明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1743)東京は世界一危険(洪水・高潮などで)!オリンピックを返上し防災と被災者救済に徹しよう!

2019年10月23日 11時00分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20191023 11:00)

71河川128か所決壊、265河川氾濫の意味するもの

台風19号被害の拡大が続いています。NHK23日8時39分発表のニュースによると亡くなった方は84人に達してしまいました。依然9人が行方不明です。悲しいばかりです。
河川の決壊・氾濫数はNHK18日20時45分の記事によるものですが、昨日も千曲川支流の浅川の周りで避難指示が出されるなど、まだまだ危険な事態が続いています。
今回の豪雨でこの数を上回るさまざまな河川、あるいはさまざまな地点が激しいダメージを受けているので、今回より少ない降雨でも決壊が起こる可能性があります。被災地の方は本当に気を付けて下さい。


千曲川の堤防が決壊し、浸水する長野市豊野町豊野の住宅街=2019年10月13日午前8時9分、毎日新聞社がヘリから撮影

この決壊の連続は、日本の防災体制の根底を覆すものです。どれほど重大な事態かを明らかにするためにこれまでの河川決壊数をみていきましょう。NHKのクローズアップ現代で報じられたことをご紹介します。
番組の中で「堤防決壊した河川数」というボードが示されたのですがそこでは2000年から2009年までの10年間が平均3河川だったと書かれています。
しかしよく見ると2001年からの3年間はゼロです。2004年だけ10河川となっている。これは「平成16年7月新潟・福島豪雨」と命名された災害があったため。信濃川水系の支流の堤防11カ所が決壊しています。

これに対して2010年から2018年までは平均9河川と書いてある。しかしこの示し方もあまりよくありません。「平成27年9月関東・東北豪雨」があった2015年に20数件、「平成30年7月豪雨」があった2018年に25件も起こっているからです。
ここにはやはり気候変動の影響が大きく表れていると思います。2001年からの3年間ではひとつも起こらなかった河川決壊が2015年20数件、2018年25件と増え、今回、71河川128カ所にまで拡大したからです。
このグラフは大変恐ろしい。明らかに右肩上がりで増えてますからこのままではさらなる大災害発生の可能性大です!抜本的に対策を改めて命を守らなければいけない。昨年7月豪雨の死者は263人。にもかかわらず対策をしてこなかった政府の責任大です。


堤防決壊した河川数 クローズアップ現代で掲げられたボードより

東京は世界一危険!

そんな中で今回、東京は壊滅を免れました。多摩川などで決壊があったので被害を受けた方はおられますがしかし偶然にも壊滅を免れただけで備えをしなければ大変なことになります。
そのことを雄弁に語っているものの一つが、再保険会社のスイス・リーが示している危険都市ランキングです。ちなみに再保険とはいわば保険の保険を意味しています。
スイス・リーは2013年9月18日、東京オリンピック開催決定の10日後なのですが、「都市地域の最も大きな自然災害リスクは河川の洪水と地震」とするレポートを発しました。


スイス・リーレポートの表紙

世界の616都市が「洪水、嵐、高潮、地震、津波」などのリスクで比較され、被災する人口が推計されています。
その結果、5つのリスクすべてに影響を受ける人口が最も多い都市は、東京・横浜圏が5710万人でトップ、4位に大阪・神戸圏の3210万人、6位に名古屋圏の2290万人とな発表されているのです。
さらに労働損失日数指数でのランキングも調査されていて、東京圏・大阪圏・名古屋がそろって上位ワースト3を占めています。 以下に記事をご紹介します。

〈 自然災害 危険都市ランキング 〉 世界1位は「東京・横浜」 2020五輪決定直後に公表
防災情報新聞 20140421
http://www.bosaijoho.jp/association/item_6751.html

Swiss Re自身のレポートも掲載されています(英文です)

Mind the risk
http://media.swissre.com/documents/Swiss_Re_Mind_the_risk.pdf


首都圏の多くの地域が利根川や江戸川よりも低い!江戸川河川事務所HPより

洪水は避けられないことを前提に、災害対策の抜本的改革を!

ご覧のように東京でオリンピックをやっている余裕などもはやありません。いや東京・横浜・大阪・神戸・名古屋を始めとした大都市を災害に強い町に変えなくては。
ポイントはもはや河川決壊を完全に防ぐことは無理であることを認識し、全国至るところで洪水被害が発生することを自覚して、堤防だけに頼らない減災対策を進めることです。遊水地を復活させるなど知恵を巡らせなければ。
また繰り返し述べているように、このような状況にあればこそ避難所を改革していく必要があります。

強調したいのはもはや高額のF35戦闘機なんて買ってはいけないということです。国防というならば実際に何度もこの国に住まう人々を死に至らしめている自然災害にこそ立ち向かわなければ。
アメリカ・トランプ大統領に「災害対策・被災者対策を進めるために買えなくなった」と断れば良いのです。それこそ人の道です。
また自衛隊の災害救助隊への抜本的改編も進めて欲しい。そのために「人を殺す」教育を受けている隊員たちのマインドコントロールを解除するプログラムも必要ですが、ともあれ迷彩服を止めてオレンジなど、被災者に目立つ防災服に代えて欲しい。


救助隊はオレンジなど目立つ服を着るのが常識。この人々は反射板もつけている


自衛隊は敵から見えないための迷彩服を着ている。熊本地震で派遣された部隊は見事に周囲の緑に溶け込んでいた・・・

避難所改革はさまざまなやり方があります。京都市に住まう僕が考えているのは、京都市がたくさんある有名ホテルなどと連携し、いざというときの避難所に活用するとともに、それぞれの避難所の食事をホテルのシェフに司っていただくことです。
また茶の湯の大家がたくさんおられるので避難所でお茶をたてていただく。災害時の荒ぶった心をしずめていただくのです。それらを通じて、避難所をもっと行きやすい場所に変えていく。そのことでもっと早くから避難を促進するのです。
また避難所改革を各自治体や町内会の力で進めていくのです。「地区防災計画」の活用です。それぞれの地域で避難弱者を減らしていく。命が守られる街づくりを下から進め、行政がそれを支えていく。

みなさん。命を守るために、こうした大変革を進めましょう。
そのためにも足元から行政のあり方、災害対策のあり方を変えていきましょう。
住民が大きく参加し、行政と市民の命を守るコラボレーションを強化していきましょう。

 

 


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