京子の父親が
まさか、
マサシの父親・・・・・・??
満樹は、ちらりと、マサシを見る。
気のせいか
いや、気のせいかもしれない。
そんな気に、なっているのかもしれない。
京子とマサシの顔立ちが、やはり、似ていると、云う・・・。
「・・・・あれ?」
満樹は、首を傾げる。
何だろう、不思議な感覚。
この横顔。
京子だけじゃない。
誰か、
誰か、他にも似ている者がいなかったか。
「・・・・・・」
満樹は首を振る。
似ているなら、きっと耀のことだろう。
けれども、満樹は耀には会ったことは、ない。
「満樹」
マサシが云う。
「もう着くよ」
満樹は顔を上げる。
鉱石の加工品を扱う店が集まる地区。
多くの灯かりが、旅人たちを迎える。
「やあやあ。いつ来ても、ここはきれいだ」
マサシは、辺りを見渡す。
「何か、情報があるだろうか・・・」
「それを今から探すんだろう!」
マサシは笑う。
どうも~、と、さっそくの声掛け。
「おう、うちの商品見て行ってくれよ」
掘り出したばかりの鉱石を加工したものが、並んでいる。
「ああ。それもいいんだけど」
「いいんかい!」
「最近、お客さんはどうかな」
「何だ。世間話かぁ?」
店主は一休みついでに、坐る。
「まあ、いつも通りと云うか」
「うんうん。だよね~」
「相変わらず、いろんな一族が観光でみやげを買ってくれるよ」
「はぁん」
マサシは頷く。
満樹は、その様子を見守る。
「この東の兄ちゃんも観光かい?」
「そうだよ。・・・で」
「で?」
「西一族とか、最近来てる?」
「西一族?」
店主は首を傾げる。
「来てるよ。普通に」
「男の客はどうだい?」
「それも、普通に」
まあ、そうだろう。
「うん。例えば、このおみやげは妹にって人とか」
「妹さんに??」
うーーん??
店主は首をひねる。
「いたような・・・、いないような・・・」
「いろんな客がいるからねぇ」
「確か、キョーコにおみやげなんだ、とか云っていた客が・・・」
「えぇ!?」
満樹は、声を出す。
「京子!?」
「あ? え? そう云っていたような」
「まさか??」
「何度も、キョーコキョーコって、云っていた西一族がいたような」
1日に何人も訪れる客の
おぼろげな、店主の記憶。
「いたような気がしたってだけだよ」
店主は立ち上がる。
「あら~。ビンゴかねぇ」
マサシは満樹を見る。
「それで、その客は、」
「思い出した!」
店主が云う。
「そう。そのわりには、何も買わなかったんだ」
「買わなかった?」
「そうだよ」
店主が頷く。
「何だ。口だけかい、って思った記憶があるな」
満樹もマサシを見る。
「ほかの店も回って、もう一度来るからって云っていた」
店主が云う。
「つい、最近の話だ」
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