東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2019年05月10日 | Weblog

トランプさんの政治、外交のやり方は人間の愚かさを戒める寓話(ぐうわ)を引き合いに出すと説明しやすい。おそらく、いにしえから人間が陥りやすいワナにひっかかりやすい大統領なのだろう。というわけで、本日はイソップの「金の卵を産む鵞鳥(がちょう)」の巻である▼神様に金の卵を産む鵞鳥をもらった男がいた。金の卵はありがたいが、産むのを待たなければならない。もっと大量に金を手に入れたい▼男はひらめいた。鵞鳥の中身は丸ごと金なのではないか。男は鵞鳥を殺して確かめた。が、中身は普通の鵞鳥と同じ。鵞鳥は死んだ。イソップはこう結ぶ。「欲張りは今以上のものを欲しがって、今あるものを失ってしまうのだ」▼今あるものを失うのか。核開発規制のイラン核合意が風前の灯(ともしび)の状態にある。イランは八日、核合意の履行の一部停止を宣言し、場合によっては核開発を再開すると警告した。米国が昨年、核合意から離脱し、イランへの経済制裁を発動したことへの対抗措置である▼オバマ政権が主導した核合意は中東の平和と安定を生む鵞鳥になれたはずである。トランプ政権は合意に満足せず、より米国に有利な内容を求め、離脱というナイフを鵞鳥に刺した。そしてイランもまた鵞鳥をあきらめようというのか▼まだ、かすかに息のある鵞鳥を助けたい。その鳥が息絶えた後の中東の緊張をおそれる。すでにキナ臭い。

 
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】