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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「続・夢幻章伝」19

2021年02月09日 | 物語「続・夢幻章伝」
「は」

「スタンプは2カ所ある。ある。ある。ある(エコー)」

「はぁああああああああ!???」

マツバは目の前が真っ暗になる。

そんな!!
折角、堪え忍んでスタンプもらったのに。

「なんでっ!!?」

くっ!!と膝をつくマツバに
西一族の村長は不敵にほほえみかける。

「この俺が、
 ただただ、なんの損得無しに
 これを渡すと思っているのか?」

差し出されたのは、
お味見用特製干し肉他が入った袋。

「お前達が次に向かうのは」
「………なんて、卑怯な」
「ほう、理解したのか」

西一族の村長は地図を取り出す。

「次のスタンプは、ここだよ」

指し示されたのは、
西一族の商店街を抜けた先にある

「お土産屋!!!!!」

「安心しろ、食堂も併設しているので
 西一族の食材をふんだんに使ったランチも楽しめます」

「商魂逞しい!!!!!」

「それにこの」

西一族パンフレットの最後のページを捲る。

「クーポンを使用すれば
 お買い物もお食事も10%割引。損はさせない」

「くうううううう!!!!」

後ろからその様子を眺めていた西一族の女性。
多分、村長の奥さんは呟く。

「楽しそうね、サトル」

西一族の村長はいきいきしている。


「と、言うわけで!!!!!」

無事にスタンプを押してもらい
手土産を貰って出てきたマツバは
こんちきしょう、と膝を打つ。

「なかなか終わらないわよ、ここ!!!!」

西一族の村、着!! 
スタンプ、ポン!!
いざ、次の村へ!!

の、3行ぐらいで終わる予定だったのに。

「とりあえず進もうぜ、
 意外と時間くってるからな」

アヅチが陽の傾き具合を見ながら言う。

前回の旅(夢幻章伝)では
長く旅をしていた様で、案外数日だったという事例があるのに
なぜか今回は時間の進み方が早い。

「下手したら今日はこの村に宿泊……」
「なんですって!!」

冗談じゃない、とマツバ。

「それだけは、
 なんとしても阻止しなきゃ」

「でもでも、
 もしかしたらオイラ達の同僚達も
 この村に居るかもだし」

そこら辺にも時間かけて欲しいへび呼ロイド。

確かに前回この村には寄っていないので
可能性としては大きい。

「居ないわよ、きっと。
 だってこの村の空気感と合わないもの!!」

うーん、確かに。

「さっさと済ませ「マツバ~!!!」」

おおい、と数話ぶりに登場の

「タクト、すっかり忘れてた」
「そういや居たな」
「法事は終わったの?キコキコ」

瞬時に語尾を変えるへび呼ロイドに
こいつ、やるな!!と驚きつつ
タクトはポーズを決める。

「法事はこれからなんだけど、
 お前達の事、親父に話したら見てみたい、と」

「「「は?」」」

「今こっちに向かってる所なんだが、
 その途中でパンを抱えてマツバを捜す夫婦と
 その夫婦から話を聞いたという女医さんと
 何それと一緒に着いてきそうな医者助手と
 まあ、その他諸々に会って、
 みんなにこっちだぞって言っておいたからな」

「登場キャラ増やして
 連れて来てるんじゃないわよ!!!!!」
「ぐふうっ!!」

マツバの腹パンが見事に決まり
倒れ落ちるタクト。

「やばいな、このままじゃ
 画面的にも書き手敵にも収集着かなくなる」
「急いでお土産屋さんに寄って
 ダッシュでスタンプ押して貰って
 とんずらこぐのよ」
「いや、とんずらて、お前」

うおおおおお、と西一族の村を駆け抜ける
アヅチ&マツバ、へび呼ロイドを添えて。

「たのもう!!!!」

バアン!!とお土産屋に飛び込む三人。

「スタンプを」
「早く」
「今すぐに!!」

「………あら、珍しい顔ぶれ」

奥でお茶を飲んでいた少女が
ゆっくりと歩いてくる。

「あんた、もしや、コトハ!?」

「え、マツバ知り合い!?」
「そう言えば雰囲気が似ているような」

少し目つきの鋭い、
西一族特有の髪と目を持つ少女は
ふうん、と頷く。

「やっぱりマツバなんだ」
「なんで、ここに」
「………なんでって」

コトハは自身の後ろを振り向く。

「私は叔父さんの所に
 暇つぶしに来ていただけ」

そこには、スタンプ持って出てきた店番の人。
アヅチ達の方を驚いた顔で見ている。

いや、見ているのは。

「真都葉っ!!?」

「…………」

くるり、とマツバはアヅチ達の方に振り返る。

「マツバ?」
「どしたの?」
「ちょっと、キャパオーバーなんで
 後はよろしく」

がくーん!!

「ええええ?」
「マツバ!!!?」

マツバ現実逃避したすぎて
強制睡眠に突入することにしたよ。


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