明日に向けて

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明日に向けて(1508)原発はコスト高でもはや無理!トルコ、日本、世界の連携を強め、核の時代を終わらせよう(伊方原発訴訟審尋の報告を兼ねて)―連載1500回越えにあたりカンパを訴えます(7)

2018年04月26日 15時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20180426 15:00)

連載1500回越えに際してカンパを訴えている最中の一昨日、トルコへの原発輸出からの伊藤忠の撤退というニュースが飛び込んできました!
その前日に僕は広島高裁に赴き、伊方原発3号機を止め続けるために裁判=異議審に参加してきましたが、実はこの場でもトルコとのつながりを思い起こしていました。その点を広島でもお話してきたばかりだったので縁の深さを感じました。
というのはこの裁判、原発を止めるために全国を飛び回っている河合弁護士とともに主軸を担っているのが東京弁護士会所属の甫守一樹さんで、昨年、僕は彼と一緒にトルコのシノップを訪れているのです。
この日の報告会で僕は発言の機会をいただけたので、審尋の感想に加えて、私たち二人のトルコへの関わりも紹介させていただきました。それで帰ってきたら「伊藤忠撤退」のニュース。なんだか何かに動かされているようです!

この日の審尋は、昨年12月13日の広島高裁決定によって伊方3号機が動かせなくなっていることに対し、四国電力が行った異議申立のもとで行われたもの。
非公開で傍聴はできないのですが、四電側が多数の入廷を申請したのでこちら側も本訴の原告などが入廷できることになり、僕も加わりました。
審尋では双方から出されている書面の確認がなされるぐらいだったのですが、特徴的なこととして四国電力側から「原発を止められて自分たちは回復しがたい損害を被っている。だから一刻も早い対応を」という発言がなされました。
これに対して河合弁護士から「回復しがたいとは何事か。たかだか金銭のことだけではないか」と力強い批判がなされましたが、四電は反論しませんでした。

一方で四電は「科学者の調べは本人質問ではなく書面でやっていただきたい」と強く述べ、これを裁判所が受け入れてしまったので、こちら側の中野弁護士から裁判長に対する鋭い問いかけがなされました。
この裁判では火山の長期的動向や伊方への影響を含めて「科学の不確定性」そのものが課題として浮上しています。だからこそ裁判官に直接、科学者の発言を聴き大事なニュアンスをつかんで欲しいというのです。これも重要なポイントでした。
審尋について、より詳しくは甫守弁護士による総括的説明を収録しましたので以下をご覧ください。

伊方原発差止訴訟 異議審第1回 甫守弁護士の総括的説明(弁護士会館での報告会にて)
https://www.facebook.com/toshiya.morita.90/videos/pcb.10213600307420336/10213600276099553/?type=3&theater

今回は以上を踏まえて僕が発言した内容を文字起こししてお届けします。伊方とシノップのつながりも感じていただけると嬉しいです。

***

伊方原発3号機差止仮処分審尋後の報告会での守田の発言(抄録)

京都からきました守田敏也です。
今日の審尋の内容を分かりやすく説明していただけましたが、僕が印象的だったのは債務者の四国電力側が、原発が停められて「回復しがたい被害が出ている」と、それこそ泣きださんばかりに言っていたことです。「本当に辛い」という感じで。
これにはある意味、本音が入っていたと思うのですね。というのは運転停止決定のあとの12月末に大飯原発1,2号機の廃炉が正式決定しています。「安全基準を満たすためにはコストが高すぎる」ことが理由です。
その後、3月27日に伊方原発2号機の廃炉も決まりました。やはり安全対策費がカバーできない。また「それだけ費やして動かして突然裁判で止められたのではたまらん」というのが理由です。その点で私たちは電力会社をかなり追い詰めていると思うのですね。

また審尋では、中野弁護士が四国電力が科学者の証人調べを拒否し、裁判所も追認していることへの批判を力強く述べてくれたのですが、向こうには「法廷で直接科学者に話されたらまずい」という感覚がありありでしたね。
電力会社は火山の噴火の評価など、あたかもなんでも分かっているような言い方をしていますが、しかし実は科学でも分かってないことがたくさんあるのですよね。だから「分からないことを決めてはだめでしょ」ということになるわけです。
それを無理矢理に分かったことにしてきたことが大きく崩れだしているがゆえに、電力会社がこの点の論議を避けていることがよく分かりました。それらから短い時間でも弁護団の方たちが四電をしっかりと追い詰めて下さっていることが分かりました。

もう一つ、ご紹介したいのは、僕はトルコへの原発輸出に反対していて何度も訪問しているのですが、実は去年の4月は甫守さんと一緒に行ったのです。トルコの弁護士協会が呼んでくださいました。
その時に僕は原発の構造的な危険性について話し、甫守さんは2014年に福井地裁が出した大飯原発差止訴訟の判決を縷々読んだのです。そしたらトルコの弁護士たちが「こんな判決が出ることが可能なのか」とすごく喜んでくれました。
僕の周りには知り合いがいて「やったな」と背中をバンバン叩くのです(笑) 痛がりながら「こんな判決は日本でも初めてなんですよ」と言ったのですけれども「謙遜するなよ」とさらにバチンと叩かれた(笑)。

今日は甫守さんが話しているところの動画を撮ったのでこれもトルコで流してもらおうと思うのですよ。トルコ弁護士会の方は甫守さんを知っているので「どうも甫守は今度は伊方というところを止めているらしいぞ」という話になると思います。
それで「日本の人たちが止めなければいけないものなんて輸入しちゃだめでしょ」という声が強まり、トルコが輸入を止めたら、日本のメーカーがさらに苦しくなってやめざるを得なくなっていきます。その道を僕はさらに切り開こうと思います。

あともう一つ、僕は京都「被爆2世3世の会」に入っていて、5月19、20日に京都で被爆2世3世全国交流会を開くのでぜひ参加して下さい。
これは被ばく後のことです。ご存知のように広島・長崎の被害はものすごく過小評価されてきています。それを基準に、被曝はどれぐらい危険なのかということが言われているわけですよね。
だからもう一度、私たちが隠されてきた広島・長崎の被ばく実態を明らかにすることで、コストの面から追い詰めていくだけではなくて、被曝の危険性という一番大事な問題をもって、原発を止めるように迫っていきたいです。

その点でこの裁判が掲げているスローガン、「被爆地ヒロシマが被曝を拒否する」というのは本当に素晴らしい。「もう二度と被曝を許してはいけないんだ」ということで頑張りたいと思います。
今日は参加させていただいてありがとうございました!

***

世界との連携で核の火を止めるためにぜひ支援をお願いします。

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