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今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

気温は40℃の巻

2025年08月05日 21時00分00秒 | ブログ

来月のカメラ市に向けて毎日頑張って作業をしているのですけど、本日の気温は近隣の八王子市、青梅市で40℃超えとニュースで言ってましたから同様の気温になっていたと思います。さすがに睡眠不足もあり体力が落ちて来ましたね。去年は出掛けた河口湖飛行館(今年からFUJI AIR MUSEUMになったらしい)の偵察機「彩雲」のレストア進捗も気になるのですけど残念ですが今年は行けないですね。作業の画像は撮ってなくて、カメラ店様への説明用画像ですが、このローライコードⅡ型は巻き上げダイヤルの逆転防止機構が摩耗とローラーにテンションを掛けるバネが折れています。機構的には4X4ベビーローライと同様ですけど純正のバネのストックが無い。今回は手加工で複製を作って対応しました。

何故かシャッター羽根が故意に曲げられていました。羽根同士の張付きを嫌ったものか? シャッター羽根を分解してなるべく平滑に戻します。

 

途中でシボ革を貼り替えていると思いますけど、両面テープで貼ってあって、相当の時間が経過していて粘着はベトベトの状態。この暑い中、見なかったことにしようかと思いましたがそうも行きません。思わぬ工数が掛かる作業です。

これはキヤノン7ですが、接眼部のカビを清掃せよとのご指示。接眼レンズはネジ1本を緩めると分離出来ます。

 

しかし、接眼部だけではなく対物レンズの隙間にもカビがありますのでカバーを取り去って清掃をします。

 

その他点検をしていくと、フレーム枠の変更ダイヤルを回すとカバーも一緒に回ってしまいます。これは裏側のカシメが弱くなっているためです。再カシメとエポキシで補修しておきます。

キヤノン7はシャッターダイヤルの分離にお約束があって少し面倒です。巻き上げレバーを清掃とグリス塗布で組んで行きます。

 

これで良いかと思いましたら、裏蓋の開閉鍵部のシボ革が無くなって黒テープが貼られています。ロールのシボ革はキヤノンの工場で使われていた本物ですけど、似ていますが時代によって微妙に変わっていますね。下のタイプからカットして貼っておきます。

作りも高級なカメラですけど人気がありませんね。私も0.95は所有していますが、30年以上使用していませんね。まぁ、猛暑の中、今月中はこのような作業が続きます。

 

 

 

 

 

 

 

 


こんなのあるんだPEN-FT元箱付の巻

2025年07月28日 15時00分00秒 | ブログ

私のようなものには欲しくても手が届かなかったPEN-FTブラック元箱付が来ました。恐らくコレクターさんが手放したものでしょうね。金ピカの箱は豪華な印象で、同じ時期に発売をされていたレンズなども同様な箱になっていましたね。

PEN-FTブラック#3573XXは製造後期の1970年7月あたりの製造と思われます。

 

 

レンズはパンケーキの38mmf2.8を付けたセットです。本体と元箱のシリアル№は合致しています。パンケーキ用のソフトケースがあったんですね。しかし、同梱の取説は国内版なのは後で揃えたものでしょうかね。その他、保証書などの戸籍類はありません。

 

注意をしてみると、箱のベロ部分にPASSEDシールが貼ってありますので輸出された個体でしょう。レンズの距離表示がftとなっていますので北米に輸出された個体の里帰りのようです。

 

本体は殆ど未使用の状態です。しかし、巻上げのゴリツキ感がありファインダーも曇り気味です。使い込まれた個体が巻上げゴリツキになるという訳でもないようです。

 

たまに私も手こずることがあるのですが、この個体のセルフボタンは角のRが大きく取られているタイプで、レンチの掛かる幅が全くなく緩みません。工場で組み立てた作業者はどうやって絞めたのかな? といつも思います。ルーペでボタンを良く観察すると、過去に分解を試みてニッパのような工具で銜えて塗装が剥離していました。しかし、緩めることが出来なくて諦めています。傷は私の仕業ではありません。後の分解のためにはレンチの掛かりやすい当方のオリジナルボタンに交換しておいた方が良いですけどね。

内部は北米に有ったと思われるのでレンズなどの光学系の劣化は少ないです。ただし、欧米人特有の体臭が沁みついていて・・洗浄はしますが一種の香水ですから落ちないと思います。

 

内部の作業については特に書くこともありませんので省略。しかし、状態の良い光学系の中でハーフミラーだけ状態が良くありません。これは交換としておきます。

 

パンケーキは分解を受けています。レンズの後玉の内側に指紋。ヘリコイドグリスが抜けて回転がスムーズではありません。やり直しておきます。

 

しかし、この元箱はインパクトがありますね。欲しい方は多いでしょう。9月のカメラ市まで残っているか・・

 

