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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」103

2018年10月02日 | 物語「約束の夜」

「えっと、なんでこんな所で?」

北一族のホテルの入り口で
京子は驚いて声を上げる。

「仕事だよ。
 色々と物を納めているんだ」

北一族の青年は
運んでいた荷物を指差す。

「そう、
 あ。この前は本当に助かったわ」
「お礼は充分してもらったから
 気にしないでくれ」

そうだ、と
京子は後ろを振り返り
青年を満樹とツイナに紹介する。

「2人とも、この人は
 先日私が荷物泥棒にあったときに
 助けてくれた人で」

「また!!泥棒にあったのか!!」

おいーーっと、頭を抱える満樹。

「ね、もっと警戒してよと
 思うだろ」
「………思う、凄く。
 なぜ学ばない」

2人の間に団結感が生まれる。

「東一族の満樹だ、よろしく」
「俺はチドリ。北一族。
 あんたも大変だな」

東一族式の挨拶をする満樹に
北一族の青年は笑顔で答える。

「あーー!!
 私には名前教えてくれなかったのに」

「次会えたら、その時に教えると
 言っていただろう」
「そうだけど」
「これでも、きちんと合流できたか
 心配していたんだ。
 良かったな、京子」
「それは、……ありがと」
「うん」

はいはーい!!と
ツイナも飛び出る。

ちょっと良い感じだった空気感とか
全く無視。

「俺は海一族のツイナ。
 よろしくーーーー!!」
「よろしく。
 ようこそ北一族の村へ」

握手を交わして、
それにしても、と
皆を見回してチドリが言う。

「本当に不思議な組み合わせだな。
 人捜し?だっけ」
「ええっと、そんな感じ」

少ししどろもどろになる京子に
満樹がフォローを入れる。

「こいつの兄を捜しているんだ。
 それぞれに目的が噛み合ったので
 共に行動している」
「ふぅん。
 早く見つかると良いね」
「ああ。何か情報があったら
 知らせてくれると助かる」

「分かった。
 ―――あ、呼ばれてる。
 じゃあな、俺は仕事に戻るよ」

「それじゃあ」
「またねー」
「お仕事頑張って」

チドリを見送り、
うーんとため息をつく満樹。

「京子、裏一族の事は」
「それは話してない」
「そうだな、
 どこで何が通じているのか分からない。
 場合によっては他人を巻き込む事に」
「………気をつける」

少し落ち込む京子。
怒った訳じゃ無いのだけれど、と
思いながら満樹は振り返る。

「ツイナ。行くぞ」

うん?と首を傾げているツイナ。

「???」
「どうした?」

いや、とチドリと握手を交わした
掌を不思議そうに眺めている。


「先視、出来なかったな」



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