今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

直流電気機関車ED17のメンテナンスの巻

2023年10月29日 21時00分00秒 | ブログ

今日はお休みをして年末の運転会で走らせる予定の古い「つぼみ堂」のED17をメンテナンスしていました。長期間走行させていないのでインサイドギヤはグリスが固まり、カツミのモーターはスムーズに回りません。モーターは丸ごと超音波洗浄をしてしまいました。

モーターの外観は磨き出してマッハのオイルを注入しておきます。テストではスムーズに回転するようになりました。

 

インサイドギヤは洗浄脱脂後にセラミックグリスを塗布しました。ウォームギヤのクリアランス確保のため紙片を挟んでモーターを取り付けます。現代のモデルでは採用されていない方式ですが、昔の鉄道模型はみなこの縦型モーター方式でした。調整が良ければかなりスムーズな走行ができます。

下回りのみで走行テスト。車輪(タイヤ)のニッケルメッキが摩滅して真鍮地が出ているため酸化して集電能力が落ちているようです。タイヤとレールを清掃しましたらスムーズに動きました。

 

ボディーを載せて完成ですが、じつはパンタグラフで失敗をして時間を取られました。半田が外れている部分があって、再半田に塩化亜鉛を付けましたら蝶番部分にも半田が流れてしまいパンタグラフが閉じなくなってしまいました。大失敗です。何とかリカバリーをしましたが画像を撮り忘れました。現在のパンタグラフは非常に精密に出来ていますが昔のパンタとは碍子の取り付け孔寸法が異なるのと何より非常に高価なので車両よりも高くなってしまうので買えませんから。

私は大正昭和の時代に輸入された電気機関車が大好きで、この機関車もイギリスから輸入された形式です。旅客用のED50から歯車比を増大改造してED17となり勾配の急な中央本線に投入されました。晩年は飯田線などで活躍したのは良く知られています。

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ソイヤーズマークⅣの追加修理の巻

2023年10月28日 18時00分00秒 | ブログ

カメラ店様から東京光学の4X4二眼レフですが、他の方がメンテナンスを担当されたようで、私のところには追加の作業で来ました。まず一つの不具合は二眼レフに良くある4つ脚のギッタンバッコン。観察するとの部分が陥没しています。

内側から見てみると、あぁ、全体に盛り上がって一部の塗装にクラックがありますね。

 

簡単に見えるでしょうけど、他の部分(塗装など)を損傷しないように変形を板金することは意外に神経を使う作業ですよ。何度も机の上で4点接地を確認しながら修正をしていきます。今回は叩くのではなくプレス機を使用して修正しました。

2つ目の指示が手間がかかります。カウンターのリセットボタンが紛失していて「何か付けておいて」とのご指示。そうは言っても寸法がオリジナルと合っていないと作動に不具合が出ますね。結局、旋盤で作ることになります。で、ネットの画像を参考に寸法を割り出して作りました。バイトのセンターが出ていないのでデベソ付きです。

問題はネジ孔の深さが3.5mmしかないのでタップが立たないというか不完全ねじになってしまいます。貫通孔にすれば楽ですがオリジナルは非貫通のようですから・・

 

取り付けてみます。作動に問題はないようです。本来は梨地クロームメッキでしょうけど、元々工数は合わない作業なのでこのままかニッケルめっきかなぁ?

全体の画像はベビーローライに似たこのようなカメラでした。

 

 

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商品のメンテナンスPEN-FTの巻

2023年10月26日 09時50分00秒 | ブログ

しばらくカメラ店様の商品メンテナンスが続きますのでUPは少なめになります。一応、生存確認用のUPです。このPEN-FT #3679XXはきれいな個体ですけどシャッターが止まっています。

 

シャッターユニットの洗浄と点検。

 

 

シャッターユニットに特に問題はありません。ミラーアップの場合はリターンミラーユニットの作動が大きく影響します。

 

限られたコストの中での作業になりますのでハーフミラーは再使用としました。露出計の感度補正。

 

問題は付属の38mmの方です。長期保管でレンズのカビが多く絞り羽根も油が付着しています。

 

PEN用ズイコーレンズは不用意にカビを清掃するとコーティングの隔離がしやすいので注意が必要です。

 

分解洗浄、レンズの清掃とヘリコイドグリスの交換をします。

 

 

外観が非常にきれいな後期型、おすすめの1台です。

 

 

次の個体はブラックモデルですが#2803XX と少し製造が前です。ファインダーの汚れが多くハーフミラーも腐食しています。

 

