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今日の筆洗

2017年05月31日 | Weblog

 英語の「ワイズマン(WISE MAN)」は「賢人」。では「ワイズガイ(WISE GUY)」は? 正反対の「知ったかぶり」の意味になる▼ほぼ同じ言葉なのに、なぜこれほど意味が異なるのか。その人工知能(AI)システムの開発でまず、苦しんだのは言葉の問題だった。人の使う矛盾もある自然言語をどう理解させるか▼恋する女性がお相手に「バカ」とささやいてもそれはバカの意味ではない。その手の言葉を教えるとしたらと空想する。その高い壁を乗り越え、完成したのがIBMの「ワトソン」。二〇一一年、クイズ番組のチャンピオンを打ち倒し一躍有名に。最近は医療分野でも成果を上げると聞く▼「ワトソン」に新しい仕事である。ソフトバンクが新卒採用の選考にその頭脳を借りることにした。「ワトソン」に応募者のエントリーシートを判定させるというから最初のふるいである▼さまざまな辞書や文学作品、新聞記事、ウェブページなど約二億ページ分のデータを集積するAIに手抜かりはあるまい。えこひいきもない。作業も大幅に短縮される▼時代とはいえ、ひっかかるのはそれが就職という人生の分かれ目に使われること。若者が祈りを込めて書いたシートを最初に見るのが人ではなくAI。古いやつだとお思いでしょうが、大切な何かが失われていないか。賢人、ワトソンよ。君はどう思う。


今日の筆洗

2017年05月27日 | Weblog

忘れられた人々」という言葉を使って、変革の理念を語ったのは、フランクリン・ルーズベルトである。大恐慌に米国民があえぎ続けていたとき、大統領の座を目指していた彼は一九三二年春の演説で、「経済的なピラミッドの底辺にいる忘れられた人々」のための政治を説いた▼大統領となった彼は矢継ぎ早に政策を打ち出した。大型公共事業で雇用を生み出し、労働者の権利や最低賃金を保障し、「忘れられた人々」の力を復活の原動力にした▼この歴史的重みのある言葉を大統領選の勝利演説で使ったのが、トランプ氏だ。半年前、彼は上気した顔で宣言した。「忘れられた男たち女たちが忘れ去られることはもはやないだろう」▼そんな言葉を忘れたのかどうか。このほど発表された「予算教書」では、国防費の増額などが盛り込まれる一方で、貧しい人たちへの支援は大幅に削減する構えである▼一九三〇年代には、政治に使い捨てにされた人々の思いを代弁したこういう歌があったという。<私の忘れられた人を覚えていますか…/彼を戦場に送り出したのはあなただ/「万歳!」とあなたは叫んだ/それなのに今の彼を見てみよ!>(シュレーズ著『アメリカ大恐慌』)▼失業などにあえぎ、既存の政治への憤りから、トランプ氏に投票した「忘れられた人々」も、「私たちを見てみよ」と叫び始めるかもしれぬ。


チャチャチャのベーシック講習会のお知らせ

2017年05月26日 | Weblog

日時 6月4日(日)14:00〜15:30

会場 熊谷市荒川公民館2階 熊谷市宮前町1-24-1 電話 048-525-0252

持ち物 筆記用具 タオル、ダンスシューズ、水、。

会費 1500円

チャチャチャ講習会のあとルンバ講習会もあります。15:30〜17:00

会費 1500円

両方受講の方は2500円。

初心者でも大丈夫です。

興味のある方は是非、ご参加ください。

参加希望の方はメールでまたは電話でお申し込みください。

info@hoofer.jp

電話 048-522-6998

 

 

 


今日の筆洗

2017年05月26日 | Weblog

 高度経済成長を支えた官僚らの姿を活写した城山三郎さんの小説『官僚たちの夏』の主人公・風越(かざごし)信吾は、巧みに天下り先まで見つけて人心を握り、「ミスター通産省」と呼ばれた男だ▼「おれたちは、国家に雇われている。大臣に雇われているわけじゃないんだ」と公言し、官邸の意向に歯向かい左遷されたこともある▼国会運営に行き詰まり解散総選挙に打って出ようとした首相に、紙の供給を担当する課長として「総選挙をやられるとしても、そのため必要な紙の割当は、一切いたしません」と直言した。総選挙には膨大な紙が必要だが、一内閣の延命のために学用品などに回す紙を犠牲にしてはスジが通らぬと信念を貫いたからだ▼文部科学省前次官の前川喜平氏も、今は禁じ手の天下り問題で処分されたくらい部下の面倒見がよく、「ミスター文科省」と評されたという。ただ、小説の主人公とは違い、役人としてのスジを通せなかったと悔いておられる▼安倍首相の友人が理事長を務める学校法人の獣医学部新設をめぐり、「総理のご意向」に沿う形で、「行政が歪(ゆが)められた」と衝撃の告白をしたのだ▼自身の力不足のために「まっとうな行政に戻すことができなかった」とも言っている。ぜひ、国会で真相を語っていただきたいが、自民党は国会への参考人招致を拒んでいるという。それが「まっとうな政治」なのか。


