東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

キリル・ベロルコフ-ヴィクトリア・カルチェンコ| クレムリンカップ2021 | ルンバ| 決勝| プロフェッショナルラテンWDC

2021年07月31日 | Weblog

キリル・ベロルコフ-ヴィクトリア・カルチェンコ| クレムリンカップ2021 | ルンバ| 決勝| プロフェッショナルラテンWDC


今日の筆洗

2021年07月31日 | Weblog

夏の涼しさは東京の名物であったらしい。物理学者の寺田寅彦が随筆に書いている。<夏の夕べの涼風は実に帝都随一の名物であると思われるのに、それを自慢する江戸っ子は少ないようである>と▼今同じ自慢をする方は、どれほどいるだろう。寺田がたたえている帝都の涼しさは、熱をためるコンクリートやアスファルトに大都市が覆われる前のものだ。熱帯夜なる言葉も今ほどの気候変動への恐怖もない、八十年以上前である▼こちらの自慢めいた言葉はなんだろう。報道で今ごろ知ったことを白状しつつであるが、東京五輪招致の際の立候補ファイルは、この時期の東京を「温暖」な気候とうたっている。英語を見ると、マイルドとあった。「穏やかな気候」か。涼風が吹いていそうだ▼今大会で高温多湿にやられる選手が続出している。穏やかならざる事態だ。テニス女子のスペイン、バドサ選手はメダルを狙っていたが、熱中症とみられる症状でシングルス準々決勝を棄権した。競技をする暑さではないという声が出ている▼招致に成功しても、うまい対策は見つかっていないようだ。つけを払わされるのが選手では気の毒である▼この時期の開催は巨額の放映権料を払う米放送局の意向という。収入は大切だが、選手の健康や競技の質以上ではない。猛暑が名物とやゆされることになりかねない大会は今後も気がかりだ。


今日の筆洗

2021年07月30日 | Weblog
母は息子が一年前から使っているはずのノートをひろげた。まっさらだ。先生にちょっとは宿題も出してほしいと言うと反論された。毎日出しています、益川君だけがやってこないと。「だって、遊びのほうが面白いではないですか」。名古屋市での少年時代を理論物理学の益川敏英さんが、人懐こい笑顔で振り返っていたのを覚えている▼苦手なことやきらいなことのある人だったようだ。特に英語。ノーベル賞の記念講演の大半を日本語で通していたのは記憶に残る。好きな学問に対しては熱かった。高校時代に物理学者の坂田昌一氏の理論を知り、魅了されると、そこから猛勉強を始めている▼難解な理論でノーベル物理学賞を受賞してからも、わが道を行く「益川君」や「益川青年」の面影が、どこかに残っていた方ではなかっただろうか。昨日、訃報が届いた。八十一歳だった▼ノーベル賞にいたる有名な入浴のエピソードも、学者のイメージから、少し外れている益川さんらしい。理論がうまくいかないという論文を書こうと風呂の中で考え、立ち上がったところでうまくいくアイデアがひらめいたという挿話である▼空襲を経験している。目の前に落ちた焼夷弾(しょういだん)が不発でなければ、ノーベル賞もない。反戦の学者だった坂田氏のように、平和への訴えも熱かった▼日本の未来を憂えた人が去った。寂しく残念な別れだ。

 


今日の筆洗

2021年07月29日 | Weblog

「夢」「永遠」「未来」「成長」−。習字の課題に似ているが、違う。近くの図書館の蔵書から、「何々へのパスポート」という題の本を探すと、たくさんあった。「合格」や「国際人」「幸せな老後」も▼中には「犯罪」や「戦場」などというのもあって、一概には言えないが、「パスポート」という言葉が、好ましい状況を実現する手だての例えとして、広く使われてきたのが分かる。旅券と訳す本来のパスポートのほうは、通過と港などを意味するフランス語が由来らしい。船の出入港の許可が、人の渡航にも使われるようになったようだ▼新しい「パスポート」を待望している人は多いだろう。申請の受け付けが始まった新型コロナウイルスのワクチン接種の証明は「ワクチンパスポート」と呼ばれる。「隔離の免除」をはじめ「ビジネス」「留学」などへの手だてとして、対象国が増えれば、重要な証明になりそうだ▼好ましそうに思える一方で、渡航先に限らず、国内での運用を求める声もある。活用の仕方次第で、経済への効果がありそうな分、接種しない選択をする人や健康上の理由で接種できない人たちに大きな不利益が生じないか、心配になる▼接種は任意である。接種できない人の身にもなって慎重に考える必要があるはずだ▼「国際人への」であっても「冷遇への」であってはならない新パスポートであろう。


