。で、分解しています。

Dscf024115 巻上げが重い違和感の原因はここです。多少設計に無理があって、潤滑が切れた状態で作動を続けると各部の動きがギグシャグとスムーズで無くなって、急速に磨耗して行きます。ギヤの当たり面の磨耗も進んでいますが、カシメと留めているリペットがグラグラな状態です。

Dscf024448 リベット軸がグラグラな状態なので作動に負荷が掛かって地板が変形しているのがお分かりでしょうか?これによっても、作動に不具合の原因となっています。歯車の下側当り面が細っているのに注意。本当は、リベットを外して歯車を上下逆に使った方が良いのですが、リベットの強度も落ちるので今回はこのままで使用します。

Dscf024284 地板の変形を修正して、リベット軸を再カシメしてあります。その他、シャッターのメンテナンス注油や作動部のグリスUPをしてあります。トップカバーを外すと意外に簡単な作りでしょ。ファインダーもプリズム式ではなくて、前面は只の保護ガラスです。(レンズではありません)セルフタイマーのレバーを上方の上げると、シャッター右横の板バネを介してチャージレバーと連動します。

Dscf024664 別の角度から。ファインダーは清掃のうえ、前面保護ガラスを接着してあります。前板を取り付けて、巻上げレバー他、各レバー関係の取付けをしてあります。レンズ交換式のため、マウント部の組立は非常にやりにくい構造ですね。ヤレヤレです。その他モルトなどを交換します。

Dscf024776 で、こんな感じね。ドイツに招き猫がいるわけはないけど、しかし、いい得て妙ですね。右手を上げた招き猫もあるようです。巻上げは、ギヤの磨耗がありますので、スムーズとは行きませんが、完全に復帰しないということは無くなって、まぁ、こんなものでしょう。フォーマットは24X24の正方形です。程度の良い個体はけっこうな価格のようですね。うちの招き猫は全然ご利益はないですけど・・

Dscf024530 画像を追加しておきます。①

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同じ歳のセイコースーパー

2012年08月26日 23時58分12秒 | インポート

Dscf024051 オークションでほぼ同じ歳のセイコースーパーのジャンクを入手しましたよ。1954-4月製と、正確には時計の方が4ヶ月年下ですが、すでにアンティークの仲間入りをしており、自身も永く生きて来たなと感じます。この頃はケースが大型化する少し前で、直径30mm程度の好ましいボーイズサイズです。状態は不動。文字盤も劣化が進んでいます。香箱(画像右下)の軸が腐食ぎみですが、その他は、ひどい磨耗などはないようです。全て、超音波洗浄をして組み立てます。

Dscf024164 地板に巻上げ機構を組んでから二番車、香箱車を乗せて行きます。今回は香箱軸はそのまま使用してみます。

Dscf024278 輪列とガンギ車を組んで、ザラ回しでスムーズに作動するかを見ます。特に問題は無いですね。三角形の受けの目玉の部分が石が入っていませんね。この機械は10石と15石があったようで、残念ながら、この個体は普及版の10石のようです。

Dscf024355 機械は完成しました。ストレス無く作動しているようですが、ちょっと遅れ気味のようです。香箱などのフリクションが大きいのか、ひげゼンマイの調整が悪いのか、ゆっくり調整をして行きます。ケースはラグも小さいですから、小キズの研磨は容易で助かります。荒研磨をした後、最近は研磨剤入りのフェルトで磨きます。

Dscf024522 完成した機械をケースに収めます。結構ヤレた文字盤ですね。針を磨きましたが、3本の針はすべてバラバラのものだと思います。短針と長針は形状が微妙に異なり、秒針は金の色が合いません。過去の修理時に不良の針を適当なものに変えられたのでしょう。


