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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」90

2018年07月27日 | 物語「約束の夜」

「こんなもんだろ」

ある程度の地点を潰して
満樹と俊樹は東一族の村へと戻りはじめる。

俊樹は空を確認する。
空は、うっすらと明るくなっている。

東一族の村に着くころには、さらに明るくなり
どの家でも、朝の食事の準備をはじめている。

満樹と俊樹はいったん報告に行き
そのまま、次の務めを確認する。

さっきも登場しました。

―― 東一族 砂漠当番 シフト表 ――

「えーっと、俺は次は」
「・・・・・・??」
「3日後か」
「いや、これ、おかしくないか!?」
「何が?」

云われて、俊樹は満樹が指差すところをのぞき込む。

そこには満樹の名まえ。
本日の夜。
砂漠当番。

「っううう!? 何で!? 何で!?」

夜勤明けは非番のようなもの。
次の日まで、務めは入らないことが普通、だが。

「今夜!? 連勤!?」
「寝たがいいぞ、お前!!」
「そこ!?」
「でも、このシフト作っているの大将だろ?」
「ここの俺の名まえ、さっき追加しました感!!」
「欠番が出たんじゃないのか?」
「いや、ほかにいるだろ、ほかに!!」
「大将に云えよ」

慌てふためく満樹をよそに、俊樹は、タオルを持つ。

「じゃあ、行くか!」
「どこに!?」
「いや、暑いから泳ぎに」
「お前さっき寝ろって云ってなかった!?」

おわわわわわ

このままでは、京子との約束の日に間に合わない。

「今日、非番集まって、川で泳ごうって約束!」
「いや、その約束じゃない!」

てか、何者かが、東に入り込もうとしているのに
(でも、狙われているのは満樹)
川で泳ごうとか、のんびりしすぎだろう、東一族!!

「あぁああああああ」

満樹は頭を抱え込む。

「満樹?」

俊樹は満樹をのぞき込む。

「いや、いいんだぜ。ほかに予定があるんなら」
「あるとすれば、今夜の砂漠当番だ!」
「そうじゃないだろ?」

真面目に、俊樹が云う。

「川で泳ぐのは、いつでも出来るだろう?」
ほかに大切な何かがあるなら。
「また、集まろうぜ」
「俊樹・・・」

俊樹は頷く。

「行けよ、満樹」

満樹は胸が熱くなるのを感じる。
よかった、俊樹が今ここにいてくれて。

「行ってくる、大将の、」
「他一族の恋人へは花を忘れるなよ」
「ああ、大将に花を、・・・って、」
「豪華すぎない方がいいぞ」
「え? あれ? 俊樹?」

いや、違う。
大将にシフトの変更を、

「そして、新居をどこに構えるかは早めに相談を!」
「オッケー俊樹!!」

満樹は俊樹をがしっと掴む。

「川への行き方を教えて!!」



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