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今日の筆洗

2016年11月30日 | Weblog

 葵(あおい)、さくら、陽菜(ひな)、結菜(ゆいな)、咲良(さくら)、莉子(りこ)、花…。いずれもかわいらしく、見ているだけで幸せを分けていただいた気分にもなる。今年生まれた女の子の赤ちゃんの名前の人気順位の一部。十位内の名前から一つの共通点を探し並べてみたが、お分かりだろうか▼いずれも花や植物に関連している。葵ちゃん、さくらちゃん。莉子ちゃんの「莉」とはジャスミンの一種の茉莉(まつり)か。元気に育って。美しい花を咲かせて。そういう願いが花や植物を女の子の名に選ばせるのかもしれぬ▼この人の名にも花がある。「槿(むくげ)」とは韓国の国花。韓国の朴槿恵(パククネ)大統領である。昨日、二〇一八年の任期満了を待たずに大統領職を退く意向を表明した▼友人や側近による職権乱用の事件は国民の強い批判を受け、ついには大統領辞任にまで追い込まれた。<道のべの木槿は馬に喰(く)はれけり>芭蕉。大統領は、不届きな友人や側近に喰われたか。すべては己の甘さである▼高い支持率も事件以降、あっという間に、地に落ちた。社会格差、若者の高い失業率。国民は大統領との関係を利用した事件やそれにかかわった大統領が許せなかった▼槿の花は晩夏に咲くが、朝開くと夕方にはしぼむ。<槿花一朝(きんかいっちょう)>。栄華のはかなさのたとえである。朴正熙(パクチョンヒ)元大統領の長女として、華々しく登場した韓国初の女性大統領の退場劇は、はかない上に泥まみれである。


今日の筆洗

2016年11月28日 | Weblog

【しょっぱい】とはいうまでもなく、塩味の濃いことだが、相撲やプロレスの世界では「情けない」「ぶざま」という意味になる。「しょっぱい試合を見せて申し訳ない」。レスラーのそんな発言を聞いたことがあるだろう▼もとは角界の符丁と聞く。力のない力士は投げ飛ばされ、土俵の塩をなめることになるところからきている。プロレス界に伝えたのは、相撲出身のレスラーだろう▼この発言も相当に【しょっぱい】。野党の国会対応を「田舎のプロレス」とたとえた萩生田光一官房副長官の発言である。野党の反発を受けて発言を撤回し、謝罪した。【しょっぱい】上に【失敗】である▼国会での法案採決時の野党の抵抗などが萩生田さんには、茶番めいて見えるらしいのだが、国会運営を冗談の材料にした先の山本有二農相の発言といい、問題発言→野党からの批判→撤回と謝罪という毎度の流れが政権与党の「必殺技」なのだとしたら、こちらの方がよほど見るに堪えぬ▼一方、野党である。気持ちは分かるが、採決時に委員長席に詰め寄り、いくら怒っても、その時には勝負は終わっている。負けている▼萩生田さんをかばう気はない。しかし、反対→採決→抵抗、激怒という「筋書き」だけでは野党の人気は出まい。効果的で巧妙な国会での「新技」を。それを見つけぬ限り、土俵で塩をなめ続けることになる。