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TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「水辺ノ夢」162

2016年11月25日 | 物語「水辺ノ夢」

圭は部屋を行き来して、荷物を片付ける。

杏子は、その様子を見ながら、
先ほど取り込んだ洗濯物をたたむ。

ほとんどが、子どものもの。

杏子は、横で眠る真都葉を見る。
呟く。

「帰って、きたね」

そう、ほんの少し微笑む。

「杏子、」

圭が杏子の横に立つ。

「・・・えっと」
「圭、一息ついて」

杏子は立ち上がり、お茶を淹れる。
圭に差し出す。

「・・・ありがとう」

「家のことはいいの」

圭が云おうとしたことを、杏子はわかっている。

「少し休んで」
「杏子」
「家のことは、明日からでも大丈夫だから」

圭は、杏子の横に坐る。
お茶を手に取る。

「ありがとう」

「いいえ」

杏子は圭を見る。
云う。

「こちらこそ、ありがとう」

杏子は立ち上がり、真都葉に近付く。
真都葉は、旧い椅子に布を敷き、その上に寝かされている。
落ちないように、杏子が工夫している。

「真都葉」

杏子は、真都葉を抱き上げる。
真都葉は目を開いている。

「起きていたんだ」
「ええ」
「すごい・・・」

「え?」

「いや、起きていることに杏子が気付いたこと」

「ああ」

杏子は、真都葉をあやす。

「あの、・・・杏子」

圭は、お茶を置く。

「何?」

「真都葉を、抱いてもいい?」

杏子は頷く。

「もちろん」

杏子は、真都葉を圭に抱かせる。

「ほら、首を」
「こうかな」
「そう」

真都葉は目を見開いているように見える。

「えっと」
「真都葉、よかったわね」

杏子が云うと、真都葉は笑う。

「これからも、たくさん抱っこしてあげてね、圭」



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