チマチマ毎日

木工屋と陶器屋の夫婦が作るセルフビルドの家と、まいにちの生活、道具のあれやこれや。

今年最後のごほうび

2008年12月19日 | 読む見る聴く&思う
 ヤノアキコのライブに行ってきました。

 毎年ヤノアキコは「さとがえるコンサート」というのを12月にやってくれる。
ことしは新譜もいいし、行かない手はない。
3年ぶりに足を運ぶ。興奮してしまう。

やっぱりライブはいいなあー、ふうー。
席がとてもいい場所で、ヤノアキコがグランドピアノにむかって
鍵盤を叩くその手がとてもよく見える。
ライブに行って思うのはその楽器を奏でる手の動きと
そのときに発せられる音が同時にカラダに入ってくる。
目が見えて耳が聞こえることに本当に感謝するひととき。

ギターおたくっぽいマーク・リーボウ氏は猫背にギターを抱え
突出することなくヤノのピアノと重なって、眠くなるくらいここちがいい。
とくにバンジョーのシンプルな響きがぐっとくる。

アイリッシュであり、らっせーらの東北民謡であり、ジャジーであり
完成されたものの上にimprovisationが覆いかぶさる。
こんなにいいライブはこの先もうないかもしれない。
それくらいカラダにきた。
あ~血行よくなった。



「地域デビュー」

2008年11月25日 | 読む見る聴く&思う

 「これから始める地域デビュー講座」というものに
行ってみました。



 地域デビューとは、聞きかじったばかりでつたないわたしの言葉でいうと
団塊の世代などが退職したあと、なにもせずにいるのではなく
地域の問題に取り組んだり、自分がこの先向かうであろう老後の生活を
荒廃したものにさせない環境づくりにむけてみよう、といったものかな。

具体例でいうと「都会で働いたあと田舎暮らしに憧れて地方に来たものの何もすることがなかったけれど、コミュニティーバスの運転手を任されることになって地域のお年寄りの足となり、地区に入り込むきっかけにもなった」
とか。


わたしたちはまだそんな年齢ではないんだけれど
地域デビューの背後にはいろんな問題が付随している。
近いうちに、この中山間地には年寄りの人口がそうでない人口を
上回る。
そしてあとは坂を転がるように高齢化が進み、「はたらけるひと」の割合はおそろしい勢いで減って行く。仕事もないし。
そうなったら少しでも動けるひとが動きにくい人、動けない人を助けるってことが必要なわけで、そうした取りくみは今からでもけっして早くはない。

今回のテーマは「地域の足となるコミュニティーバス」。
実際恵那市の三郷町というところでこの運営を現実化するにあたり
どんな団体が、誰が、どの規模で、どうやってやっていくのかという
具体例をいろいろあげて問題点をあげる。


朝9時半から始まる講座は、簡単な自己紹介のあといきなり
ワークショップに入り、4人ずつのグループに分かれ具体案を出し合い
まとめていかねばならない。

わたしの入ったチームは名古屋大学環境研究科准教授、三郷町の自治体に属し実際そういった活動をしておられる女性、市役所の方。
いきなり難しい専門用語が飛び交い、じつは前夜そうとう焼酎を呑んで
アタマがぐらんぐらんしていたわたしは酒臭い息を殺しながら
ついていくのが精一杯だった。意見なんて出そうにも出ない。
「いや~うちの電話番号はちょっと前まで地域タクシーの電話だったみたいで、相当な間違い電話かかってきますよ。みんなお年寄りで、病院まで行くときタクシー呼ぶんです。」くらいしか発言できない。。。

  
さて、この本「地域をデザインする」。
この三郷町に住んでいる駒宮さんが、中山間地のこの先を三郷町周辺のデータと自分の生活をもとに中山間地のこれからを「デザイン」したもの。
わかりやすく暗くなくおもしろい。
田舎に住んでいないヒトもぜひ一読を。







田中恵子さん「気儘な作品展」

2008年11月23日 | 読む見る聴く&思う


常滑屋にて「田中恵子 気儘な作品展 」  11/24 まで

 田中さんとはとあるギャラリーでお会いしてから7年くらいのおつきあい。
わたしの作品展にもよ~く来て下さる、名古屋弁の鮮やかな女史である。

田中さんの書の展示会に行くのはこれで3回目。
いつも見るたびに新しい表現方法、素材、題材で
見るこちら側はどきどきする。


 

