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TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「水辺外伝・カイとヨツバ」3

2013年12月25日 | 物語「水辺ノ夢」


「私の村に来てみない?」

その日、私は『カイ』にそう言った。

『カイ』は驚いたような表情を一瞬見せて、急に静かになった。

「……そうだな」

とても静かな午後だったと思う。
『カイ』はそれからもしばらく黙りこけて、
なかなか返事をしなかった。

額に手を当ててしばらく唸った後、今度は空を見上げた。
手を胸の前で組んでいたので、
一瞬だけ、神様に祈る時の姿に見えた。

「あぁ、そうだな」

『カイ』はどこか自分に言い聞かせるように、
消え入りそうな声で答えた。

「―――そうしよう」

私は次にこの町に来る日取りを『カイ』に教えた。

私たちの話は
どこまで本当で、どこからが冗談か
自分達でもよく分かってなかった。

それとも『カイ』は
何か目的があったのだろうか。
私たちの村に来て、
やり遂げたい何かが、あったのだろうか。

結局それは聞けなかったけれど。

上手くいったら、
今度は私が『カイ』の村に連れて行って貰おうと思った。
そこに行きたかったかというと
そうでもない。
どんな所かは気になる程度の事。

でも、私が居なくなったら、
あの人は心配するだろうか。

なんて。


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