今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

生産開始翌月のPEN-FV

2012年07月29日 21時31分18秒 | インポート

Dscf013128 PEN-FV #1030XXです。FVは生産開始が1967-2月となっていますが、この個体は翌月の1967-3月の製造です。部品の仕様としては、FTの変更前と同じ部品が使われています。オーナーさんはファインダーの汚れを気にされています。リターンミラーは外周からの腐食が進んでいます。湿気の多いところに保管されていたようです。

Dscf013285 ファインダーからの眺め。全反射ミラーもかなりの劣化がありそうです。

Dscf013361 この個体は未分解機ですね。下手に手が入っていないのはラッキーでした。セルフタイマーはジッジッジッという初期型。駒数板の留めはナットですが、後にビス(逆になる)に変更されます。トップのビニールテープ上の劣化したモルトは、初期にのみ貼られた、トップカバーとの干渉防止目的。

Dscf013555 リターンミラーは新品と交換接着としています。通常、リターンミラーの接着は中心部分にのみ接着剤が塗布されていることから、剥離は比較的容易ですが、この個体は親の仇のように剥れません。完全に剥離するのに時間が掛かりました。生産初期は、しっかりと組み立てられていたようです。

Dscf013467 シャッターユニットを洗浄しています。当然、メインスプリングは条数が少ない変更前のもの。特に問題はないので、注油をして組立ます。

Dscf013646_2 シャッター関係を組立てています。初期生産としては、シャッター幕はきれいな方です。スローガバナーも初期タイプですので、低速側にセットする時は、シャッターダイヤルを丁寧に回す必要があります。

Dscf013777 貼り替えられたリターンミラーを組み込んであります。プリズムはラッキーなことに清掃できれいになっています。

Dscf013855 初期型特有の滑らかな巻上げフィーリングが好ましいですね。全反射ミラーは新品と交換してあります。

Dscf014764 今日も暑かったですね。残念なことに、何やらオリンピックは、私が懸念が現実となって来た気がしますね。外出から戻りましたが、カメラの方は手が付きません。そこで、最近、過熱気味のポンコツパソコンのクリーニングとCPUのグリス交換をしました。空気取り入れ口の埃を取り除いて、シルバーグリスに換えて塗布しましたら、あらら、嘘のようにファンが静かになりました。新しいOSが出るまで、もう少し頑張ってもらわなくては・・・

Dscf014888 お遊びで、セイコー・スーパーの秒針を赤くしてみました。黒の文字盤の場合の定番ですが、中々見やすいですね。風防はクラックがあるので交換したいところですが、当時のバブル的な風防は手に入らないため研磨で使用します。リューズの巻き芯は新品を手配中。リューズは新品は難しいので、中古を使う予定。


暑いですね小間物仕事

2012年07月26日 21時07分05秒 | インポート

Dscf012578 東北地方も梅雨が明けたとのことで、北海道を除いてすべて梅雨明けとなったようですね。関東地方は昨夜は熱帯夜で寝苦しかったです。で、その北海道のINOBOOさんから、以前にリペイントをしたPEN-Wが帰っています。ファインダーだけは、そのままとしたのですが、やはり、ハゲが気になるとのことです。う~ん、暑い時に塗装は辛いですが、なんとかやりました。焼付塗装のため、内部のレンズ関係はすべて取り除いてからの塗装となります。長期に腐食がありましたので、ダイカスト本体角にはピンホール状に表面が荒れています。それらを研磨と塗装を繰り返して消して行きます。あ~暑かった。これからは再組立になります。

Dscf012345 そこで、ファインダーだけの塗装では半端なので、手持ちのセイコー・スーパーの文字盤を塗装することにしました。元々は、白塗装仕上げですが、劣化が激しく(ジャンクだからね)全面にピンホール腐食があります。インデックスは銀色と考えていましたので、まず真鍮の母材ニッケルメッキをしましたが、これが後に意味がなくなります。

Dscf012479 焼付塗装のため、塗装後にシンナーで溶かしてインデックスを磨き出すということが不可能なのです。(カメラサイズなら可能ですが)そこで、焼付後に研磨剤で磨き出す手法を取りました。よって、下地のニッケルメッキは無くなっています。針を確認したところ、金めっき針でしたので、インデックスは金めっきとも思いましたが、面倒なので、真鍮の磨き出し後にクリアーコートをすることにします。クリアーの研磨を繰り返せば、ピンホールも目立たなくなるという寸法です。しかし、SEIKOとSは浮き出し文字ですが、本来ある「SUPER」の印刷文字は再現出来ません。今後の課題ですが、リダン屋さんじゃありませんからね。