残暑がきついねPEN-S3.5

2012年08月17日 11時51分01秒 | インポート

Dscf023299 お盆明けで仕事が始まっている方もいらっしゃると思います。私は検査のため連日通院していましたので、この残暑は堪えました。最近はO/Hのご依頼も少なめなのですが、帰りに新宿の中古屋さんを覗いてみました。カメラの玉数は豊富で相場は下がり気味のような印象を受けました。フィルム愛好者の減少でカメラがダブついているのでしょう。PEN-FTなども安くなっていますが、きれいなブラックなどは高値のままです。マニアのコレクターズアイテムによって相場に開きがあるようです。で、私はヨドバシカメラで時計の金属ベルトを購入して来ました。夏場のキングセイコー用としてですが、やはり弓カンが付かないとみっともないので、付属しているベルトを選びました。帰って確認すると・・取付け幅は18mmのはずですが、2個のうち1個が19mmです。製造時の入れ間違いですが、バンビはしっかりしてよ。後日正規のものを送ってもらいました。しかし、時計によって弓カンの形状は異なりますので、そのままでは取り付きません。右がオリジナルで左が合うように削ったもの。加工の困難なステンレス材を正確な円弧で削ることは意外に難しいのです。店員さんも「まず合いませんよ」と言ってましたが、普通はそうなんでしょうね。

Dscf023322 時計に合わせて微調整をしながら削って行きます。時計との接触部分がきついとケースに傷をつけますが、隙間が大きくても間が抜けてみっともない。

Dscf023477 で、こんな具合に取り付いています。まぁ、セイコー純正とそれほど見栄えは違わないでしょ。純正の中古はオークションで8.000円ぐらいの高値ですから手が出ません。しかし、昨日ビックカメラに寄って見ましたら、なんと600円も安く売っていました。失敗しましたね。

Dscf023464 では本題です。お問合せメールでフィルムレールの腐食を気にされていた個体ですが、それだけではないような気もしますね。一般的に3.5は比較的程度は良いのですが、この個体は屋外に放置されていたような印象です。シボ革を貼り替えてボディーを筆でタッチアップ塗りをしているかぁ・・もうちょっと何とかならないものですかね? レンズ部の劣化状態が、他の部分よりは進んでいるようで、別の個体からの移植かもしれません。当然内部も分解を受けています。

Dscf0235121 トップカバーのメッキ腐食で黒く劣化していますね。「リペイントで直りますか?」とのご質問ですが、塗装ではないので出来ないのです。

Dscf023677 内部です。光って見にくいですが、フィルムレールが腐食しています。シャッター羽根も錆びていますね。その他、ファインダーの前面保護ガラスの接着脱落とか、いろいろありそうな個体ですね。暑いのになぁ・・・

Dscf023856 シャッター内部やカム板なども油汚れがひどいですね。オリジナルでないシボ革を剥離しますが、寸法が足りずにモザイクに貼り込んであります。本体の塗装の状態をよ~く覚えておいてくださいよ。

Dscf023994 接着は両面テープではない、接着剤ではあるのですが、非常に厚く乾燥硬化によるヤセがないですね。溶剤を着けると、瞬間的に軟化しますが、すぐに固まってしまいます。厄介だなぁ。。全てクリーニングするしかありません。

Dscf024077 両方の吊り環部に落下によるへこみがあります。一度、吊り環を外して平面に修正をしておきます。

Dscf024111 ここで問題発生です。油汚れのボディーをそのまま組むことは出来ませんので、私のところでは全て洗浄をしています。で、洗浄すると・・・あらら、水に溶けてしまいましたよ。焼付でなく通常塗料であっても、水に溶ける塗料を私は知りません。(裏蓋も)何なんでしょうね。どちらにしても、しょうもない加工です。さて、このまま組むか? はたまた、リペイントをするか? オーナーさんのお考えです。

Dscf024326 オークション物だそうです。ウォッチをされていた方がいらっしゃるのでは? 「光学系とメカは問題なし」とのことだったようです。で、オーナーさんが一晩考えて塗装部分のリペイントをご希望されました。では、出来るだけの作業をしたいと思います。シボ革を剥離してみると・・接着力は強くない(パラッと剥れる)のに、接着剤自体が厚く剥離が非常に困難です。何故か、中央に紙が貼ってありますね。意味が分からない・・

Dscf024458 他の部分も紙が貼ってありますね。母材の錆とオリジナルのの糊が残った上にこの接着剤です。あ~、ため息が出ますね。

Dscf024561 裏蓋を剥離研磨してみると・・底部上のリブの部分が激しく錆びていますね。全て取り除くことは出来ません。部分的なリペイントのため、底蓋部分は分離せず、マスキングによって塗装をします。