細部にわたって田中さんの吟味されたものが集められる。



皮の額縁。
色合いがほんと素敵。

どの作品も組み合わせの妙。
古布ひとつとってもその色合いがいいのだ。

わたしのアタマの中も活性化された展示会でした。

帰ってきてからakiko

2008年10月27日 | 読む見る聴く&思う


 土日と常滑で開かれていたクラフト散歩市も無事終了。
日曜日はあいにくの雨。朝からワインを飲んで栗ごはん食べて
訪ねてくれた友だちとわいわいおしゃべりして・・・
と売り上げは置いといて楽しかったわたし。

 コーヒーも同時に販売。
こだわりの豆を三種類用意してお出ししてました。
カップはもちろんコーヒーいれている本人作。




終わってふらふらになって帰宅すると、家にアッコちゃんが来ていた。



それは矢野顕子の4年ぶりの新譜「akiko」。

これがすごかった。
やわらかいピアノ、チカラ強いピアノ、鼓動のようなパーカッション
鳥肌がやまなくてナミダがほろほろ出る。
矢野顕子は朝日新聞のコメントで「ケモノにもどる」っていってた。
ほんとにそうだった。


今日は朝から家のかたづけと洗濯をしながら大きい音でこれを聴く。
びりびり空気がふるえる。

前に住んでいた家でぼろぼろになった縁側にすわり
好きなピアノの曲グールドとか矢野顕子とか聴くのがよかった。
この家に越してきて、またちがった空気で聴く。
外の木々を見ながら聴く。
窓を開け放して太陽を浴びながら聴く。
とてもぜいたくだー。
好きな時間に好きな音楽を聴いて心地いいところで。



昭和歌謡もすきなのでクレイジーキャッツや小林旭も聴くけど
これも似合ったりする。


「自主独立農民という仕事」---その1

2008年07月07日 | 読む見る聴く&思う
 月に2度図書館に通っている。
昨年末からは外交~国際情勢~中東問題~中央アジア、がマイブームだった。

 今回はマイブームどころではない。

「自主独立農民という仕事」森まゆみ・著



島根県奥出雲にある木次(きすぎ)乳業の創設者・佐藤忠吉さんの生き方=仕事への考え方、この人がここまで来るにあたっての経緯が綴られている。

木次乳業では乳牛としてはメジャーであるホルスタインやジャージー種をではなく、
乳量が少なく量産にはむかないブラウンスイス種を日当りのいい中山間地の斜面に放牧して飼っている。
そして日本で初めて36℃30分殺菌のパスチャライズを生産する。


「売れなくてもいい。農民の再生産ができる価格を割るな。と考えた。」
「我々乳業メーカーはジョイントに過ぎない。
あくまで独立自営農家を育てるのが仕事だと。
農村は都市の植民地じゃありゃせんけん。消費者の奴隷にはならない。こびる必要もない。こびると必ずごまかしが入ってくる。ですからパスチャライズ牛乳は大量生産できません。」


これは自分の仕事にも同じことがいえる。


わたしは今住むこの土地に越して来てから、ゆっくりだけど大きく方向が変わって来てる。どうやってこれから行きてくかってことで。
この本に書いてあることはその後押しになった。


さあ、手始めに借りる畑に堆肥をつくるべか・・・。






ゲゲゲ考

2008年03月23日 | 読む見る聴く&思う
        

 「鬼太郎」がテレビで放映されている。
日曜の朝9時頃からと木曜深夜からと(フジ系)。
日曜は「ゲゲゲの鬼太郎」木曜は「墓場鬼太郎」。
今日はからずとも立て続けにふたつをみることがあって
う~むとうなってしまった。


