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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」170

2019年10月11日 | 物語「約束の夜」


「昨日から?」
「そう」

受付のおばさんが、頷く。

「昨日の朝、じゃあ行ってきますって出て」
「昨日の朝まではいたのか」
「夕飯の時間に戻らないようだから、どこかで食べてきているのかと」

だが、
今朝、準備された朝食も、手を付けたあとがない。
部屋をノックしても、返事がない。

「ずいぶんと、町をふらふらしているんだねぇ」
「へえ、京子ちゃんがねぇ」

満樹はちらりと、耀とマサシを見る。
耀は、満樹の隣に立つ。

「俺は、その子の兄だ」
「まあ!」
「部屋を確かめてきてもいいか」
「西一族・・・。確かに、あのお嬢ちゃんに似ているねぇ」

耀は、鍵を受け取る。
3人は、京子が泊まっている部屋へと向かう。

「京子ちゃん、どうしたのかしら」
「うーん」
「嫌な予感しかしないな」

耀は、部屋の扉を叩く。

「・・・・・・」

もう一度。

やはり、返事はない。

耀は鍵を使う。
中に入る。

満樹とマサシは、外で待つ。
しばらくして、耀が出てくる。

「やはり、いないな」

「そうか」
「でしょうね」

マサシが云う。

「探した方がよさそうよね」
「だが、昨日まではいたんだ。戻って来るかも」
「そうかしら」

耀の言葉に、マサシは首を傾げる。

「女の子だもの。友だちがいない限りは、毎晩ここに戻って来るんじゃない?」
「確かに」

耀は満樹に云う。

「友だち、は一緒に来ていないよな」
「一緒にいたのは、北一族のチドリだ」
「チドリ・・・」
「まさか?」
「そいつの住んでいるところは判るのか?」
「いや、・・・」

「におうわね」

満樹と耀は、マサシを見る。

「におう、わ」

「えーっと、」

「チドリがあやしい」

「・・・・・・」
「・・・・・・」

まあ、それが自然な流れかと。

「おいおい、見知らぬ男に妹を預けるなよ~」

耀は、手で顔を覆う。

「お前だって、兄だろう??」
「ええ? やっぱり、俺って兄なの!?」
「私だって姉よぉ」

兄である。

耀が云う。

「こう、魔法とかで探せないのか?」
「それは無理・・・」
「仕方ないわよね」

マサシが、歩き出す。

「ええ?」
「マサシ??」

「探すっきゃないじゃない!」


「どこを!?」
「北一族の村は広大だぞ!」
「少しはめぼしをつけて」
「そこから動かないと」

「任せなさいよ」

 マサシが美しく振り返る。

「女の勘を」





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