ワタシの父親は西一族。
マサシの言葉に
満樹は一瞬混乱する。
「え?それってどういう」
「詳しくは明日~。
湯船に浸かって
しっかり疲れをほぐすんだよ」
「いや、そんな事より、あの、父親って」
「お宿代なら
少しお安く出来ないか話しとくから」
「それは、どうもありがとう!!」
「そんじゃ、おやすみ~」
バタン!!と
ドアが閉められ、部屋にひとり残される満樹。
「いや、父親が西一族って」
京子とマサシ、
赤の他人でここまで顔立ちが似る訳がない。
そして、
京子の父親は行方が知れないと言っていた。
「…………」
それは、つまり。
「…………」
京子になんと言おう。
ゴロンと寝返り。
「…………」
絶対にショックを受ける気がする。
それに、他にもそんな話が無かっただろうか。
交流が進んできた近年とは言え
他一族との婚姻は珍しい。
父親が他一族。
ヨシノの母親のユキノさんがそんな事を。
「…………」
いや、案件身近で起こりすぎでは。
ベッドサイドの置き時計を
もう何度目だろう、
時間を確認する。
ぼや~、と起き上がり
目の下にクマを作りながら満樹はぼやく。
「朝、か」
「眠れなかった」
うおおお、とベッドにひれ伏す。
「寝れるわけ無いだろ。
あんな気になるポイントだけ言い残して去るって!!」
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