goo blog サービス終了のお知らせ 

ぼちぼち日記

大切な日々のこと

『たんぽぽのお酒』

2010-02-05 12:52:24 | わたしの読書

『たんぽぽのお酒』レイ・ブラッドベリ

ずっと、ものすごい勢いで、本を読み続けていたのだけれど、この本を開いてから、ぱたりと
止まってしまいました。
減速。どころではなく、ストップです。
まず、一ページ読んで、全く、本当に全く、言葉が頭に入ってこないことに気がつきました。
どうしたんだろう・・・と焦りながら、もう一度、さらに、もう一度、読み返しました。
なんと、3日かかって、数ページ。頭を抱えました。

もしかして、今までの本は、ナナメ読みで、読みこなしてきたのだろうか?
だから、難しい本に、頭が切り替わらないのか?
それとも、この物語が、私には合わないのだろうか?
戸惑いながら、気付いたら、3週間以上も、この本と格闘していました。
(他に、予約を入れる人がいなくて良かった!)

3週間。半分以上も読み終えていた自分に、心底、驚きました。(永遠に終わらないのかと思った!)
そして、読んでいる間中、子ども時代を思い出すときに感じる、あの初夏の夕暮れの時間を
ずっと、感じていることに気がつきました。
あの匂い、風、幸せの感覚。
そう。この本を読んでいる間中、私は、幸せを感じていたのです。

ようやく、読み終えたとき、頭に浮かんだのは、「時間」という言葉。
きりとられた「時間」が、まるで、パッチワークのように、散りばめられた本でした。
しかも、その並べ方は、たぶん、何も意図せず、思いつくまま。
これがまた、後から考えると、最高に良いのです。
再読したら、それぞれの物語が、前とは違う場所に収まっているような、そんな気さえします。


本当に、この本は、なんだったのでしょうか。
これは、小説なんだろうか?・・・・・・いや、これは、小説という名の「詩」に違いない。
風景の描写一つとってみても、これを「詩」といわずに、なんと言うのでしょうか。
だから、この本は、頭で読むのではなく、感性で読まないといけないのです。
(きっと、その読み方に面食らって、慣れるまで、なかなか進まなかったのでしょう)

面白い児童書を読むと、必ず、子どものときに出会いたかったと、子どもたちに嫉妬
してしまう私ですが、この本に関しては、正直、よくわかりません。
子どもの感性で読んだら、いったい、どうなっちゃうのか、想像もつかないのです。
でも、もしかしたら・・・・・・・ちっとも、不思議な本に思わないかもしれないな。

気に入っている「老女と若者の恋」についての話や、「蝋人形にされた魔女」の話など
たぶん、子どもの頃の私にとっては、何の不思議もない話だったかもしれず。
こんなこと考えて、毎日暮していたような、そんな気がしてならず。
なんだか、あの頃が、まぶしくて、まぶしくて・・・それこそ、切り取っておきたいぐらい!
佐野洋子さんに「子どもの頃が、一番良かったと思いだしたら、あんたも年寄りだよ!」
と、言われてしまいそうだけれど(笑)


こんな不思議な、素敵な本と出会わせて下さった方々に感謝しつつ・・・・・
未だに、うまく感想が書けない自分に呆れつつ・・・・・