TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」156

2019年07月05日 | 物語「約束の夜」

ワタシの父親は西一族。

マサシの言葉に
満樹は一瞬混乱する。

「え?それってどういう」
「詳しくは明日~。
 湯船に浸かって
 しっかり疲れをほぐすんだよ」
「いや、そんな事より、あの、父親って」

「お宿代なら
少しお安く出来ないか話しとくから」

「それは、どうもありがとう!!」

「そんじゃ、おやすみ~」

バタン!!と
ドアが閉められ、部屋にひとり残される満樹。

「いや、父親が西一族って」

京子とマサシ、
赤の他人でここまで顔立ちが似る訳がない。
そして、
京子の父親は行方が知れないと言っていた。

「…………」

それは、つまり。

「…………」

京子になんと言おう。

ゴロンと寝返り。

「…………」

絶対にショックを受ける気がする。

それに、他にもそんな話が無かっただろうか。
交流が進んできた近年とは言え
他一族との婚姻は珍しい。

父親が他一族。

ヨシノの母親のユキノさんがそんな事を。

「…………」

いや、案件身近で起こりすぎでは。

ベッドサイドの置き時計を
もう何度目だろう、
時間を確認する。

ぼや~、と起き上がり
目の下にクマを作りながら満樹はぼやく。

「朝、か」

「眠れなかった」

うおおお、とベッドにひれ伏す。

「寝れるわけ無いだろ。
 あんな気になるポイントだけ言い残して去るって!!」




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