Dscf024242 昨日は、塗装の剥離と下地調整で終ってしまいましたよ。そこで夜はバリス環式のベルトを自作しようと紙で寸法を検討しています。生憎、左の21mm幅の尾錠の手持ちがなかったので、19mmを使って、少し小ぶりの時計用とします。今回はヌメ革で作ってみる予定です。その前に、右の新10Bを治さなければなりませんが・・

Dscf024249 で、日中は気温が上がるので、今朝から準備をして塗装を行いました。元々、ダイカストの腐食や裏蓋の錆が激しい個体でしたので、修正をしながらでしたが、まぁまぁでしょ。但し、錆で深く侵食されている部分は仕方ありません。

Dscf024464 組立経過は省略します。O/Hを終えたシャッターを組み込んでいます。全体的にスピードは遅かったですね。シボ革ですが、元のものでは可哀想なので純正に戻しておきます。

Dscf024568 シボ革を貼ったところ。

Dscf024655 レンズは確かに曇りやカビはないのですが、前玉にはかなりキズが付いています。それより、絞りリングの内側、フィルター装着のネジ部分が激しく腐食しています。クリーニングをして組み込みます。

Dscf024758 清掃済みのファインダーブロックをトップカバーに取り付けて本体とドッキングします。トップカバーや巻き戻しダイヤルなどはかなり状態は良くありませんが、まぁ、何とか見られるようになったと思います。シャッターは快調です。私としては、どのペンも救って差し上げたいのですが、極端に程度の悪い個体は修復に膨大な工数が掛かってなお且つ、元々程度の良い個体には敵いません。程度の良い個体を所有したい方は、元の状態が良いものを選ぶべきです。オーナーさんも余計な費用が掛かりますし、私としても、工数が通常の倍掛かったからと言って、倍の工賃はご請求できませんので、だれの得にもなりません。http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/

Dscf022515 相変わらずきびしい残暑が続いていますね。体力が落ちている体には堪えます。次にも同じオーナーさんからFVとFTが来ていますので、このまま続けますね。とは言ったものの、暑さで中々手がつきません。YouTubeで、PEN-Sの時代の映画音楽などを聴いています。1963年はジェームズボンドの007危機一発(ロシアより愛をこめて)が良かったなぁ。後年のボンド映画より大人っぽくて、当時小学生の私には、ちょっと刺激が強かったです。中でも、ボンドガールのダニエラビアンキは「世の中にこんなきれいな人がいるんだ」と思いました。今でも一番好きな女優さんです。マットモンローが歌うテーマ曲の「ロシアより愛をこめて」を聴くと、当時を思い出します。あの頃はソ連だったので、「ロシア」ってどこ?と思いましたけどね。

ついでに皆さんにお聞きするのですが、最近、face bookから、私に返答を求めている人がいます。とメールが入るのですが、私はface bookなんてやってないし、どうしたら良いのでしょうね? ツイッターなどを始めてみようかとか思っているこの頃です。

で、このFV #1175XXは、過去に光学系の清掃程度を受けているようです。まず、気になるのは、巻上げレバーがトップカバーに接触しているということです。ダンパーストッパーがへたっている場合もありますが、この個体は、レバーの先端(親指が掛かる部分)が内側に曲がっているのです。FT(FV)をレンズを上に向けて置かないでと言っている理由です。

Dscf022526_2 基本的に問題のない個体ですから、特に書くことも無いと思います。フィルムレールの腐食をご心配されていらっしゃいましたが、この程度は全く問題はありません。現存の個体の殆どに発生しています。

Dscf022777 この頃は、変更前のユニットで構成されている頃です。シャッターは詰まるところこれだけです。ジャパンホビーツールさんのオイルなどは有用です。

Dscf022986_3 巻上げレバーのストッパーがへたり気味ですね。チューブ状の硬質ゴムをカシメて作られていますので、簡単には交換が出来ません。(交換することを考慮していません)全反射ミラーは腐食が発生していますが、中央部は腐食を逃れていますので、このまま再使用します。セルフタイマーは変更前のユニット。駒数板関係は変更後ですので、接眼プリズム前のルーペと、この部分が一番早く変更を受けたことが分かります。