Dscf012655 今日の日中も気温が上がって暑かったですね。幸い、朝から体調は悪くは無かったので、外出は頑張れました。始まったばかりの夏ですが、この猛暑がどこまで続くのでしょう。PEN-Wのファインダーはレンズを接着して硬化待ちになっています。セイコー・スーパーの文字盤のインデックスは酸化防止のため、やはり金めっきをしておきました。画像ではあまり違いは分かりませんね。後はクリアーで保護塗装をする予定です。で、文字盤の目途が立つと機械を仕上げなくてはなりません。部品は洗浄済みですが、1955年製造とかなり古い個体で、しかも不動のジャンクでしたので、地板や歯車に錆が発生したりで、あまり状態は良くありません。果たして安定して作動してくれるのか? まぁ、スーパーなら部品はありますので、あまり心配はしていません。では、ゼンマイの入った香箱車から注油をして組み込んで行きます。

Dscf012852 巻上げ系や香箱真のネジ部の腐食などがあって、何点かの部品は交換しなければならない状態でした。しかし、17石の機械なので、この個体をベースに組んでいます。テンプを取り付けると、振れ角も大きく、大変調子が良いですね。しかし、この後に落とし穴が待っていたのでした。

Dscf012957 PEN-Wですが、ファインダーのレンズを接着してあります。ここで、作業は終了と思ったのですが、シャッターの調子がちょっと気になります。そこで、シャッターもO/Hをしておきました。

Dscf013088 PEN-Wは完成しています。セイコー・スーパーですが、あまりに調子が良いので、勢いでゼンマイを最後まで巻上げたところ・・・「バチッ」いつ聞いてもイヤな音です。ゼンマイが切れてしまいました。画像は、過去に切れたゼンマイ。当時のゼンマイは鋼製で、長期に時間が経過したゼンマイですから、注意をしないと(しても)金属疲労で切れやすいのです。あ~、どなたかスーパー用のゼンマイ分けて頂けないでしょうか?

Dscf013244 今日も暑い一日でしたね。扇風機だけでは限界に来ています。セイコー・スーパーはゼンマイを交換して仮組みの状態にしてみました。文字盤はHondaのデガールを貼るかも知れませんのでクリアーは吹いていません。秒針は茶の塗装針でしたので、剥離をするとステンレス針で、長短針とは合いませんが、まぁ、仮ということで。巻芯とリューズが欠品していますので、こちらも仮です。手持ちのベルトを添えてみると・・意外に雰囲気がありますよね。古いオメガのよう。(言い過ぎ)

で、最近は体調のこともあって、夜中はラジオを点けて寝ているのですが、民放は若手芸人のくだらない放送の垂れ流しのため、NHKのラジオ深夜便を聞いてます。深夜にはやっとまともな番組がありました。昨夜は中継の音に起こされましたら、ロンドンオリンピックの開会式だったのですね。高い放送権料を支払っている関係か、マスコミは盛り上げに必死です。テレビでも少し見ましたが、いつの時代からか、開会式のスタジアムが劇場と化したのでしょう? 選手入場もだらだらと歩いてくるだけ。私たち「東京オリンピック」知っている世代には当時の感動的な入場行進が懐かしいです。確かに参加国数は当時は93カ国と地域でしたが、今回は204カ国と倍以上に増えています。当時は植民地であった地域が独立したことや、選手を派遣する財政的な余裕が出てきたことが要因でしょうから、それだけの選手が入場行進するだけでも多くの時間が必要になるのでしょう。東京大会でも閉会式は各国選手が入り混じって行進して来ましたが、これは本来は開会式と同じ予定が、選手たちのハプニングにより、あのようになったと聞いています。戦い終わった選手たちが自発的に取った行動はそれはそれで感動でした。私が気になるのは、水泳、体操など日本の有名選手が世代代わりをしていないことです。東京大会の時も水泳を始め女子80mハードルや体操もすでにピークを過ぎた選手により惨敗した記憶があります。スポーツでは、経験よりも若さが勝るのは時代が教えています。まぁ、日の丸を背負ってプレーする日本選手の健闘を祈りましょう。


