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今日の筆洗

2019年05月26日 | Weblog

 アーサー王が強敵、黒騎士と決闘する。腕にまさりしアーサー王。相手を終始圧倒するが、この黒騎士、不死身なのか、どんなに傷ついても、負けを認めず、なお闘おうとする▼ついには両腕と両脚までも失った黒騎士がこんな提案をする。「なあ、引き分けということにしないか」。あくまで負けを認めない。英国の国民的コメディー集団モンティ・パイソンの映画にこんな場面がある▼欧州連合(EU)離脱問題の解決に万策尽きたか。英国首相のメイさんが辞任を表明した。オランダのルッテ首相が最近、メイさんのことをパイソンの黒騎士にたとえて頭が下がると語っていたが、あきらめない黒騎士メイさんもついにである▼もともとは離脱慎重派である。本音では意に沿わぬ離脱だったかもしれぬ。それでも国民が離脱を選んだのだからと、秩序ある離脱に向けてEUとの交渉、議会の説得に走り回ってきた▼結局、離脱か残留かで分かれる国論をまとめ切れなかったといえばそれまでかもしれぬ。勝てると踏んだ二〇一七年総選挙で保守党が敗北するなど政治的悪手もあったが、あの手この手で高き山に挑み続けた孤独な姿を思えば、辞任にいささか感傷的になる▼辞任表明では少し涙ぐんでいたか。五月(MAY)の子規の句が浮かぶ。<五月雨は人の涙と思ふべし>。メイさんの涙の後も離脱問題の行方は見えない。

 
 

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