Dscf023037 圧板には、拭き上げでは取れない線状の傷が2本あります。フィルムに影響を及ぼす危険性がありますので、研磨で仕上げておきます。

Dscf023133 次はPEN-FT#2246XXと中期頃の個体です。すでに分解していますが、外観もきれいで、中期頃の個体としてはコンディションは良好ですね。洗浄したダイカスト本体にモルトを貼って、スプロケット軸を組み立てるところから始めます。

Dscf023246 特に問題なところはありません。シャッターのメインスプリングは短い改良前のタイプですのでテンションは弱めです。スクリーン、プリズムの状態は、この頃の個体としてはコーティングも良好で満点です。

Dscf023443 ほぼ組み上がったところ。セルフタイマーのレバーがお辞儀をしている問題。調整範囲を超えているようです。

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これで調整範囲一杯です。まだレバーが水平より下がっていますね。稀にこのような個体を見ますが、セルフユニットのみ交換されていることもありますね。レバー自体は作りはラフなので、寸法的個体差で組み合わせによっては、このように調整が取れない事態となります。レバーの接触部の摩滅でもなりますが、それほど使う回数が多くはない部分なので考えにくいのです。

Dscf023755_2 結局のところ、今回は当方の在庫部品の中から、調整の取れるレバーと交換しています。(これだけラフなのです)で、本体は完成。この頃の個体の特徴で、巻上げは軽くスムーズです。付属の40mmは絞り羽根の復帰不良でした。40mmには多いトラブルです。フリクションが大きくなると、あんな細いバネ1本では制御できなくなります。

Dscf023996 で、全て完成です。PEN-S 3.5のコンディションは最悪のレベルでしたが、まぁ、見られるようになったでしょ。ご希望でレンズキャップを付けておきます。FV.FTはコンディションは良好でしたので、調子よく仕上がっています。FVに付属の25mmはピントリングガタにより、無限も外れていましたので調整をしてあります。


お盆休み中のPEN-W

2012年08月12日 22時41分07秒 | インポート

Dscf021556 ロンドンオリンピックも、まもなく終りますね。最終日は陸上競技の華、男子のマラソンですが、日本は中本選手が6位入賞で難コースとしては頑張りましたね。2大会ぶりの入賞とのことで、アフリカ勢の台頭は続くようです。東京大会の時は1位はエチオピアのアベベで2位はイギリスのヒートリー、3位が日本の円谷でしたが、2位で競技場に戻って来た時には円谷のすぐ後ろをヒートリーがつけて来る。「これはやられるな」と思ったら、バックストレッチで狙いすましたようにヒートリーがスパート。実況アナウンサーが「イギリスのヒートリーが追っている、ヒートリー追った円谷頑張れ」と連呼しましたが、すでに抜き返す力は無く、残念な3位入賞だった。しかし、円谷は本命の選手ではなかった。君原や寺沢が失速する中、若手の円谷が日本勢を救った。直後のインタビューで「後ろから来ているのが気が付きませんでしたか? 抜き返せませんでしたか?」と厳しい質問。夢遊病者のような状態で「なにも分からなかった」という意味の返事をしていたと記憶しています。しかし、円谷の活躍により、大会最終日に国立競技場に唯一日章旗が上がった。その後の国民の期待が大きい中、自らの命を立ったことは残念なことでしたね。今よりもっと国民のプレッシャーが大きかった時代ですからね。

で、世の中はお盆休みとのことで、帰省や行楽に出かけている方が多いのでしょうね。PENのO/Hご依頼も少なめです。そんな中、PEN-Wが来ています。入手されて間もないご様子ですが、いやぁ、こんな個体がありましたか? 塗装の劣化も少なく、疲労も無いし保管状態も良い。分解歴はありますが、過去のメンテナンスで良好を維持していると言うよりは、新品の時から劣化が少ないという感じですね。しかし、一見、良好に見えるシャッターは、Bで開いたまま止まってしまいます。スローガバナーの作動不良が原因です。

Dscf021699 トップカバーの状態もまずまずですね。ファインダーが曇っていますが、前面の保護ガラスは分離された形跡があります。(接着されていない)そこまでやったら対物レンズも分離して清掃すれば良いと思います。

