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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「続・夢幻章伝」92

2022年01月14日 | 物語「続・夢幻章伝」
「あんたの父親、本当に伝説だわぁ」
「生ける伝説キコ」
「おぉおおおおおおおお!」

恥ずかしいったら、ありゃしない。

「俺も見たかったな、宗主様の爆笑!」
「やめておけ」

ふう、と、一連の流れを説明し終えた、タツキ父。
そろそろ仕事(務め)に行かないと間に合わないよ。
それでもこぶしを握り締め、続けるタツキ。

「くっ、この俺でも宗主様の目の前ではためらうが、」

そうなんだ。

「俺もやってみたい!!」

(スタンプラリーではなく、宗主様を笑わせる方ね)

「ええ。大丈夫だと思うわ!」

マツバも大きな声で云う。

「あんたもアヅチの父親と同じにおいがするもの!」

騒がしい枠、ってやつ。

「はいはい」

タツキ母は、手をたたく。

「じゃ。そろそろ、買い出しに行ってもらいましょうかね」
「キノコ鍋!」
「付け合わせのタレ欲しい!」
「豆腐も希望!」
「俺は白菜1玉ね、母さん!!」

タツキ母は、さらさらとメモ紙。

「まあ、人数多いから食材は覚悟してるわよ」

でも大丈夫。
タツキ父はしっかり働いているから。

「はい。多いから荷物は手分けして運んで頂戴ね」

「「「「はーい!」」」キコ!」

「ついでに、スタンプラリースタンプ(ややこしい)も集めてみたら?」

「それは!」
「確かに!!」
「あわよくば、キコ!!!」
「じゃ、行くぞ! 俺についてこい!!」

こうして、4人は出かけたのでありました。

「・・・・・・」
「・・・・・・」
「大丈夫なのか?」
「ええ、おもてなしなら任せて!」

タツキの母は、東一族の中でも肝っ玉母ちゃんだ!(関係あるのか?)

「年頃の子には、とにかく食べさせておけばよいのよ!」

ひと息ついたら、食事の準備とお布団の準備もしなきゃね、のタツキ母。

「うん。それでだな」
「あら、何?」
「思ったんだが」
「何を? 務め行かないの?」
「行くけど」
「はいはい」

「あの、南一族の子、どこかで見たことないか?」
「南一族の、子?」
「そう」
「ええ? 知り合い?」

「いや。そうじゃなくてだな」

タツキ父は腕を組み考える。
漂う、シリアスの空気。

「何かがはじまる予感がする」

どこかで見たことある、をキーワードに。
物語はいつも突然に。

「動きだすストーリー」
「もしかして、あの人に似てるって?」
頷く、タツキ父。
「あの、女の子の方でしょ」
「そうだ」
「そう云われると、そうかも・・・」
「これで、謎が解けるのか」
「あの、白い髪の子とか?」
「真実はいつも、たぶんひとつ」
「う”ーん」

「もしかしたら、終わるのかもしれない」

今まで狂っていた歯車。
元に戻る時間。

すべてが集約されようとしている。

「わかったわ」

何かを払いのけ、タツキ母は立ち上がる。

キリっと、云う。

「お米炊いてきてもいいかしら?」
「ああ、頼む」

まずは、今夜を乗り越えるところから。





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