わたしが小学1,2年のころ、実家に「昭和漫画家全集」があって(ハードカバーで化粧箱まであった)、親に内緒でそれを熟読していたのだが、これが優れものの全集で水木しげるをはじめ白土三平やのらくろサトウサンペイ、小島功まであった。ここで読んだ鬼太郎は貧しくて住む場所もないような存在でフリークスそのものだった。文化住宅にすむようなニンゲンたちにさげすまれ、そいつらをだまして金を巻き上げ生きている。
今思い返すと、あの墓場鬼太郎の生きている世界は今もちゃんと存在するし、わたしと鬼太郎の間に境はない。

しかしなんなんだろう、その後の鬼太郎はそういう役割をすべて悪役のねずみ男と妖怪に押し付けて鬼太郎はそいつらを退治する立場になってるじゃないか!こんな構図を墓場鬼太郎が知ったらなんていうだろう。


深夜の鬼太郎を見てほしい。イントロの曲「モノノケダンス」電気グルーブもすごくいいし鬼太郎のお父さん(人の姿をしている)が見れる。声優さんはどうやらみんな昔のままの方がやってらっしゃるようです。

正月クレイジー

2008年01月06日 | 読む見る聴く&思う
    ←おめでたい画像

正月の何が嫌いっておもしろくもないテレビをだらだらやってるってこと(BS2の昭和お笑いの特集は別格)。
堺すすむのなんでかフラメンコや玉川カルテットなどが出ていた正月はもう来ないのか。

今年はしょっぱなからラジオつけっぱなしでテレビ消しっぱなしにしてみた。
FM NHK礼賛!たのしませてもらいました。心よりお礼申し上げたい(だったらNHKの料金払えという声が聞こえるが)。


元旦の午後は大瀧詠一リマスタースペシャル4日連続。
イエローサブマリン音頭の録音逸話、美空ひばり特集などで若者にはかすりもしないメニュー。こびない内容おみごと!
この日の夜は小山田圭吾中目黒ラジオ。

2日夜はクレイジーケンバンド2時間「新春電波」。
肩の力の抜けた横山剣さんの昭和歌謡トークにくすくす笑いしつつ。
そのほかピチカートファイブの小西康陽と筒美京平ダブルDJショウ。
5日は午前も午後もゴンチチの快適音楽コレクションスペシャル。
車の移動が多い日もラジオはうれしい。出る人もゴージャスでなおうれしい。

つれあいの実家に向かってひとり車を飛ばす中、聴き込んでたCDは
クレイジー「クレイジーキャッツ ホンダラ盤」。
大瀧詠一の番組に触発されて聴き直したけど久しぶりにすごくよかった。やっぱ人生こうでなくっちゃね!
ハナちゃんの銅像姿がまた見たくなった(ハナ肇さんですよ)。

(おまけ)---------------------------
わたしが小学生の頃、お年玉やおこづかいを貯めて初めて買ったLPが大瀧詠一の「ナイアガラカレンダー」。
ほんとうは「LONG VACATION」のようなノリのいい曲を期待していた。でも買ってみたら、その当時クレイジーの要素を多く取り込み「音頭もの」にハマっていた大瀧が作ったLPで、小学生のわたしにはかなり無理のあるものだった(ガチョーン)。正直ショック。でもこれを無理して(2800円もしたから)聴き込んだおかげで、中学でクレイジー、ザ・ピーナッツなどにのめり込んだ。思えばこれが耳人生の転換期だったのかもしれない。




ケガはやってきた

2007年09月17日 | 読む見る聴く&思う
 金曜日にひどく足をひねった。
朝、さあ仕事しようと仕事場の前にひょんとジャンプしたら
そこが段差になっていて右足が外側へぐわんと曲がった。
脂汗をかくくらい痛くて、夫にレメディーを取ってきてもらった。
そのうちくるぶしがジャガイモのように腫れてきた。
うちは敷地内に段差が多く、歩くのも時間がかかる。
いつもやっている家事にも時間がかかる。


ちょうど読んでる本
細野晴臣「アンビエント・ドライヴァー」にケガのくだりがあった。
細野氏はYMO時代、超過密スケジュールをこなす日々の中いきなり足を骨折し、半年の静養を余儀なくされる。
氏はそれについて「無意識のうちに何かが整うと、よかれあしかれ何かが起こる法則があるようだ。その準備が整った状態を『受けができる』というらしい。」と書いている。