完成の発光テストで不具合が見つかりました。シンクロのMX接点切替レバーの動きに抵抗感が無い。あ~これかぁ。この不良は定期的に発生します。接片の先端にカシメられている絶縁樹脂のカシメ部分が割れて取れてしまうのです。

この個体のように殆ど未使用な個体にも発生します。要するに薄いジュラコン材にカシメの応力が残って経時で割れてしまう不具合です。今後は多くなってくるはずですので、3Dプリンターなどの活用で複製部品を作らなければならなくなるかも知れません。今回は、他の個体から調達をして交換しました。

 

 

 


猛暑お見舞いPEN-S2.8の巻

2025年07月27日 11時00分00秒 | ブログ

連日猛暑が続いていますがみなさん体調は崩されていませんでしょうか? 私も毎日作業を続けておりまして、多くの台数をこなして少し余裕が出て来ましたので生存確認のために簡単にUPしておきますね。元箱と革ケースが付着したPEN-S2.8 #1054XX ですが、PEN-Sの生産開始は1960年6月とのことですが、恐らく7月か8月の製造ではないかと思われます。初期の頃はシャッターや本体に製造年月を記載する方法が定まっておらず、ロットによって記入方法が異なっています。残念ながら付属の元箱のBシリアルは#1065XXと若干後のものですが、仕様的には変わらない程度かと思われます。保証書や取説などは付属せず、カメラクラブへの入会申込書のみが付属しています。

その入会申込書に印刷されている写真の撮影年が1961年と読めますので、やはり本体の方が早く生産されたものに間違いはないようです。

 

革ケースと元箱に保存されて居たせいかレンズはバルサムの曇りもなく素晴らしいコンディションを維持していました。ただし、シャッターは手が入っていて、左のハウジングが黒アルマイトになっているのと右の地板の加工がPEN-S3.5の最後期に使われている仕様と同様と思われるのが気になります。しかし、内部の部品仕様は初期型のそれでした。ちょっと??  そもそも極初期型のシャッターが一応でも作動していることが途中で人の手が入っている証拠です。

スプロケットはアルミアルマイトでスプールはグレーで正しい。

 

 

スプールのスリップ機構が初期型のバネの内部拡張式です。殆どの個体はグレー樹脂にクラックが入っているのですが、この個体は良好を維持しています。

 

すっ飛ばして組み立て完了した内部。裏蓋とも内部のつや消し塗装は後の製造より艶があります。また、シャッターの本体への取付けネジ4本の頭は小さいタイプです。

 

革ケースの色が茶色というのも時代ですね。あと、ピントリングを留める3本のイモネジの規格がM1.4と細いものが使われています。

 

 

の部分は革が乾燥していてそのまま使用すると千切れてしまいますので、必ず保革油などを塗り込んでから使用しましょう。

 

元箱のデザインはこんな感じ。

 

 

元箱付きのPEN-FTも来ていますのでまたUPしますね。

 

 

 

 

 

 

 


ローライ35SEのシボ革は・・の巻

2025年07月15日 11時00分00秒 | ブログ

関東地方は台風5号の影響もあり、私の居住する地域に線状降水帯が停滞して夜半に大雨となりました。おかげで睡眠不足の目で作業をしています。ローライ35SE(TE)は1979年の発売だそうで、露出情報をファインダー内のLEDに表示をさせるように改良されたモデル。しかし、基本形のローライ35に比べて、既存のスペースに新たなパーツを組み込むため、どうしても整備性は悪くなりますね。そんなことで私は得意ではありませんが・・ファインダーの清掃では、ファインダー自体は同形のものですが、右から基板が差し込まれる構造で、内部にLEDもあるため簡単に分離することも出来ません。よってレンズの清掃が非常に困難です。

まぁ、接眼レンズは分離することが出来ます。

 

 

その奥にあるブライトフレームも分解可能です。これを取り去って対物レンズの後ろ側も清掃します。今回はブライトフレームの前側にカビがありましたので清掃出来ました。

 

で、SE(TE)をメンテナンスする場合、気になるのはシボ革の劣化です。表面が溶けてネチネチと手につきます。これは気持ちが悪いし商品にもならない。製造の古いローライ35では発生しない問題なので品質の低下というほかないですね。そこで、いつもお世話になっています「アキアサヒ」製の本革シボ革に貼り替えることにしました。大変良いアイテムですが、材質の違いなどから厚みが厚い傾向にありまして、そのまま貼ってしまうと本体の側面部分が出っ張ってしまい、糊が両面テープと弱いせいもあって剥離の危険があります。

