明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(2095)黒い雨裁判を深く取材した小山美砂さん、宮崎・早野論文の不正を暴いた島明美さんについてー9月12日zoom公開講座、大盛況でした

2021年09月11日 23時00分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210911 23:00)

公開講座、200名以上のご参加のもと大盛況のうちに終了しました。
録画をお届けします。記事もお読み下さい。(9月17日追記)

zoom公開講座「被爆二世問題・運動の歴史と今後の展望」 2021年9月12日


9月12日(日)zoom公開講座「被爆二世問題・運動の歴史と今後の展望」へのお誘いの4回目です。午後3時から6時です。無料です。

いよいよ明日ですので最後のお誘いです。今回は森川さんの講演のあとに報告する4人のご紹介です。
それぞれエッセンスしかお伝えできませんが、前回の記事で木原省治さんの『僕のヒロシマノート」をご紹介したので、あと2人、小山美砂さんと島明美さんをご紹介します。


黒い雨裁判で勝利した原告のみなさんを一番熱く丁寧に取材された小山美砂さん

小山美砂さんは毎日新聞広島支局の記者さんで、黒い雨裁判を深く取材された方です。
まずはこの記事をお読み下さい。上告棄却による判決確定後の8月6日に載せられた記事です。

「黒い雨」訴訟不参加者の援護は 許されぬ被爆者「線引き」=小山美砂(広島支局)
https://mainichi.jp/articles/20210806/ddm/005/070/008000c

小山さんはこの記事の中で、原告の高東征二さんのこんな言葉を紹介しています。
「すっごいうれしい。じゃが、わしだけがもろうてええ気になっちゃいけん」。今月3日に手帳を受け取った原告の高東征二さん(80)=広島市佐伯区=は表情を引き締めた。
脳梗塞などの病に苦しみながら、周囲にいる被害者の証言の聞き取りに奔走し、支援してきた。判決確定後には高東さんのもとに「私も手帳をもらえるんでしょうか」と多くの相談があった。
「わしの手帳をあげたいとさえ思う。病気で原告に加われなかった人もたくさんいる。内部被ばくする状況にあった人を広く救ってほしい」。
全ての黒い雨被爆者が救われて初めて、運動に終止符が打たれるのだと思った。」

(記事の引用はここまで)

実は僕も8月7日に、小山さんに誘っていただいて、高東さんにお会いし、一緒に黒い雨降雨地域を周ることができたのですが、その時にも同じ言葉を聴いて胸を打たれました。
前号で、ヒロシマの体験は人に優しさを教えていくという木原省治さんの言葉を紹介しましたが、この時も僕は「高東さん、優しいなあ。この優しさが問題の解決を求める原動力なんだな」と強く感じました。

小山さんはこういうところを見逃さない。原告の方それぞれが絞り出すように語った言葉を、きちんと拾っておられる。
どうか短い時間ですが、その小山さんのご報告をお聴き下さい。


宮崎・早野論文の不正をあばいた島明美さん

もう一人の発話者、トップの僕に続いてお話するのは、福島県伊達市在住の島明美さんです。「個人被ばく線量計データ利用の検証と市民生活環境を考える協議会代表」でいらっしゃいます。
宮崎・早野論文とは、福島医大の宮崎真准教授と、東京大学の早野龍五名誉教授が共著で書いた論文で、伊達市の被曝状況や市民の生涯被曝線量予測などを論じたもの。
英学術誌『Journal of Radiological Protecion』に2016年、2017年に掲載されたのですが、実はこれが相当に飛んでもないしろものだったのです。

どうとんでもないのか。一つに伊達市が2011年から2015年にかけて市民の線量計(ガラスバッジ)を渡して計測した、市民の9割前後の約58000人分のデータが使われたのですが、4割以上の約27000人の同意を得てなかったのです。
この論文はこれだけで倫理的にアウトであり、実際に2020年7月に二つの論文とも撤回されました。しかしその後に問題がもっと深いことが見えてきました。
例えば二つ目の論文では伊達市の人々の予測される「生涯線量」がかなり低く見積もられていた。実際に指摘を受けた早野氏が、2019年1月に文科省記者クラブに訂正分を提示。なんと3分の1の過小評価になっていたと告白しました。
さらには2014年10月から12月の解析対象人数が計測に参加した住民数より多いのです。データそのものが捏造された疑いが濃厚です。

島さんはこれを明らかにする画期的な役割を担われました。もともと伊達市は市内の除染を三つのエリアに分けて行うとしましたが、伊達市の70%を越す島さんも住むCエリアが、面的除染の対象から外されてしまいました。
これに対して島さんはやむなく自主除染をされましたが、その後も「絆、復興、風評被害ーとこの三つの言葉だけは私は絶対に受け入れられない」と語って、伊達市の問題を発信し続けました。

これに、つくば市の大学共同利用機関・高エネルギー加速器研究機構の黒川眞一名誉教授が着目。黒川氏は同時に早野龍五氏らの論文発表に気づき、それを島さんに伝えました。
そこから数名の仲間とともに黒川ゼミが立ちあがり、共同作業が始まりました。島さんは、市民の被曝線量データなどを情報公開請求などで集める役割を担い、黒川名誉教授と二人三脚で宮崎・早野論文の不正を暴いていったのです。
今回、島さんがそれらの経験に踏まえてお話して下さいます。(島さんの活躍については、『週刊金曜日』1313号掲載の本田雅和さんの論稿を参考にまとめさせていただきました)


以上、3人についてほんの少しずつご紹介しました。
僕は京都被爆二世三世の会で行ってきた被爆二世三世健康調査アンケートについてお話します。
森川さんの主著に関連するし、さらには島さんが不正を暴いた早野龍五氏とも関連していきます。内容はこうご期待です。
ともあれみなさん。現時点でもかなりの方からもお申し込みが集まっています。ぜひこのチャンスをお見逃しなく。
明日12日午後3時にzoomの場でお会いしましょう。(現在、アーカイブ準備中です。9月13日追記)

#被爆二世 #放射線被曝の遺伝的影響 #黒い雨訴訟 #高東征二 #宮崎早野論文 #伊達市 #小山美砂 #島明美 #黒川眞一 #早野龍五


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