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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「夢幻章伝」26

2015年04月07日 | 物語「夢幻章伝」

「って言うか、おかしいよ」

東一族の少年が砂漠をすたすた進む。

「南一族、転移させたのあいつらなのに
 なんで僕が迎えに行かないといけないんだ」

ぷんすこ、ぷんすこ

「仕方ないですよ。
 今日の砂漠当番、リク様なんですから」

給食当番的なニュアンスで答えたのは
少年の肩に乗っていたヘビ。
喋るヘビはへび呼ロイドだけではないらしい。

「だって、もう夜だってのに。
 お腹も空いたし。
 あぁあ、今日は何だかついてないなー」

ぎゅるるる。

「ですから早く終わらせて帰りましょうよ」
「そうだね。
 なんだかマサキコが食材に見えてきたし」
「まじっすか」

ヘビのマサキコは身の危険を感じながら進む。
このご主人は東一族でありながら
時々お肉食べたいとか言い出す強者だ。
(東一族はほとんどの人が菜食主義)

ここは頑張って早めに帰らねば、と
マサキコは全力を出す。

「夜目を利かせるー!!!」

ギューン、とへびの特有の能力を発動させる。

「頑張ってマサキコ!!」
「なんか、赤外線的な、なにかー!!」

うおおおおお。

「あ、リク様。
 あっちに何か人影が」
マサキコはキコキコしながら尻尾をその方向に向ける。
「よかったー、見つかったじゃん」
「ってかリク様も目がいいんだから
 ちゃんと見て下さいよ」
「ええっとどれどれ」

「「……あれ?」」


「もしもし、あぁ、どうだった?」
数十分後、アマキのインカムに着信が入る。
『―――で、そしたら、―――が』
「え?もっと詳しく、え?」
『だから、―――だって!!』


「はぁ?」


そして、場面は東一族のお宿に移る。


「……」

宿に戻ったマツバは先程から険しい顔だ。
「マツバ」
へび呼ロイドは控え目に声をかける。

砂漠に飛ばされてしまったアヅチ。
アマキとタツキに任せたものの
やはり心配なのだろう。

「ふう」

ため息。
マツバは覚悟を決める。

「仕方ない。
 今日の夕食は、私が2人分食べるしかないようね!!」

どーん!!

「へび呼ロイド、
 仲居さんに夕食の準備を告げるのよ!!」

「ええええ
 マツバ、アヅチが心配じゃないの?」
「あいつらが大丈夫って言ってるんだから。
 私たちがバタバタしたって仕方ないわ」
「それは、そうだけど」

マツバは真顔になる。

「ねぇ、へび呼ロイド
 何かあったらすぐに動ける様に
 私たちだけでも食事、食後のリラックスバスタイム
 アロママッサージ、睡眠はとっておかなくちゃ」

「マツバ……何か色々混ざってたけど
 聞こえなかったことにするよ」

へび呼ロイドは、ええいっと内線電話のボタンを押した。
「すみません
 お食事の準備よろしくお願いします」
「アヅチ分には、
 夜食をルームサービスで頼むしかないわ。
 割高だけど!!!!」

大事なのはそこ。

「姉さん!!!」

どーん、とアマキが現れる。

「あら、アマキどうしたの」

テーブルには今夜の食事が並んでいる。

旬の野菜を使ったオーガニック会席
シェフの気まぐれデザート付き

「違うんだよ、これは!!
 おいら達は何かあったらすぐ動ける様に
 夕食を取っておこう、と!!」

へび呼ロイドは弁明を始める。

「それよりも、その兄さんなんだけど、
 大変申し訳ないことになったんだ」

マツバはぴんと来る。

「移転に失敗して、
 アヅチが上半身と下半身に」
「ぎゃあああああ、アヅチぃいいいい」
「違うよ!!
 そんなえぐい展開イメージさせないで!!」

おぎゃあ。

「実は兄さんを迎えに行ったやつから
 連絡が入ったのだけど」

言いにくいのか、アマキはそこで言葉を止める。
だが、くっと顔を上げ事態を報告する。

「兄さん、どうやら砂一族に保護されて、
 奴らの村に連れて行かれたらしいんだ」



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