今日の筆洗

2017年05月25日 | Weblog

 政界用語で「大臣病」といえば、良い意味ではあまり使われない。そのポストを手にしたいという欲望と計算。関心は大臣になって何をしたいか、どんな仕事をしたいかではなく、大臣になること。悲しい「患者」は大勢いる▼珍しい症例もある。その政治家の症状は例の病に似ているが、とにかく仕事がしたいのである。仕事がないことが許せぬ。だから自分を使ってほしいと願う。胸を張るべき「大臣病」の政治家が亡くなった。与謝野馨さん。七十八歳。博識と自信の政治家であった▼経験した閣僚は兼務も含め十以上。聞いたことのない数である。国会で官僚との二人羽織よろしく、耳元で答弁を教わる大臣は珍しくないが、その必要の一切ない本物の大臣だった▼「自分はアウト・オブ・ポリティクス(政治の外側)」。長い間口癖になっていた。政争や権力闘争だけの政治屋にはならぬ。政策と仕事の政治家になる。そうご自分に、言い聞かせていたか▼その分、自民党の野党転落や落選で仕事ができなくなると、ひどく気落ちしていた。自民党を離れ、民主党政権でも閣僚になったのはただ仕事がしたいの熱のせいかもしれぬ▼<六分の侠気(きょうき)四分の熱>。祖父与謝野鉄幹の「人を恋ふる歌」。国会運営に長(た)け、野党の切なさも理解した。今の自民党に最も欠ける部分である。侠気と熱の政治家が人生という議場を去る。


今日の筆洗

2017年05月24日 | Weblog

「PとQに気を付けて」。もし、英語圏のお方にそう言われた経験がある人はご自分の態度を少し反省した方がよいかもしれない。英語独特のこの言い方で「自分の言動に気を付けなさい」とか「お行儀よくしなさい」という意味になるという▼語源がおもしろい。かつての活版印刷では左右反転させた鉛の活字を使用したが、問題になるのはPとQの判別である▼「簡単さ」という人は小文字のpとqを頭の中で左右反転させてみてほしい。それで活字を組むとなれば混乱するだろう。若い職人はよく失敗したそうで、そこから注意深く行動しなさいなどの戒めの表現となったそうだ▼さて、この国の「PとQ」の問題である。きのう衆院を通過した組織犯罪処罰法改正案。ある人にはそれが国の安全を守る上で有効なテロ対策に見える。正義の「パンチ」のPである▼しかし、別の人にはプライバシーや表現の自由を制約し、国や国民を息苦しくさせてしまうように見える。「クエスチョン」のQかもしれない▼それがPかQかで国民世論は二分している。国民は二つの活字を手にして、どっちなのだろうかと悩んでいる。政府は丁寧な説明、議論と、場合によっては大幅な修正でその懸念に答えるべきだが、これしかないと一方的に改正案成立を急ぐその姿勢をおそれる。その態度こそ「PとQに気を付けて」というのだろう。


今日の筆洗

2017年05月20日 | Weblog

 おととい生誕百五十年を迎えた知の巨人・南方熊楠(みなかたくまぐす)は、刑事被告人になったことがある。地元熊野の新聞に寄せた「人魚の話」が、新聞紙法が禁じる風俗壊乱とされたのだ▼超人的な博覧強記の人らしく、人魚伝説を古今東西の文献・伝承を使い躍動的に論じた随筆だが、性的な伝承の紹介が罪にあたると告発された▼裁判で南方は「風俗壊乱などは、こじつければどんなものでも罪になる」と恣意的(しいてき)な法の運用を論難したが、検事は開き直った。「事実が同一でも、見様(みよう)と手心とがある。その職にある者の手心によって罪になるのである」。そして、有罪判決が下された(『南方熊楠百話』)▼この事件には裏があった。政府が進める神社統廃合のために聖なる森が伐採された。貴重な生物や村人の暮らしが損なわれる一方で、木材売却で役人らが甘い汁を吸っていた。それを暴露された当局が意趣返しで告発したとされるのだ▼当局の恣意的な運用を許す法律がいかに危険かは、歴史が繰り返し教えるところだが、政府与党は、異論を封じ込めるかのように、「共謀罪」の導入を急ぐ▼鶴見和子さんの名著『南方熊楠』によると、硬骨の人・南方もこんな言葉を漏らしたという。「中国との戦争はよくない…しかし、なにかいうとぶちこまれる。ぶちこまれると時間がおしいから、できるだけ官憲にはたてつかないことにした」