守田です(20200430 07:00)
新型コロナウイルスに関する考察の続きです。
● 感染者数・患者数の低下をどう見るか
国内の感染者数(正確にはPCR検査陽性者数)、および患者数がピークアウトに向かっているように見えます。
東洋経済inlineによる4月29日の集計 感染者数と患者数が同じカーブを描いて低下しつつある
最も感染者の多い東京都では、4月29日の新たな陽性者は47人でした。26日72人、27日39人、28日112人、29日47人です。
東京都による4月29日19時30分発表のデータ
東京では、連日100人以上、新たに入院・隔離措置が必要な人が増えていて、さぞかし医療者へのストレスが大きいだろうと思っていたので、その点で少しほっとする思いがします。
しかし「PCR検査が少ないので、この数は実体を反映していないのでは」という声もあると思います。
誰もが本当に、感染拡大が収まっていくことを望んでいるわけですが、しかし指標となる数値が信用できなければ、「望ましくなってきた」と思えないのも当然です。
これまで指摘してきたように、数値が信用されないのは安倍政権の責任です。そもそも安倍首相は、感染症対策を医療界に丸投げしていて、何がどうなっているのかも理解していません。
ニューヨーク在住の友人とやりとりしたら、「自分の身近でも亡くなった人が複数いて、悲しみに暮れているものの、それでもみんな穏やかに暮らしている。クオモ知事が毎日丁寧な説明をしてくれることが大きい」と語っていました。
安倍政権は、これをほとんど行わない。他の閣僚がするわけでもない。残念ながら野党の誰かが、それを代わって行ってくれるわけでもない。だから、多くの人々が大きな不安の中にいます。いまなお、政治が不在なのです。
それでなんというか、僕は自分なりに理解した日本の医療界の、感染症対策のポイント説明を続けています。今回も、一度、感染拡大を抑えることに、成功したと見てよいと思っています。その根拠をお伝えします。
● 10人のうちの8人は他者に感染させない。だから徹底隔離でなくても感染拡大にいたってない。
二つのことを書きます。一つは日本の医療界が採っている戦略がなぜいま、一度、感染の抑制に寄与しているのかという点と、PCR検査が少ない中で、なぜこの数値に信用がおけるのかです。今回は1点目について書きます。
これまでも繰り返してきたことですが、専門家会議やクラスター対策班などを軸とした日本の医療界が採っている戦略は、FETP(フィールド・エピデミック・トレーニング・プログラム)に基づいて、感染拡大のリアリティをつかみ、そこを封じることでした。
この際、重要なのは、新型コロナウイルスに感染した多くの人々の10人のうち8人までが、他者に感染させていないことでした。残りの1人も1人にしか感染させていない。しかし最後の1人が複数に、ときには10人以上に感染させていたのでした。
NHKスペシャル 「新型コロナウイルス 瀬戸際の攻防」より
当初は、性別や年齢などの属性を調べても、それによって感染力が変わるわけではないと判断されました。では何が違うのか。多人数に拡大させている10人のうちの1人の、行動に特徴がありました。いわゆる3密のところに行っていたのです。
それでライブハウスやナイトクラブなど、とくに3密となっているところへ行かないこと。またそうした場の営業の自粛要請が行われました。これに多くの人々が積極的に協力することで、感染の第一波である武漢から入ってきたウイルスの、爆発的な感染拡大を未然に防げました。
ここで注目していただきたいのは、主に感染を大きく広げるのが、10人に1人であることです。この点に着目するがゆえに、「感染者の大きな部分をPCR検査で見つけて隔離する」方針は採らずとも、みんなの力で、有効な対策ができたのです。
NHKスペシャルの同番組より
この戦略が、クラスター対策班からは丁寧に説明されているものの、政府がまったく説明しません。安倍首相など、そもそも理解すらできていません。他の政治家も代わって説明してくれない。だから、人々にきちんと伝わってきませんでした。
このため「どうして町を歩いている、無自覚な感染者を隔離してくれないんだ」という不安が拡大してきました。
しかし端的に「町を歩いている無自覚な感染者」は、3密のところにいかなければ、ほとんど感染させないのです。しかも大半は医療の手を借りずとも治っていく。だから3密を避けるのは重要なポイントですが、これは、日本が独自に編み出した戦略です。
続く
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