TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」147

2019年06月04日 | 物語「約束の夜」

砂漠の道を歩く三人。

「あれ?」

ツイナが首を捻る。

「なんか、来た時と方向が違うような」
「そう?」
「俺、てっきりあっち側から来たのかと」

ああ、それは、と
ノギは言う。

「来た時、連れてきた奴が
 こんな事しなかった?」

ひゅっと、離れた場所に石を投げるノギ。

ヒュ!!どごごごん!!

「「おわおわおわ!!」」

立ち上がる砂煙。

「げほげほーーー!!」
「まあまあ」

「びっくりした」
「ちょっと、今からやりますって
 宣言して欲しいわ~」

「なんで、ちょいちょい
 砂一族は地点を発動させるんだ!!」

ぶへーいと
口の中に入った砂を吐き出しながら
不満を述べるツイナ。

「そう、それ」

それだよー、とノギ。

「さあ、砂一族の村はどっちで
 これからどちらへ向かうでしょうか?」

「え?それは」

あっち、こっち、と
ツイナとヨシノはそれぞれ違う方向を指差す。

「「あれ?」」

「この同じ景色が続く広い砂漠。
 今みたいに、砂で視界を覆って
 その場でバタバタ動いたら
 方向が分からなくなるんだよね」

「………確かに」

「砂一族は砂一族で
 敵が多いからね~。
 村の位置は詳しく教えないのが決まりなんだ」

案内しても
分からなくするのも、それ。

「ちょっと、遠回りで案内したり」

「今は急ごうよ。夜になる前に」
「そうよ、危険な毒蛇とか出る前に。
 あ、でも生け捕りにしたら私にも詳しく」

「砂漠を抜けるって行ってもなあ。
 最短ルートは東一族の村方面だけど
 俺、東一族と出会ったらバトルっちゃうよ」
「じゃあ、それ以外なら?」
「谷一族の村方面に抜けるか、かな。
 時間は掛かるけど」

それって。

「夜になっちゃう?」
「余裕でなるよ」
「ええ~」

まあまあ、とノギが言う。

「冷えるって言っても
 氷点下になるわけでもないし」

でも、毛布とか
なにか被る物はあった方が良いよ。

「だから、俺は
 東一族から北一族の村へ抜ける道を目指して
 斜めに進もうかなって」

最短でもないが、
最長でもないルート。

「お腹が空いたら、この
 砂一族特製石窯パンでも食べて」
「夜の砂漠で、月が出て、
 たき火にあたりながら過ごすのも味わいあるわね」

そういう観光コースのような。

「俺はそれに
 なにか生き物がプラスされたら
 完璧だと思うんだけどなぁ」

ツイナがなにかを受信する。

こぶが2つあったり1つだったりする。
砂漠を渡るキャメルな生き物。

「日が沈む前に行けるところまで進もう」
「そうね、
 元気がなくなったら、私の特製ドリンクがあ」
「がんばるぞーーー(ヨシノの提案を打ち消すような大声)」

ボンっと三人の背後で砂煙が上がる。

「え?」

それぞれに顔を見合わせる。

「今、地点発動した?」
「俺なにもしてないよ」
「気合い?で?」
「なにか生き物が通ったのかしら」

ええ?とノギが首を捻る。

「ある程度の重さが掛からないとなんだけど。
 砂漠の生き物程度では発動しないよ」

おかしいな?

ととと、と様子を見に、
ノギが砂煙に近寄っていく。

「まさか大蛇?」

ざあっと、砂煙から現れたのは
大蛇ではなく人の腕。

「え?」

あっという間に、ノギが捻りあげられる。

「え?」
「まさか!!」

砂煙が風に攫われ、
彼らが姿を現す。

マントに身を包んだ、彼らは
こう口にする。

「やっと、捕まえた」




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