今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

外出自粛は辛いねの巻

2020年04月23日 21時30分00秒 | ブログ

東京都の非常事態宣言により外出を自粛しています。元々、通勤で外出する仕事ではないですが、流石に室内に籠ったままですとストレスが溜まって来ます。そこで今日は短時間ホームセンターとスーパーに買い物に出掛けましたが、営業時間の短縮など経済に影響が出ていますね。しかし、有名な女優さんがコロナでお亡くなりになったり、私の市でも数人の感染者が出ていると聞けば、段々と身近に迫っている危機感を感じます。作業はローライ35系を10台近く修理をしましたが、まだ続きますので気が付いたところだけUPするようにしますね。このローライ35Sはシャッター不動というかピントリングも固着していますが、原因はレンズを繰り出して行くと本体側との連動ピンが外れてしまうというもの。

しかし、無限はちゃんと合っているんですね。工場の作業かは断定できませんが、フィルムレール部に0.25mmの調整ワッシャーが入っています。なるべくピント面を下げたかったということでしょうか? レンズの組立には問題はありません。まぁ、なんとか折り合いをつけるのに苦労しました。

これはローライ35だったかな。このモデルはメーター窓の接着が両端の点着けになっていますので、脱落をしているものが多いですね。過去の再接着により体裁面に出て来たようです。再研磨をして接着します。

 

これも多いですね。レバーを受けるプラのボッチ。レバーがパチンと当たると相当な衝撃なのでしょう。割れたり無くなっているものが多いです。少し小さめですが製作して熱カシメで取り付けます。

 

こればローライ35ジャーマニー。露出計が不動ですが、導通がありませんね。

 

幸い、Cdsは生きていましたので、回路をやり直しておきました。

 

 

この部分の半田が酸化をして外れているものが多いです。

 

 

で、完成かとシャッターテストをして行くと・・「B」バルブが作動せずシャッターが止まりません。バルブの制御部は前面カバーを分離しないとアクセス出来ません。

 

ここですね。このレバーがバルブで右側に移動してシャッターを止めるのですが、作動が渋いです。また、作動バネも弱っているようで押し切る力がありません。レバーの動きの改善とバネを強化して改善させます。

 

当分同じような作業ですので、更新の間隔は空くと思いますのでよろしくお願いいたします。

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きれいなPEN-Wの巻

2020年04月19日 14時30分00秒 | ブログ

非常事態宣言で外出自粛が続いていますが皆さんご自宅に籠っていますか? 今日は良い天気になりまして、数日外に出ていないため運動不足に陥りましたので軽くウォーキングに行って来ました。作業の方はゆっくりですが進めています。遅れて来たペンマニアさんから塗装のきれいなPEN-Wが来ていました。過去に完ぺきに近い個体を扱ったことはありますが、まぁ、その次のランクぐらいのきれいさです。

殆ど使用されていないようですが分解歴はありますね。巻上げダイヤル下の樹脂カバーの両肩が欠けています。ここは、トップカバーを真上に抜かないと折ってしまうのです。あまりこのカメラを熟知していない方の作業と分かります。

使用していなくてもレンズとファインダーは曇ってくるのです。

 

 

すべて洗浄したところ。PEN-Eの場合は洗浄には強い洗剤は使えません。

 

 

 

シャッターは未分解でした。全く消耗はないユニットです。

 

 

完成したシャッターユニットを本体に戻します。

 

 

問題の巻上げダイヤルカバーです。最近はレジンで複製はしていないのです。どなたか3Dプリンターで製作して頂けないでしょうか?

 

やっぱり問題はレンズです。曇りは1枚だけではなく、主にコーティングの劣化とバルサム劣化の合成です。

 

前玉を分離してみたところ。このレンズは過去に清掃を受けていました。白い塊に見える部分はコーティングが変質剥離している部分です。

 

こちらは後玉。こちらもコーティングり劣化とバルサム周辺の剥離。

 

 

前群を分離して清掃をします。

 

 

後玉は直径の異なる2枚のレンズを貼り合わせてあり、このバルサムが剥離や黄変します。

 

ファインダーのレンズは分解清掃をすれば元通りきれいになります。

 

 

と言うことで、殆ど使用されていない個体でしたが、残念ながらレンズの劣化は進んでしまうというサンプルでした。

それと、無水アルコールの入手が困難となっていまして、Amazonではとんでもない価格で出している不届き者もいます。世間ではマスクの不足は大きな問題となっていますが、私たち修理業者にとってアルコールも無いと非常に困ります。いつまでコロナ騒動が続くのでしょうね。