初期の生産機だけどきれいPEN-S 3.5

2012年07月23日 23時31分22秒 | インポート

Dscf0112551 PEN-S 3.5 #1377XXですね。3.5は1965-1月からの生産のようですが、私の資料から、この個体は1966-6月の生産という、比較的初期の個体だと思いますね。3.5は生産時期によって、ギヤやナットの樹脂化など、コストダウンによる変更を受けている機種ですが、この個体はまだ、金属部品を使用している頃で、トップカバー横の留めビスはスリ割りタイプのままです。(その後+ビスに変更)初期生産機としては、全体の保存状態は良好です。過去にO/Hを受けているようですが、シボ革は両面テープ貼りのため剥離ぎみ。駒数針は赤く塗ってあるのね。(オリジナルではないですよ) お訴えとしては、巻上げが2回に1回ロックせずとのことです。巻上げダイヤルを巻いてみると・・・巻上げロック位置で、ガタが多くあります。これですと駒間も安定しません。調整のはずれだと思います。ロック時の駒数板の位置も正規ではありませんね。画像を良く見てください。では、分解です・・・

Dscf011425 なぜか、向かって左側のシボ革は両面テープ貼りをされていますが、1/3部分は剥離紙が付いたままです。右側はゴム系接着剤で貼られています。きれいでないため、一度全て剥離清掃します。

Dscf0116111 シャッターユニットですが、こちらもなぜかレリーズレバーがグラグラになっていますね。この状態では、チャージをロック出来ないため、←→のように上げ底にしてレバーのガタを押さえてあります。どうして本質の原因を治そうとしないのでしょうか?

Dscf011841 原因はね。レバーと軸のカシメが外れているために固定されずにグラグラしているのです。コパルはほんと、カシメ不良が多いと感じます。ポンス台にて再カシメをして使用します。

Dscf011955

(疲れてうたた寝していました)オーバーホールの殆どの工数は、技術的な作業というよりは、ひたすら清掃なんですね。しかし、これを疎かにしたのでは、きれいな仕上がりは期待できません。裏蓋のモルトですが、この個体は毛糸をゴム系の接着剤で貼ってありますので、溶剤を使わなければきれいに清掃することができません。

Dscf012099 清掃したダイカスト本体にO/Hを終えたシャッターユニットやその他を組み込んでいます。シボ革ですが、剥離したそのまま再接着をしたのでは、きれいな仕上がりとはなりません。かなりヤレっとダメージのあるシボ革ですから、細かい修正をしてあるのです。これがまた工数が掛かるのです。本来、シボ革を全て剥離する必要はありません、というか、ダメージが大きくなるため、剥離をしてはなりません。

Dscf012175 ちょっとブレイクタイム。先日O/Hをしたセイコーの新10Aですが、ラグ形状は普通のタイプですが、裏蓋を観察すると、パリス環式のベルトを使用されていたことが分かりましたので、現在、復刻販売をしている商品を入手してみました。戦前から終戦直後の時代に使用された形ですから、当時のオリジナルも非常に簡素な作りのベルトであったようです。まぁ、それに忠実な復刻のようですから、現在の目で見ると粗末な印象も受けますね。ラグ幅でベルトを選択したため、ちょっと太めでしたね。早速取り付けてみます。

Dscf012261 やはりちょっと太いね。次は細いタイプを入手しましょう。材質はペラペラのコードバン(馬革)で、チープな印象ですが、時代は合っていますので、よい雰囲気は出ています。戦時中は、ベルトも統制品で、切符が無ければ入手出来ない事もあったようです。新10Aは当時としてはよくある社外製のケースですので、打刻がないため製造年の特定は出来ませんが、戦後すぐの昭和21年頃かも知れません。それにしては、テンプのひげゼンマイを再調整したところ、平置きですが、日差10秒程度に収まっています。ブルーの焼き針で、当時の時計としてはよいコンディションとなっていると思います。この後、この個体よりも古い、戦前か戦時中に製造された旧10型もO/Hをしましたが、こちらも中々の精度で作動しています。

Dscf012556 で、裏蓋のモルトの交換など、最後の仕上げをして完成です。この個体はレリーズレバーのカシメ脱落により早い時期に故障となり、殆ど使用されずに保管されていたのでしょう。3.5は比較的程度の良いものが残っていますが、初期の製品としては、状態は95点ぐらいに素晴らしいです。しかし、過去の修理がね。O/H時期やサインを入れる前にやるべきことがありそうに思いますが・・並べて新10Aですが、こちらの方が20年も先に生まれているのですよ。機械の命は永遠で羨ましいと思うこの頃です。


