「昨日から?」
「そう」
受付のおばさんが、頷く。
「昨日の朝、じゃあ行ってきますって出て」
「昨日の朝まではいたのか」
「夕飯の時間に戻らないようだから、どこかで食べてきているのかと」
だが、
今朝、準備された朝食も、手を付けたあとがない。
部屋をノックしても、返事がない。
「ずいぶんと、町をふらふらしているんだねぇ」
「へえ、京子ちゃんがねぇ」
満樹はちらりと、耀とマサシを見る。
耀は、満樹の隣に立つ。
「俺は、その子の兄だ」
「まあ!」
「部屋を確かめてきてもいいか」
「西一族・・・。確かに、あのお嬢ちゃんに似ているねぇ」
耀は、鍵を受け取る。
3人は、京子が泊まっている部屋へと向かう。
「京子ちゃん、どうしたのかしら」
「うーん」
「嫌な予感しかしないな」
耀は、部屋の扉を叩く。
「・・・・・・」
もう一度。
やはり、返事はない。
耀は鍵を使う。
中に入る。
満樹とマサシは、外で待つ。
しばらくして、耀が出てくる。
「やはり、いないな」
「そうか」
「でしょうね」
マサシが云う。
「探した方がよさそうよね」
「だが、昨日まではいたんだ。戻って来るかも」
「そうかしら」
耀の言葉に、マサシは首を傾げる。
「女の子だもの。友だちがいない限りは、毎晩ここに戻って来るんじゃない?」
「確かに」
耀は満樹に云う。
「友だち、は一緒に来ていないよな」
「一緒にいたのは、北一族のチドリだ」
「チドリ・・・」
「まさか?」
「そいつの住んでいるところは判るのか?」
「いや、・・・」
「におうわね」
満樹と耀は、マサシを見る。
「におう、わ」
「えーっと、」
「チドリがあやしい」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
まあ、それが自然な流れかと。
「おいおい、見知らぬ男に妹を預けるなよ~」
耀は、手で顔を覆う。
「お前だって、兄だろう??」
「ええ? やっぱり、俺って兄なの!?」
「私だって姉よぉ」
兄である。
耀が云う。
「こう、魔法とかで探せないのか?」
「それは無理・・・」
「仕方ないわよね」
マサシが、歩き出す。
「ええ?」
「マサシ??」
「探すっきゃないじゃない!」
「どこを!?」
「北一族の村は広大だぞ!」
「少しはめぼしをつけて」
「そこから動かないと」
「任せなさいよ」
マサシが美しく振り返る。
「女の勘を」
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