ぼちぼち日記

大切な日々のこと

『海』

2007-06-15 10:07:42 | わたしの読書
『海』 小川洋子

これぞ、小川洋子という短編集でした。
不思議で、ゾワゾワする恐ろしさがあって、それなのに、すぐ隣で起こっていそうな物語。『ミーナの行進』は、今のところ、小川さんの作品で一番好きだけれど、やっぱり、彼女の短編集には、長編とは違う魅力があるなあ。
特に、彼女独特のラストは、どの作品においても、最高のインパクトです。ラストを読み終わったときに生まれる、なんとも言えない空虚感。これに、いつも参ってしまう。まるで、麻薬のようです。

『アンネの日記』にまつわるエッセイを読んだとき、小川洋子という人は、なんて、普通の女性なんだろうと、拍子抜けしてしまったのを覚えています。
でも、普通の女性だからこそ、こういう、不思議空間を作ることが出きるのかもしれないなあ。
耳をすませて、目をこらして・・・当たり前の風景を愛おしく感じることが出きる人だからこそ、日常に潜む不思議や愛や悪を、こんなにもリアルに描けるんじゃないかなあ。

基本的に、外国文学を除き、自分より年下の作家と女流作家は読まない人でしたが、それを見事に打ち破ってくれたのが、小川洋子さん。それどころか、いつの間にか、ファンになっています(笑)
さあ、次は、何を読もう。

この短編集の中の一番のお気に入りは、『ガイド』でした。

最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
私も! (naoko)
2007-06-15 11:43:26
私も「海」一昨日読み終えました。
私のお気に入りは『ひよこトラック』。
だんだんぬけがら集まっていく所がとてもよかった。
そしてそれを二人で眺めるところも・・・。
ガイドもよかったけど切なすぎて苦しくなったよ~。
活字をひろうヤツはグロテスクで小川洋子の本領発揮!って感じで面白かった。
それにしても小川さんはお姉ちゃんより年下だったのか!?ビックリ!!
若いのにあんな本が書けるなんて、作家ってホントすげぇな(←村上風)。
naoへ (こもも)
2007-06-15 13:54:21
いやあ、年上ですよ。小川さんは。
年下と、女性はということです。(絵本は別ですが)
女性も、外国の人なら読むというところが・・・何だったのでしょうねえ。
でも、小川洋子さんが、私の中ではじけてしまったので、今は、何でも読みます。一度、壁が取り払われると、何で、あんなに拒否していたのかさえ、わからなくなります。えへ。

活字をひろう話は、あまりにグロテスクで、途中で、気持ち悪くなっちゃったのよ。私。
本当に、本領発揮ですねえ。これぞ、小川さんの短編!って感じです。次は、何を読みます?
next (nao)
2007-06-15 19:40:07
 それはズバリ「ジェラス」では!?
私はミスチルの桜井さんがデヴューして同い年だと知ったとき、なんとも言えない感情がふつふつと沸きました。ミスチルにジェラシーってどんだけ脳内妄想で大物なんだ私!(笑)
でも同い年の人はそれだけで応援したくもなります。
プロ野球選手も、歌手も、役者も、今TVを賑わし活躍されている「旬」の人はみな年下になりつつあり、内心おだやかではありませんが「慣れなければ仕方ないんだ」と自分にいいきかせているのです。ははは。

お次は『密やかな結晶』にしようかな、と思っています。ちょっと読み応えありそうな厚みではありますが。
naoへ (こもも)
2007-06-17 10:52:27
やっぱり?だよね。
で、最近、平気になったということは、ジェラシー感じる野心もなくなったということだよね。
年をとるって、こういうことなんだなあ。しみじみ。

「密やかな結晶」。面白そうな題名ですね。

コメントを投稿