Dscf021711 シャッターも特に問題は無いと思います。長期の保管で、シャッター羽根に赤錆が多く発生しています。

Dscf021885 2軸を組み立てています。リンケージ関係のクロメート処理もきれいなままです。

Dscf021935 こういう個体は、特に書くことも無いので苦労します。本体のモルトを貼ってダイヤルカバーを取りつけて、ほぼ組立完成。ファインダーも清掃、再接着をしてあります。

Dscf022165 清掃をしたファインダーをトップカバーに取り付けますが、分解歴のある個体は殆ど遮光カバーの古い接着剤がそのまま残っていて、それによって遮光カバーが密着していないものが多いですね。両方の接着面をきれいにしてから再接着をします。先端の「角」が曲がっていたり浮いていたりしている個体も目に付きますが、前面の保護ガラスの脱落を防いでいるのです。

Dscf022211 とい言うことで、特にハプニングも無く組立は終了しています。この個体のように、元々不具合の無い個体の作業は、作業前後との差を出しにくいのですが、巻上げ、シャッター及び絞りリングの作動フィーリングなど、官能性能に拘った作業を心がけています。それにしてもきれいな個体ですね。画像のように、ピントリングは∞位置まで繰り込むと彫刻文字が隠れるのが正規です。現代の製品であれば問題かも知れませんね。#1064XXでコパルでのシャッター完成とオリンパスでの製品完成が共に1964-11月という個体。

Dscf022322 で、この個体は別のPEN-W で、#1232XXとこちらの方がシリアル番号は後ですが、実際には上の個体よりは早く1964-9月の製造です。シリアル番号は必ず正数順ではありませんので覚えて置いてください。当方の在庫機ですが、PEN-Wが欲しいけど、中々出会えないという地方の方などにオーバーホールをした上でお譲りしたいと思います。上の個体の程度が良すぎたので、多少の見劣りはしますが、トップカバーなどは殆ど塗装が落ちているような個体もありますので、使用過程機としては標準的なコンディションだと思います。トップカバーの塗装は比較的きれいでしょ。吊環部に剥げがあります。ダイカスト本体の下側角に剥離があります。

Dscf022455 トップカバーに比べて裏蓋の底部分は剥離が多いです。外周が剥離しています。でも、この程度は普通ですよ。

Dscf022566 距離リングのローレツト部分のアルマイト剥離が目立ちます。永く保管している間に指の塩分で腐食が進んでしまったものです。この部分は、焼付塗装にてタッチアップ補修をする予定です。その他、メカ部分は全く問題の無い個体で、これからシャッターのオーバーホールに掛かります。お譲りする価格は決めておりませんが、PEN-Wは稀にしかご提供出来ませんので、ご希望の方は希望価格をメールにてご連絡ください。恐縮ですが、一番高く評価して頂いた方にお譲りしたいと思います。

tomytmzk@titan.ocn.ne.jp

Dscf022685 シャッターは全く疲労していませんでした。シャッター羽根もきれい。調子よく作動します。ターミナル接片の半田が脱落していましたので、再半田をしてあります。

Dscf022761 メカに不具合はありませんので、ここまで組んでいます。トップカバーの駒数ガラスはクラックがありましたので新品と交換してあります。トップカバーは比較的きれいですよね。

Dscf022898 完成したところ。巻上げは軽快でシャッターの調子も良好です。

Dscf022933 トップカバーの塗装コンディションと裏蓋底部は差がありますね。これは、塗装の工程が別々で、耐久性に差が出たものと思います。こちらが現状で普通のコンディションです。

