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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「水辺ノ夢」178

2017年02月03日 | 物語「水辺ノ夢」

高子が、真都葉の腕を見る。

「ほら、真都葉」
「これ、いたいんだよぅ」
「ケガをしたら、痛いのは当たり前」

高子は傷の消毒をする。

「とう」

真都葉は、圭にしがみつく。

高子は真都葉の腕をとり、手早く処置をする。

「はい、終わり」

真都葉は、再度まかれた包帯を見る。

「真都葉」

真都葉は圭を見る。

「ほら。痛いの治してもらうんだよ。なんて云うの」

云われて、真都葉は高子を見る。

「ありがとう」
「どういたしまして」
「まつば、おうちかえるの」
「あら。帰るの?」
「えっ、真都葉??」
「かあのとこ、かえるの」
「まあ。そうなの」

圭は慌てて、高子を見る。

高子は頷く。

「大丈夫よ」

云う。

「薬を処方するから、それを家で飲んで」
「真都葉を連れて帰っても?」
「ええ、大丈夫」

高子は診療録を書きながら云う。

「家での生活の注意事項を伝えるから、それは守って」

真都葉は笑顔になる。

「かあ、まってるかな」
「よかったな、真都葉」

高子は立ち上がる。

「病院を出るのは、日が落ちてからにするでしょう?」
「あ、そうか・・・」
「そのときに、もう一度消毒をするわね」

高子は部屋を出ていく。

真都葉は圭を見る。

「はやくかえらなきゃ!」
「そうだね」
「とう、かえろう!」

「真都葉」

圭は、真都葉をなだめるように云う。

「先生がもう一度、消毒をしてくれるから」
「しょうどく?」
「それが終わったら、帰ろうね」
「うん!」

真都葉は聞き分けよく、返事をする。

それから、圭は、また真都葉と病室で過ごす。

昼食の後、真都葉はうとうととする。
圭が見守る中、眠りにつく。

圭は立ち上がり、部屋を出る。

一度、家に顔を出すつもりだ。
杏子は心配しているだろう。
けれども、真都葉の帰宅を知れば、少しは安心するはず。

圭は、家へと向かう。

真都葉がいつ起きるかわからない。
圭は足早になる。

と、

道の先に誰かいる。

圭は気にせず、進むつもりだった。

けれども、圭はその姿にハッとする。

「・・・悟」

そこに。悟が立っている。



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