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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「水辺ノ夢」168

2016年12月16日 | 物語「水辺ノ夢」

杏子は外を見る。

いつの間にか、また、季節が変わろうとしている。

「ほら、寒くなると、鳥たちもいなくなってしまうわ」

杏子はマツバを抱き、外を見せる。
真都葉は外を見つめる。

「淋しくなるわね」

圭はその様子を見る。

杏子は窓を閉める。


「寒くなってきたわ」

圭は、暖炉の手入れをする。
それが終わると、杏子は、薪を並べる。

「さあ、真都葉、火を点けるわよ」

暖炉に、ほのかな明かりがともる。

それを見て、真都葉が笑う。

「真都葉、あったかい?」
圭の問いに、杏子が答える。
「あったかいわよね、真都葉」

杏子は立ち上がる。

「この火でスープを作りましょう」

杏子は、真都葉を敷物の上に寝かせる。
真都葉は寝返りをしたり、
圭が作った木のおもちゃを持ったりして、遊びだす。

「さあ、真都葉、待っていてね」

杏子は台所へ行く。

圭は、暖炉を手入れした道具を片付ける。

「ねえ、圭」

杏子は圭を呼ぶ。

「今日は、このお肉でいいかしら」
「ああ、うん。そうだね」
「小麦をこねて、真都葉も食べられるようにしようかと思うんだけど」
「いいと思うよ」

会話が終わると、圭は再度、道具を片付けに外に出る。

杏子は、鍋にスープを準備する。
それが終わると、暖炉に鍋を運ぶ。

真都葉を見る。

「あら?」

「杏子? どうかした?」

圭が中へ戻ってくる。

「真都葉が・・・」
「真都葉が?」

杏子は首を傾げる。

「さっき、この場所に寝かせたと思ったけれど、」

真都葉は、杏子が指をさす方向とは違う方向にいる。

「真都葉?」

杏子の言葉に、真都葉は笑う。



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