今日の筆洗

2021年07月28日 | Weblog
一九四五年八月六日、出張先の広島で被爆し、三日後の九日には帰郷した先の長崎で再び、被爆した山口彊(つとむ)さんにこんな短歌がある。<黒き雨また降るなかれにんげんがしあわせ祈るための蒼穹(あおぞら)>▼原爆投下後に降る放射性物質を含む黒い雨。今は「蒼穹」だが、黒い雨なぞ二度と見たくない−。過去の痛みと未来への祈りがこもる▼一方、同じ黒い雨に遭ったその人たちの頭上にはそんな「蒼穹」は今まで広がっていなかったのだろう。黒い雨の後にも別の冷たい雨が降っていた。「黒い雨」をめぐる集団訴訟。菅首相は原告全員に被爆者健康手帳を与えるとした広島高裁判決について上告を断念する考えを表明した。原告の全面勝訴が確定する。やっとその雨も上がるか▼原告は黒い雨を受けながら国の定めた降雨区域ではないと線引きされて被爆者として認められなかった人々である。同じ黒い雨にも被爆者と同じ援護の傘に入ることを許されず無情の雨に打たれていた。「なぜ」という気持ちを抱えながら震えていたはずだ▼首相の政治判断による上告断念という。ひとまずは多とするが、もう少し早く決断できなかったか。「蒼穹」を感じることなく亡くなった命を思う▼原告と同じ区域の生存者は約一万三千人。幅広く速やかな救済を願う。まず考えるべきは新たな線引きではなく、雨にぬれた人へのいたわりであろう。

 


今日の筆洗

2021年07月27日 | Weblog
 将棋の羽生善治さんは人前で話すのが大嫌いだったそうだ。タイトル戦の表彰式でわずか数分のお礼の言葉を述べるときでさえ、足の震えが止まらなかったと書いている▼その後、それほど緊張しなくなった。あるとき、こう気づいたからだそうだ。「自分の話をまったく聞いていない人もいる。聞いたとして、すぐに忘れる人もいる」。なるほど。そう考えると、少しは気が楽になるか▼このチュニジアの選手も次のパリ五輪での金メダルが目標だったそうだから羽生さんと同じような心境だったかもしれない。東京五輪の競泳男子四百メートル自由形で優勝したアハメド・ハフナウーイ選手である▼予選通過は最下位。失礼ながら注目されていなかった無名の選手が残り五十メートルから逆転し母国に史上五つ目の金メダルをもたらした。「自分でも信じられない」。レース後の涙が印象に残る▼決勝タイムは自己記録から約五秒も短縮している。五輪という大舞台の上で急成長し普段以上の力を発揮できた十八歳がまぶしい。受験生なら本番の強さにあやかりたくなるか▼同じ日、チュニジアでは反政府デモの拡大を受け、大統領が議会の停止を宣言した。独裁政権を倒した「ジャスミン革命」から十年となるが、政情は落ち着かぬ。コロナ禍と経済不振も国民を苦しめる。奇跡の金メダルが少しでも国民の慰めと希望につながればと願う。

 


今日の筆洗

2021年07月26日 | Weblog

 子どもの読書感想文の書き方を教えてほしいと頼まれた。どなたにも覚えがあろう。夏休みの読書感想文は難題である。そのせいで読書が嫌いになったと言い張る大人も何人か知っている▼子どもが本嫌いになるのは忍びない。原稿用紙の九割方をあらすじの要約で埋め、最後に「おもしろかった」と書いていた身には荷が重いが、簡単な書き方を考えてみる▼最初から原稿用紙に書かない方が良いだろう。まずはメモ用紙を四枚、用意。一枚目には「どんなお話か」、二枚目は「一番好きな場面とそのわけ」、三枚目は「一番嫌いな場面とそのわけ」、四枚目は「主人公のかっこいいところとそのわけ」を書いてみる▼難しいのは、「どんなお話か」、つまりはあらすじで、できるだけ簡略に書く。エジソンの伝記なら「少年が苦労をして発明王になる話」程度で構わない。二枚目以降も細かく書く必要はない。ただし、思ったまま正直に。先生にほめられたいと悩むから書くのがつらくなる▼四枚のメモを基にもう少しだけ詳しくしながら、全体を下書きしてみる。部品を作り、後で組み立てるやり方なら手順がはっきりしている分、少しは書きやすいだろう▼先生の評価は保証できないが、物語のテーマソングを作詞し、書き添えるという手もあるか。おもしろそうだし、なによりも、子どもが喜んで書いてくれそうな気がする。


今日の筆洗

2021年07月25日 | Weblog
 「旗を揚げる」とか「旗印にする」。この場合の「旗」には理念や理想、方針という意味があるのだろう▼東京五輪の開会式で、新たな「旗」が掲げられた。これまでは一人だった旗手を男女一人ずつの計二人で行うことにした。長い五輪の歴史の中でも初めてのことである▼過去の大会でも女子選手が旗手になるケースはあったとはいえ、大半が男子選手。国際オリンピック委員会(IOC)は昨年三月、男女平等の観点からこれを見直そうと参加国に対し男女一人ずつの旗手を選ぶよう奨励していた▼当日の入場行進を見れば、大半の国がその要請を受け入れ、男女で旗を掲げている。身長差のある男女が旗ざおを握ってともに歩くのは難儀なようで相手を引っ張ったり、引っ張られたりというシーンもあったが、これはこれでほほ笑ましい▼旗ざおを男子が握り、旗の端を女子が持つというスマートな国もあった。なるほどこれなら歩きやすい。日本は交代制でレスリングの須崎優衣選手とバスケットの八村塁選手が交互に旗を運んでいた。身長も歩調も異なる男女がどうすれば平等にそして円滑に旗を運べるかと知恵を絞る。平等な社会に向けた手本となる態度だろう▼男子が一人で旗手を務める国もあった。歴史は簡単には変わらないが、続ければ、男女の旗手が普通になっていくはずだ。その旗を巻いて逃げてはなるまい。