明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(2132)福島4号機燃料プールは水蒸気爆発するかどうかの瀬戸際だったー核と原発について2021年を振り返る(12月19日に講演しました)

2021年12月14日 23時30分00秒 | 明日に向けて(2101~2200)

守田です(20211214 23:30 1225 13:00改訂)

自衛隊ヘリは水蒸気爆発のテストのために水をかけた・・・あの時点で破局の可能性があった

今年2021年3月で、福島原発事故から10年が経ちましたが、今年になって明らかになった重大事実もありました。その一つが原発事故直後に行われた、4号機燃料プールへの自衛隊からの放水の真相についてでした。
実はあのとき政府が最も恐れていたのは、高温に達して核燃料がむき出しになっているかもしれない燃料プールに水をかけて、水蒸気爆発が起こってしまうことだったのでした。

これは、NHKのETV特集「原発事故”最悪のシナリオ”~そのとき誰が命を懸けるのか~」(3月6日放映)において明らかにされました。
番組に出演した戒能一成防衛大臣補佐官付(当時)は、水をかけた際、爆発が起こって、ヘリコプターも墜落してしまう可能性があったことを述べたのです。

ヘリからの放水そのものが、水をかけてどうなるかを確かめるためのものだったのですが、それで4号機燃料プールが吹っ飛べば、ヘリ墜落にとどまらず、核燃料が飛散して東日本が壊滅に向かう可能性すらありました。
これまで4号機は、シュラウドという部品の交換のためにはってあった水が、プールに流れ込んで破局が免れたとされてきたのですが、福島原発事故は、もっとたくさんの偶然の重なりで、破局を免れただけだったのでした。


同番組はNHKオンデマンドから購入して視聴できます。
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2021112635SA000/index.html?capid=TV60


それでも原発を動かすなんてあまりに暴力的だ

ではなぜあれほどの破局寸前の事故を経験しながら、原子力政策を止めようとしないのか。答えはシンプルです。たとえ多くの人が悶絶の苦しみを味わおうと、一部の人々が潤い、豊かになればそれで良いという考え方が、まかり通っているからです。
私たちはこの10年の経験を経て、シンプルにこのことをつかむべきです。それが無謀な原発の運転につながっているわけで、だからもう本当に恐ろしいのです。

そもそも原発は地震に対して驚くほどぜい弱です。経済的な採算があう範囲内に、起こりうる地震動が見積もられ、建てられてしまったからです。それが地震大国のこの国に林立している。
しかも一度過酷事故に至ってしまうと、想定外のことだらけになってしまうことが福島原発事故で示されました。しかもそれで日本の半分が壊滅してしまうかもしれない。そんな危険なものが一部の人々の潤いのためにだけ、強引に動かされています。


福島原発事故の際、半径170キロ圏の強制、250キロ圏の任意移転が計画されていたことを報じるFNN

あまりに理不尽ですが、実はこれこそが現代社会を貫いている資本主義の特徴なのではないでしょうか。そして僕もそうですが、多くの人々の資本主義批判は、このシンプルな点の把握が充分にできてはいなかったのでは?
資本主義の基軸にあるのは原水爆を頂点におく兵器産業です。核兵器は実際に広島・長崎で大量虐殺に使われたし、その後も度重なる核実験や核事故でたくさんの人を殺し、傷害を負わせ、苦しみを与え続けてきました。

資本主義社会の中心に暴力がいすわっているのです。だからこの暴力の体系を越えていくことにこそ、私たちの最も大事な課題がある。なぜって他のすべての課題で努力しても、過酷な核事故が起こればすべての土台が失われてしまうからです。
だからこの問題との格闘の中にこそ、現代社会の矛盾を越えていく大きな道がある。そこまでを見通しながら、2021年、いやこの10年を振り返りたいと思うのです。


核と原発の問題について大きく振り返り12月19日に講演しました

以上の点などを踏まえながら、すでにお知らせしたように、12月19日(日)午後6時半より、京都市にて講演を行いました。
タイトルは「福島の今、復興の今、被爆問題の今、2021年の原発・放射線被曝問題を振り返る」です。

以下に録画を示します。

主催 「ウチら困ってんねん@京都」と「ヨウ素剤を配ってよ@京都」
連絡先 090-5015-5862(守田)

ぜひご視聴ください!

#福島原発事故 #ヘリ放水 #水蒸気爆発の危機 #東日本壊滅の危機 #危機を免れたのは偶然の重なり #破局寸前を経験しながら原発を止めない理不尽さ #資本主義の基軸は兵器産業 #核と原発こそ最大の脅威

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