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今日の筆洗

2019年05月03日 | Weblog

窓からの日の光に浮かび上がる塵(ちり)の量を表す単位が古代インドにあったという。何に使ったか、「トラサレーヌ」と言うらしい。「クローシャ」という単位は牛の鳴き声が聞こえる距離を示していたそうだ▼マヤ文明は二百億日以上を束ねる「アラウトゥン」や三百九十四年余りの「バクトゥン」という暦の単位を持っていた。古今の単位を集めた米澤敬著『はかりきれない世界の単位』にある。人々の世界認識が、単位には映し出されているようで興味深い▼こちらも新しい単位ふうである。「スーパーボウル」。トランプ大統領は、新天皇陛下の即位が米プロフットボール年間王者決定戦の「百倍くらい大事」と安倍首相から聞き、来日を決意したそうだ▼百スーパーボウルの説得力か。米国発の報道では「スーパーボウルと比べ日本人にはどれほど行事はビッグか」と、大統領が尋ねたとある▼ジョークめいた言葉に無粋な指摘かもしれないが、尺度も米国ファーストである。換算困難な価値もあるという認識に乏しい世界観も、映し出しているだろうか。思っていたよりはるかに遠い、牛の鳴き声どころではないほどの距離を感じる▼別の記事に、大統領のうそや誤解を招く表現は一日平均十二回になると米紙が検証したとあった。新単位「トランプ」もできそうではないか。貿易交渉のヤマ場も控える中、遠さばかりを思う。

 
 

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