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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」180

2019年11月15日 | 物語「約束の夜」



その音とともに、ぐにゃりと、空間がゆがむ。

「え!?」
「何これ?!」
「裏一族?!」

「いや、」

満樹は、前方を見る。

「チドリ!!」

その言葉に京子もマサシも、チドリを見る。

「どう云うことだ」

満樹は、武器に手をかける。

「落ち着け」

いたって冷静に、チドリは云う。

「行くんだよ、今から」
「行く?」
「行くのは、ツイナとヨシノのところでしょう!?」

「そう」

チドリは、杖を握り直す。

「彼らのもとだ」

「・・・・!?」

京子の前に、満樹とマサシが立つ。

「こんなに空間をまげて」

マサシが、声を出す。

「ちょっとした魔法じゃ、ないようねぇ」

「当たり前だ」

チドリが云う。

「そう簡単にたどり着かれては、困るからな」

ほら、と、チドリは歩き出す。

ゆがむ空間。

満樹と京子とマサシは、顔を見合わせる。
その後ろに続く、しかない。

それでも、

自身の身体は、まるで自身ではないかのように。

何か、

魔法にかけられたかのように、チドリに続いている。

「ちょっと!」
「何だ、これは、」
「ねえ、チドリ!」

「静かに!」

もはや、身体は云うことを聞いていない。
歩かされている。

ただ、チドリに続く。

何もない、空間。

いるのは

先頭を歩くチドリと
続く、満樹と京子とマサシ。
そして、耀。

「まさか・・・」

マサシは、目を細める。

「チドリ・・・」

満樹は首を振る。

もはや、なすすべもない。

「満樹・・・」
「落ち着け」

満樹は京子を見る。

「この先に、ツイナとヨシノもいるはずだ」
「この先って、どこなのよ?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ねえ、満樹、マサシ」

やがて、空間のゆがみが、緩やかになり、
それは、消える。

「さあ」

チドリが立ち止まる。

「ここだ」

「こ、こ・・・?」
「ここは、北一族の村なのか?」

その景色は、北一族の村とは違う。

「チドリ・・・」
「驚かせて、すまなかったな」

チドリ再度、杖を鳴らす。

ふ、・・・と、身体が自由になる。

「あ、動く」
「京子!」

うかつに動くな、と、満樹は京子を掴む。

「チドリ」
「ここは、どこだ?」

チドリは、3人を見る。

「ようこそ、と、云うところかな?」

何だろう、様子がおかしい。

この場所も。
チドリも。

耀、も。




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