ふと、杏子は目を覚ます。
あたりは、少し、明るくなっている。
杏子は起き上がり、部屋を見渡す。
「・・・圭?」
杏子は、居間、隣の部屋も見る。
圭はいない。
杏子は首を傾げる。
こんな朝早くに、圭はどこへ行ったのだろう。
「・・・あ」
ひょっとして、自分の手紙を、湖に流しに行ってくれたのだろうか。
「圭・・・」
杏子は、家の扉を開ける。
外を見る。
朝早い時間。
西一族は、まだ、誰もいない。
杏子は外へ出る。
湖へ向かう。
時間がたてば、西一族と接触するかもしれない。
杏子は自然と、早足になる。
「圭!」
杏子は圭を呼ぶ。
走る。
水辺に着く。
が
水辺には、誰もいない。
「圭!」
再度、杏子は、圭を呼ぶ。
あたりを見る。
「圭、だって?」
その声に、杏子は振り返る。
聞き覚えのある声。
そこに
「広司・・・」
NETX 63