初期の生産機だけどきれいPEN-S 3.5

2012年07月23日 23時31分21秒 | インポート

Dscf0112551 PEN-S 3.5 #1377XXですね。3.5fは1965-1月からの生産のようですが、私の資料から、この個体は1966-6月の生産という、比較的初期の個体だと思いますね。3.5は生産時期によって、ギヤやナットの樹脂化など、コストダウンによる変更を受けている機種ですが、この個体はまだ、金属部品を使用している頃で、トップカバー横の留めビスはスリ割りタイプのままです。(その後+ビスに変更)初期生産機としては、全体の保存状態は良好です。過去にO/Hを受けているようですが、シボ革は両面テープ貼りのため剥離ぎみ。駒数針は赤く塗ってあるのね。(オリジナルではないですよ) お訴えとしては、巻上げが2回に1回ロックせずとのことです。巻上げダイヤルを巻いてみると・・・巻上げロック位置で、ガタが多くあります。これですと駒間も安定しません。調整のはずれだと思います。ロック時の駒数板の位置も正規ではありませんね。画像を良く見てください。では、分解です・・・


再開一番目のPEN-FT

2012年07月21日 13時40分36秒 | インポート

Dscf010088 ぼちぼち作業を始めようとドライバーを握ったら・・腕の感触がいつもと違ってコントロールがしにくいです。腕が鈍るとは正しくこのことですね。で、このFT #2643XXですが、それほど状態は悪くなく、定期的なオーバーホールというところでしょう。セルフタイマーのボタンが欠落しています。38mmは絞り羽根を見てください。油が付着していますね。現状では不具合は出ませんが、清掃をしておいた方がよろしいと思います。

Dscf010248 過去に分解を受けていますね。眺めとしては特に問題は無いと思います。セルフタイマーとレリーズを繋ぐリンケージは、変更後のタイプとなっていますね。直前の#259000付近までは、変更前のタイプですので、変更された直後ということになります。ダイカスト本体は変更前のタイプです。

Dscf010334 ハーフミラーは曇りが出ていますね。拭き上げをすれば、曇りは薄くはなりますが、メッキも薄くなってしまうのですね。

Dscf010492 前板を分離して点検します。アイドラーギヤに円周上に線状痕がありますね。これは、前板のミラーユニットと干渉しているためです。このような個体は稀に見ることがあります。図面上ではクリアランスは確保されているはずですが、実際は、部品の公差や組み込み位置によって干渉する場合があるのです。それだけ、余裕の無いギリギリの設計がされているということです。この程度であれば問題は無いのですが、もつと深く干渉している場合は、シャッタースピードにも影響があります。

Dscf010554 本体ダイカストは洗浄ずみ。モルトを貼って、2軸と巻上げレバーユニットを取り付けたところ。

Dscf0108361 シャッターユニットを分解洗浄をして点検して行きます。巻上げギヤの軸に磨耗が認められます。この程度であれば症状はありませんが、磨耗が進むと巻上げが足りなくなります。

Dscf010954 20万代前期の個体ですから、O/Hで巻上げも軽く滑らかになりました。組み直した前板関係をセットします。

Dscf011087 前回の分解でファインダーのレンズ関係は拭き上げを受けていますね。ハーフミラーは新品と交換させて頂きました。シャッターダイヤルの作動を見ながら調整組立をして行きます。

Dscf011158 完成していますが、セルフタイマーの作動が最後まで戻りきらない状態です。ユニットを点検すると、板バネが不自然に曲げられており、これが原因です。なんでこんことするのかが意図不明でしたが、セルフレバーを取り付けて、欠落していたセルフボタンを当方オリジナルで追加しておきますが、ここで、疑問? ボタンのネジピッチが合わない。この頃であれば、ピッチは変更されているはずです。レバーも不自然にグラグラしていますので、この個体の部品ではなくて、初期タイプから調達取り付けをされた可能性があります。それで、ユニットをいじったのかな? 余計なことはしないで欲しいのです。巻上げの感触は90点ぐらいだと思いますよ。

Dscf010984 付属の38mmを清掃します。このレンズは、設計変更後のレンズですので、FT本体とは時期が合いません。たぶん、別々に入手されたものでしょうね。で、変更後のレンズは分解がしにくいのです。絞りユニットを分離するためには、カムを外さなければなりません。

Dscf011011 まぁ、基本的には状態は悪くない個体でしたので、無事清掃を終えています。大きなキズや当りのない大切にされていることが分かる個体。ペンスケのメンバーさんとのことですから、次回に向けて良い写真をお撮りください。