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ご常連さんのPEN-Fの巻

2020年04月14日 20時35分00秒 | ブログ

九州のご常連さんから、久しぶりにPEN-F #2450XX (1965年11月製) が来ました。ミラーアップ状態ですが、特に問題はない個体と思います。

 

とは言ってもPEN-Fは古いですからかなりの汚れや劣化がありますね。付属の38mmも絞り羽根の復帰が悪いですが、油付着以外に、ギコギコと作動の度にバネの擦れる音がします。アトカバーとリターンスプリングの距離が近いため、接触をしていると絞り羽根の動きも影響を受けます。カメラ、レンズ共分解歴があります。

ファインダーもそれなりに汚れていますが、プリズムの腐食は無いようです。24万台ですから助かっていると思います。

 

テープの貼り方で分解されていることが分かります。調べてみると前回修理をした修理屋さんのシールが貼ってありました。

 

問題は、拡大ルーペを振るとレンズがカタカタと音がします。レンズのナットが締まっていないのです。

 

しかし、リングナットが緩んだ形跡がありません。(固着しています)え~、これはピントに問題ありますね。工場での不具合か、修理屋さんの作業かはリングナットがきれいなので判断できません。

 

カギイタAの動きが固く裏蓋のロックが飛び越しています。いろいろありますね。

 

では。洗浄をして組み立てていきます。

 

 

問題はシャッターユニット。シャッター幕の地板がヤスリ掛けをされていて、本体側との組立ネジ(スリ割り)の殆どを削られているためネジが外れません。なんとか外しましたが・・工場でも生産初期の個体では追加工をされている部分もありますが、24万台ではまずないと思います。削る必要が思いつきません。

ブレーキは殆ど利いていませんが、今回はこのまま使用します。

 

 

ミラーユニットの固着やプリズム他を洗浄したところ。

 

 

フレネルレンズを洗浄したところ。白い曇りがあります。これは、モルトをゴム系接着剤で貼る時に樹脂を侵したため。

 

本体と前板関係が完成しました。

 

 

非常に安定して調子は良好です。

 

 

問題のルーペですけどね。振るとカタカタとレンズが動きます。しかし、リングナットが緩んだ形跡はありません。事実、この後の分解でもリングナットがスムーズに回転せず苦労しました。

 

分解をしてみましたが、部品に問題はありません。ビューファインダーに切ってあるリングナット用のネジは、非常に雑な加工で、リングナットがスムーズに締め込まれないことが多いです。この事から残念ながら工場での組立不良と推測します。締め込みの途中で止まったため、完全にレンズを締め込んだと思い込んだのでしょう。

接眼プリズムのコーティングは残念ながら劣化で曇っています。取り除いた方が良いかと思いますが、今回はこのままとします。

 

画像はホワイトバランスが補正されていますが、白の色入れが手垢で茶色になっています。このような汚れ方は古いPEN-Fに多いです。洗浄しておきます。

 

で、一応組立完成。最後にファインダーの無限調整をしましたが、ここで問題発生。調整個所は工場でネジロックされたまま、途中で再調整をされた形跡がないのに、まったく無限が来ていません。しかも、狭い調整範囲一杯でも無限が来ない。これは、不良のルーペのままで無限調整をされたのでしょう。結局、前板を再分解で無限が出るように組み立て直す必要がありました。

38mmの方ですけどね。作動の音を聞けば、分解しなくても何が起きているのかは見当が付いていました。連結バネが変形していてリヤカバーと接触をしているため擦れ音を発生しているのです。これが抵抗となって絞り羽根の復帰がスムーズに戻らない症状となります。原因? マウント部との組立にはコツが要りまして、それを知らない方が無理に押し込んだのでしょう。

このように変形しています。これは修正が出来ません。

 

 

その他、絞り羽根の洗浄、後玉の清掃。

 

 

前玉の清掃。

 

 

いやはや、いろいろ問題があった個体ですが、本来は工場を良品で出てはいけない個体だと思いました。まぁ、緩んだレンズに合わせて無限調整をされていたので、意外に問題は起きなかったということでしょうかね? 知らんけど・・

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ローライ35の続きの巻

2020年04月12日 19時30分00秒 | ブログ

時節柄もあると思いますが、最近はPENの修理ご依頼は少なくなっていまして、代わりに中古カメラ店様からのローライ35系が増えております。基本的にPEN関連のUPを優先したい気持ちもありますが、作業時間的にはローライ35系の方が多くなっていますので、PENに関してはご依頼があった時に取り上げることにします。ファンの方々にはご了承ください。