純正のシボ革はローライ35の頃は側面の部分は薄く加工されていました。SEではその加工は省略されて全体に均一の厚みですが、0.47mm程度に収まっていますが、アキアサヒ製は約0.6mmほどありますので、両端を薄く削る加工をしました。接着は両面テープではなく強力なゴム糊で接着します。

裏蓋側は純正でも0.6mm程度ですのでそのまま使用しますが、問題は本来ストラップ金具をカシメる前にシボ革をサンドイッチにしてあるのですが、貼り替えの場合は金具は外せませんのでカッターナイフでカットして貼ることになります。アキアサヒ製もそれを考慮した孔形状としてあります。

このような仕上がりになります。ひと手間掛けることで仕上がりが違いますね。

 

貼り替えキットはローライ35用のみですのでSEとの違い、レンズ収納レバーの付く部分の孔開けが必要です。

 

キズもなく使用感は少ない良い個体で唯一のシボ革ベタベタが解消されて気持ち良く使えるようになったと思います。

 

ついでにローライ35ドイツ#3116XXXを続けます。露出計は不動とのことでしたが・・あらら、配線の腐食断線と樹脂ケースが中央から折れています。これ、結構多いです。特にドイツ製のものは樹脂の材質が硬く、バリバリと割れてしまう気がします。

配線のやり直しと樹脂ケースの修復をしたところ。幸い露出計の感度は良好です。

 

何故、主にドイツ製の樹脂ケースが割れるのか? 正確には分かりませんが、当初は電池室を留めるネジは3本だったのですが、この個体の頃になると、そのうち1本が省略されるようになります。それによって電池挿入のストレスからケースが割れるのではないか? とか推理します。この個体の場合は、ネジ孔の下孔は加工されていましたが、ネジが切られていませんでした。ダメージのある電池室ですから3本のネジで固定したいので、M1.4のタップを切ります。

ケースの固定にぐらつきもなく修復が出来ました。

 

 

ドイツ製のファインダーは黒い絆創膏のようなテープで巻かれている個体が殆どと思いますが、稀にこの個体のように消しゴムのケースのようなものに入ったものもあります。

 

沈胴の調整とオーバーホールをしたシャッターユニットを取り付けます。

 

∞調整をして化粧リングを貼ります。

 

 

露出計以外は非常にコンディションが良い個体でした。

 

続けてしまいますが、久しぶりにPEN-FT #2328XXです。分解の手順忘れちゃうよ。初期としては外観はきれいですね。

 

こちらもカメラ店様の商品になりますが、レンズは42mmが付属していました。このセットで使用されていたのでしょう。初期型に42mmとは良い度胸していますね。例によってシャッターはゆっくりとしか切れません。

露出計の不動ですが、配線が腐食断線しています。では、オーバーホールをして行きますが、カメラ市も近くなりましてカメラ店様からの修理ご依頼も多く頂いておりまして、それと直接の御依頼分もありますので全く休養も取れない状態となっています。ブログの更新をする余裕もない状況ですので、しばらくの間、ブログの更新は余裕のある時とさせて頂きます。ご理解のほどお願いいたします。

 

 

 

 


またまた電池液漏れのローライ35の巻

2025年07月11日 15時00分00秒 | ブログ

使用感の少ない良いコンディションのローライ35ブラック#6072XXXで、アルミ製のトップカバーにも殆どダメージが無いのでしたが・・露出計は動きませんね。

 

なぜか巻き上げてもレリーズボタンが降りません。

 

 

電池室を見ます。あ~ダメかぁ・・電池の液漏れのため露出計が作動しないことから接点を紙やすりでゴシゴシ磨いた? これは内部にもダメージがあると思わなくてはなりません。電池接点は作り直しします。

で、トップカバーを開けようとするとサイドのネジが緩まない。これも液漏れガスの影響でしょう。

 

何とか緩めることに成功しました。

 

 

絶縁カバーを外して見ると・・の部分の配線が腐食断線しています。

 

配線の交換でメーターは動き出しました。この後、電池接点も交換します。

 

沈胴に多少引っ掛かりのような症状があるので分解洗浄します。レリーズが降りない現象については分解再組立で改善しました。液漏れ機としては内部へのダメージは電池室周辺の最小部分というところ。

しかし、液漏れ機は経験的にレンズやファインダーに菌糸状のカビが生えやすい気がします。フレーム枠にもがっちりとカビが発生していますので分解清掃をします。

 

沈胴レールの緩みも確認しておきます。

 

 

清掃をしたファインダーを取り付けます。

 

 

レンズにもカビが発生していましたが、ローライは国産普及カメラと違って殆ど清掃できれいになる印象があります。

 

電池の液漏れが無ければ最高の美品でしたが、しかし、今回は良い状態まで修復が出来たと思います。電池の液漏れがどれだけ悪さをすることか・・