少人数で、狩りの班が振り分けられる。
その班ごとに、各々、狩りの場所へ向かう。
「天候が、悪くなりそうだ」
狩りの進行役が云う。
「各班、無理はするな。足場が悪くなったら、すぐに村へ戻れ」
圭は、広司と同じ班に振り分けられる。
全部で4人。
男が3人。女がひとり。
西一族の女性も、当たり前のように狩りに出る。
「今日は、あまり遠くへはいけないな」
広司が、周辺の山の地図を出し、広げる。
「どう思う、透(とおり)?」
広司の横にいる、透が、その地図をのぞき込み、指をさす。
山間の川だ。
そこまでなら、人が通れる道もある。
「近からず、遠からず、が、いいだろ」
透は、圭を見る。
「初心者もいることだし」
「沢子(さわこ)は? ここでいいか?」
沢子が答える。
「大きな獲物は望めないけど、仕方ないわね」
「決まりだな」
広司は地図をたたむ。
広司を先頭に、それぞれ、歩き出す。
圭は、一番後ろに、続く。
「圭」
沢子が振り返り、云う。
「私の前を歩きなよ」
「え?」
「ほら! 私が一番後ろになるから」
その言葉に、透が云う。
「一番後ろも危ないからな」
「気を付けて」
「・・・ああ」
圭の額から、汗が流れる。
「おい、大丈夫か?」
透が訊く。
「まだ、そんなに登ってないぞ」
「休む?」
「透! 沢子!」
広司が云う。
「ほっとけ。自分で行くって云ったんだ」
広司は、圭には目もくれず、どんどん進む。
「ごめん、圭。これが、私たちのいつものスピードなの」
「大丈夫」
日が昇るころ、目的の川へたどり着く。
空には、多くの雲がかかっている。
「獲物の足跡があるな」
「待ってみるか」
4人は、岩の陰に入る。
道具を準備する。
獲物を、待つ。
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