とは言ってもローライ35の個体数が多いので個体完結ではなく、気になった話題をUPして行くことにします。このローライ35TEですが、何となくシボ革が粘るというか、蝋を塗ったような触り心地です。また、この時代は国産カメラ同様、接着が両面テープとなっていますので粘着剤の劣化により剥離しているものが目につきます。

補修接着をしたのですが、接着剤を塗るためにシボ革をめくったところ、白い蝋のようなものが剥離して来ました。これが触り心地の犯人ですね。基本的にコーティング層が劣化したのでしょうけど、それ以前の生産機の方がしっかりとしているのは何とも残念ですね。新しい素材は必ず優れているとは限らない。まぁ、コストの問題でしょうけどね。貼り替えるにも、ここのストラップ金具はシボ革を貼った後でカシメられているので、金具の下にシボ革が共カシメになっているのが厄介です。

次はローライ35Sですけど、電池室の接点が腐食していてピンセットで触ったらパラっと外れました。これ正常に作動していたのかな? 確認をしていませんでした。

 

腐食した接点を代替えで作って半田付けをしました。メーターも作動したので、これで良しと思って絶縁テープを貼ろうとしましたが、何か変です。そう光源の増減に針が追従していません。止まったまま。

回路を調べましたがどうもCdsの不良のようです。ローライ35のCds特性(定格)は知りませんが、各状態でデータを取ってみると、光に対しての抵抗値の変化はありますが、他の個体や汎用Cdsと比較して抵抗値の減少が早すぎるようです。オームの法則で計算してみると抵抗値が問題です。そこで汎用のCdsと交換することにしました。

回路を作って電圧を掛けます。針が振れています。

 

 

では、本体に搭載して行きますが、これがまた知恵の輪です。低感度用20KΩの半固体抵抗は検査の時に回転させようとして破損しましたので、(古い半固定は固着や緩み止めで回らない)現在入手可能な3本脚抵抗で代用します。抵抗の位置は暫定です。

半固定抵抗はオリジナルと形状が異なるため、元の位置には収まりませんので、何とかやっつけで納めました。

 

前面から見たところ。汎用Cdsはオリジナルより小径のため納まりは良いです。あとは調整をして行きます。

 

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東京は緊急事態宣言の巻

2020年04月08日 19時00分00秒 | ブログ

とうとう、こちら東京では新型コロナ緊急事態宣言が出ましたが、当方でも数週間分の食料を調達して自宅待機をしています。そんな時世ですから、春になったのでPENを持って撮影に出かける方もいらっしゃらないのでしょう。修理のご依頼も少ないですね。早くワクチンや治療薬が開発されて収束することを願うばかりです。そんなことで、ボチボチ修理を手掛けています。PEN-S 3.5 #1342XXですけどね。外観は結構きれいですが過去に分解は受けています。

長期間放置されたのでしょうね。圧板が接触していたフィルムレールが腐食しています。ただし、段付きを感じるほどではなく、軽く磨いておきます。

 

駒数ガラスの接着が脱落しています。再接着をして行きます。

 

 

シャッターは過去にO/Hをされているようで辛うじて作動しますが、分解をして行くと・・スローガバナーが油の中で泳いでいます。

 

特に問題はありませんので順調に組み立てていきます。洗浄研磨をしたリング類を取付けて行きます。

 

レンズは比較的きれいですが、後玉の6時付近にコーティングの拭き剥がれがあります。

 

ファインダーの対物レンズは分解されていましたが、接着がゴム系接着剤でした。

 

他の方の作業でファインダーのカバーの古い接着剤を落として接着をされているものを見たことがありません。それでは密着して貼れないのです。

 

駒数ガラスを再接着しました。トップカバー横の留めネジ部に調整ワッシャーが接着されていた形跡がありますが無くなっています。

 

 

追加をしておきます。

 

 

あ~、吊環部が軽くへこんでいましたね。見なかったことには出来ません。吊環を外して修正をしておきます。

 

非常に良いコンディションとなりましたね。

 

 

で、一緒に来たXA2ですが、シャッターが稀にしか切れない。でも、逆に考えれば稀には切れるということですから決定的な故障ではないと目星を付けます。点検メンテナンスをして行きます。

 

本体側のモルトが無くなっていますので貼っておきます。

 

 

私のXAと。XA2の方がきれいで程度が良いです。しかし、私はXAの方が好き。レンジファインダーだし・・

 

大きさを比べてみると35mmなのにXA2の方が小さいですね。時代による技術の進歩かぁ。シャッターなどはPENを継承していて、電子技術は圧倒的な進歩を遂げた過渡期的な製品と思います。

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