Dscf023058 裏返し。やはり、底部のコンディションが目立ちますが、大きな当りはないですね。

Dscf023122 内部はフィルムレールの腐食もなくきれいです。圧板の腐食もありません。外観は現存機の中では標準的なコンディションの個体だと思います。完全整備済みですので、安心して使いたい方には持って来いの個体でしょう。

tomytmzk@titan.ocn.ne.jp


リコーオートハーフと水上戦闘機

2012年08月08日 15時23分15秒 | インポート

Dscf020066 ご常連さんからリコーオートハーフとハイカラーが来ました。同梱されていた食玩が、おぉ! これ欲しかったんだ。旧日本軍の水上戦闘(偵察)機が2機です。スーパーに買い物の折、箱を手にとって見たのが数回。でも、前回のYS11のように、同じ仕様のものが出ちゃうとなぁ、で購入を断念していました。水上機は日本海軍の思想では非常に重要な機種で、飛行場の無い南方の島々での運用を目的として多数の機種が開発されました。今回は「強風」と「瑞雲」です。強風は二式大艇など水上機に定評のある川西が担当した機体でしたが、海軍の厳しい性能要求のため完成が遅れていたもので、すでに戦況の悪化に伴い、当初の運用が難しくなったため、陸上機に転用されました。それが紫電でしたが、ゲタ履きを取った機体は優秀な性能を発揮しましたが、元々、ゲタ履きのため、中翼設計であったため、脚が長くなって、着陸時の事故が多発しました。それを低翼に改めたものが有名な「紫電改」です。しかし、最近のプラモデルは塗装済みが当たり前のようになって、私たちプラモデラーの製作意欲が削がれますね。専用のマスキング治具を使って塗装された仕上がりは、時間を掛け塗装しても敵わないですからね。まぁ、歴戦の運用機を再現する道は残されていますけど・・スーパーには、このほかに、航空母艦のシリーズがあって、今、それを狙っているところです。第一航空艦隊の空母「赤城」が入っていればラッキーなんですけどね。

Dscf020055 で、分解をして見ました。外観からは未分解の個体かな? と思うようなきれいな個体でしたが、内部を点検すると、細部に渡っていじられていますね。まず、セレンが交換されていますね。調整回路はすごいことになっています。しかし、露出メーターの感度は低いようです。

Dscf020277 過去に、ファインダーのハーフミラーを交換修理をされているようですが、フレーム枠の位置がズレているとのご指摘。本来はビス留めのフレーム枠が接着剤で貼られています。しかも、かなり乱暴な貼り方で、光が透過するフレーム部分にも掛かっています。ハーフミラーを交換したのであれば、対物レンズの曇りもなんとかすれば良いのに・・・

Dscf020385 遮光紙部分をシボ革で貼ってあるのは初めて見ましたね。

Dscf020421 接眼レンズを分離して清掃の後、各レンズとミラーを清掃して再接着をしたところ。リコーで使った接着剤は、オリンパスより硬度が高く、削り取るのが大変でしたよ。

Dscf020564 シボ革は遮光紙で作り直しておきます。

Dscf020626 EE精度とマニュアル絞りを点検します。EEは全く合っていないようです。ピンセット先の真鍮のリンケージは絞り羽根を作動させるもの。これが不自然に曲げられており、スムーズに作動しない状態です。リンケージの修正により作動がスムーズとなりました。その他、レンズの清掃とフリクションモーターのギヤ列にグリスを塗布しておきます。

Dscf020715 代わってこのカメラはリコーハイカラー35Sと言うオートハーフの35mm判。Sだからセルフタイマー付きですね。メンテナンスをしていますが、ファインダーの曇りが激しいです。このファインダーはキヤノンのデミと同じタイプですね。画像の対物レンズの後ろにプリズムがあって、オフセットをして接眼レンズに導いています。よって、清掃は簡単ではありません。

Dscf020824 ファインダーとシャッターのメンテナンスを終えて、前面カバーを取りつけます。セルフ付きはレリーズボタンの位置もあって、取り付けにはコツが必要です。あまり組立易いカメラではないですね。

Dscf020995 きれいなダイヤカットを施されている部分が電池室のフタになっています。右側のASA感度ダイヤルも同型で、このカメラは、左右対称の面白さを狙ったデザインなのでしょう。レリーズボタンが異常に長い気がしますけどね。

Dscf021045 巻上げダイヤルのプレートが脱落してきました。何度かぶつけた形跡がありますので、変形によって剥離したのでしょう。修正のうえ、再接着をしておきます。

Dscf021199 オートハーフとハイカラー兄弟は完成です。オートハーフは良いとして、ハイカラーは特に昭和を感じるデザインですね。お好きな方はいらっしゃいますけど・・