使い込まれてはいますがシャッターは問題ありませんでした。すでに組み立ては進みレンズの清掃とモルト交換をしたビューファインダーを取り付けます。

 

ハーフミラーはメッキが劣化で曇っていて部分的に腐食もあります。コスト的に厳しいところですが、これは交換になります。

 

組み立て終了。露出計の調整をします。

 

 

巻き上げにゴリツキ感がありましたが良くなっていると思います。気が付けば10月も終わりで年末がすぐ来ますね。私も時間が無いのですが年末の運転会に持っていく予定のつぼみ堂のED17を整備しておかなくてはなりません。

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通常作業のローライ35Sの巻

2023年10月23日 12時50分00秒 | ブログ

PEN系が続きましたのでローライ35Sの通常作業をやります。ブラックモデルですが外観に大きな欠点はないようです。使い込まれてはいます。この頃のシボ革は材質が落ちて表面が柔らかくシボが摩滅しやすいのです。低速止まり/メーター不動/レンズ・ファインダー曇りやヘリコイドグリスの硬化などが目につきます。

メーター不動から見ます。ひどくはないが電池の電解液漏れはありましたね。ローライ35系の場合、なぜかの部分が腐食する傾向があります。ちょっと触ってみると・・

 

こうなっていました。これが導通不良の原因です。

 

 

不良の配線を新しいものにやり直しました。メーター針が振れだしました。

 

 

意外にもこの個体は過去にファインダーの清掃を受けていました。それにしては汚れがひどいです。ファインダーの下のスプールギヤも清掃しておきます。

 

沈胴のフィーリングが気になるので分解をしました。すでに過去に分解を受けていました。フェルトは汚れが目立つので洗浄してから再使用します。

 

調整用の紙片は作り直されています。

 

 

前面リングは分解時にねじ込み位置を記録しておいて正確に再組立てします。

 

シャッターも過去に分解を受けています。中玉に僅かに拭き傷があります。古いヘリコイドグリスを洗浄して粘度が適切な新しいグリスに入れ替えます。

 

裏蓋はフィルムカウンターが正しく最後まで進むかを確認します。巻き戻しダイヤルの回転がゴリツキするので清掃をして組みます。

 

#24069XXのトップカバーの材質はアルミ製です。角のへこみが無いのはラッキーです。カバーの洗浄後、シャッターのレリーズピンにホワイトグリスを塗布して挿入、カウンターガラスを接着して本体に取り付けます。

気になるへこみもなく欠点はすべて修理しましたので良い状態になっています。実用機としては打って付けの個体でしょう。

 

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塗装がきれいPEN-Wの巻

2023年10月22日 11時00分00秒 | ブログ

わぁ、オークションでこんなにきれいなPEN-Wがあったのか・・私が欲しかったです。ご常連さんが入手された#1020XX (1964年/9月製)です。「オリジナルか_}のご質問ですが正真正銘のオリジナルです。

 

基本的に未分解ですね。

 

 

但し、レンズはスリ割にタッチアップされていますので清掃はされているようです。

 

いつもの作業です。洗浄した地板にクラックがないか点検しておきます。

 

 

ほとんど使用されていないシャッターです。シャッター羽根の錆も少ないです。

 

本体も洗浄して組み立てに移ります。前面塗装も全くきれいです。これを見ると新品時の塗装はかなり艶消しが強いと分かります。

 

シャッターユニットを搭載して2軸を組み立てます。

 

 

小さなコロを入れ忘れるとチャージが足りなくなります。

 

 

ストロボの発光テストをしておきます。

 

 

レンズはすでに清掃されていて、後玉のバルサムに曇りがあります。最近、前玉の1枚目と2枚目のバルサムが剝がされて清掃されたまま組み込まれている個体がありますので注意が必要です。

 

後玉は表面のコーティングが弱くなっていて過去の拭き上げで傷があり曇り気味。バルサムは劣化はありますが良い方です。恐らくレンズキャップをした状態で湿気の少ない暗所に保管されていたものでしょう。

ファインダーを清掃しました。分離して清掃をした対物レンズと前面ガラスを接着します。

 

全体的に塗装の状態は良いですが、アンダーカバーは摩滅していない新品時の塗膜を維持しています。

 

前面もかなりきれいですね。

 

 

オークションでもこのような掘り出し物があるので常にウォッチする必要がありますね。現存の個体としてはかなり状態が良い個体と思います。

 

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