わたしは今回ねんざしたことで、スローに家事、仕事をやることになり反って自分に余裕ができた。ケガが必要だったのかもしれないし
自分で招き入れていたのかもしれない。

    
多肉植物みたいにゆっくりと育っていきたいもんです。


さてその「アンビエント・ドライヴァー」から
「横尾忠則さんによると、転ぶことは先祖のお知らせなのだという」。
横尾忠則氏も若い頃賞などとって大忙しの最中に足の骨折をしていたっけ。それも何度かやってたような。
わたしは今回のねんざがなければ次の日近所の材木整理の手伝いに行く予定だった。
重い大きい材木なども運んだりして、頭にゴツーンと当たったりしていたかもしれない。行くな、ということだったのか。



小林信彦礼賛

2007年08月06日 | 読む見る聴く&思う
 今年の4月からいつも通っていた図書館が改装、移転に伴って
7月初旬までお休みしていた。だからしばらく読むものといえば
しばらく読んでなかった文庫やマンガをソロソロと読むくらいで。
ようやくオープン。やっぱり図書館はいいなぁー無料だし。
      
 小林信彦はエッセイなど読むと「この人はわたしの分身か」と
思うほど。(わたしは常々本当の年齢は60代だと思ってるから
さもありなんだけれど。)だから読んでいてすごく痛快なんである。
政治に関しても前首相、現首相メッタ切り(東京都知事もね。)民主党の前M代表なんかも「顔が歪んでいる人は心も歪んでいる」ほうほう、くくくく。
最近とくに自分が世論から外れて少数派なんだなーと思うことが
よくある中、仲間を得たような感慨。

そして小林信彦はかなりのラジオ派である。ニュースなんてラジオの方がずっといいと言う(同感)。月~金22:00からのアクセス、ぜひ聴いてみて下さい。(月曜日はたまに田中康夫が出てて
早口でしゃべりまくります。よーく聞いていないと聞き逃します。)

エッセイにはよく戦争中のことが体験談としてよく出て来る。
小学生高学年で多感な時期のするどい視線で見て感じたことを
今、小林信彦は淡々と書く(小説では「東京少年」)。こういう話って最近出てこない気がする。(8月上旬だけはよく出て来るけど)
とても読みやすくリアリティー感じる文で、こういう文章を書く人がもっといてほしいんだけど。


↑これも小林信彦著。「天才伝説横山やすし」
ぜひご一読を!名著です。

昭和歌謡命

2007年05月24日 | 読む見る聴く&思う
     アキ・カウリスマキ監督
                   「過去のない男」

 映画館にはなかなか行けずBSに頼るのだけれど
それは最近ちょっとレパートリーがいいからだ。
トリュフォーも連続してやってるし。
この「過去のない男」も先週やってた。

カウリスマキは好きだ。
淡々と切り取りを並べるように話がつづく。
単純なように見える中になんだかほおずりしたくなるようなものが
ある。

「過去のない男」---誰かに殴られたかして記憶がなくなった男が
気がついたらいたその土地に住み、その土地の人と話し関わる。
あらずじを話すとものすごく単純なのでやめとくけど
男が電車(汽車か)に乗り食堂車で夕食をとるくだりで
寿司と日本酒が出るのだ。(マイ箸出して食べるし)
バックには昭和歌謡(ムード歌謡)がわびしく流れる。
思わず音量を上げ、じっくり。

エンディングをスロ-にして先程のムード歌謡は誰だろう?
とチェックしていたら「Motto Wasabi   Onose Masao」と出た。
ずっこけた。(死語)
さらにチェックしていると「Hawaii  No Yoru    CrazyKenBand」。

この映画の公式HPを見てみたらなんとカウリスマキは
フィンランドで一番のクレイジーケンバンドのファンらしいのだ。
そうか、そうか、と夜一人でなんだか温かいものが
心に満たされてゆくのを感じた。


さてCKBも好きは好きなんだけれど、もともとの昭和歌謡は
どういう訳かすらすら唄えてしまうのだ。
ラジオから聴こえて来ると胸が弾む。たまには涙も。
もしかしたら戦前の生まれと友人がいうのも
本当なのかもしれない。