彦四郎の中国生活

中国滞在記

講演「私の目に映った中国の実像」―中国という国の「本質」を、歴史的視野から理解することの重要さ

2023-08-08 18:25:00 | 滞在記

 7月22日(土)午後2時〜4時、京都府八幡市の「さくらであい館」で講演を行った。講演テーマは「私の目に映った中国の実像—中国人、中国社会、そして中国という国」。八幡市民文化サロンが主催している講演会で、八幡市教育委員会が後援をしている。講演会当日の参加者は40人ほど。1時間30分ほど私が話し、30分間ほどの質疑応答という形ですすめられた。講演内容は主に次の5つにわたった。

 ①中国の大学、及び中国の教育のこと(小中、高校入試・大学入試[高考]の苛烈さ)、②中国人という民族のこと(自己人[熱き相互扶助]と外人[冷淡さ]の人間関係の中で生きる)、③中国社会のこと(人々の生きるためのエネルギー熱の高さと大きな不安—中国社会を一言で形容すれば、「社会・人々の生活の"アンバランスさやギャップ」)、④中国共産党政権下の「中国」という国のこと、⑤ロシアという国、中国とロシアの「"国家に関する国民意識や政治に関する国民意識にはある共通性が"についての歴史的に考察する」。

 昨年の2022年4月に福井県鯖江市で行った講演会の内容とほぼ同じような内容なのだが、今回は特に、「中国という国の本質」を歴史的にも考察し、「なぜ中国は、今こうなのか…」「なぜ中国の人々は、70年以上にわたる中国共産党政権を容認しているのか‥」など、中国という国の、政治と民衆の意識、そして、民族性についてより詳しく講演をした。

 「中国人という人々の民族性と中国社会、中国という国」の本質を基本的に理解しておかないと、これから中国はどのようにすんでいくのか、その外交政策などなどのことを予測することはできない。中国という国をどうみるか、その際にとても参考になる日本人東洋史学研究者として、内藤湖南と宮崎市定がいる。内藤湖南の『唐宋変革論」』や『支那論』や『新支那論』は、100年以上を経た現在でも、中国の本質を考察する上では重要な示唆を与え続ける中国論だ。また、内藤湖南を師とした宮崎市定の『雍正帝王』(1950年代に出版)もまた、中国論としては示唆に富む。

 この二人の中国論のエッセンスを講演でも紹介し、現代中国をどのように見ていく必要があるかということも話をした。

■NHKBSプレミアムでは、2022年の「英雄たちの選択」で、内藤湖南が取り上げられた。また、宮崎市定は、BSの番組「中国英雄伝説」(ナビゲーター・佐々木蔵之介)で取り上げられた。

■7月7日(火)、立命館大学に久しぶりに行く。立命館大学大学院研修員(毎年更新)に籍を置いているので、今年度の研修員証明カードを大学院事務室で受け取り、図書館に入る。研修員の場合、この図書館では一度に100冊の書籍を2カ月間期限で借りることが可能だ。

■日本に6月下旬に帰国して—7月8日(土)の夕方から、京都府京田辺市内の居酒屋で、小森さん・鈴木さん・花田さんの3人とともに飲みながら、さまざまなことについて語りあった。■7月27日(木)の夜、祇園の居酒屋「侘助(わびすけ)」にて、閩江大学の教え子・任さん(大阪大学大学院博士課程)と飲食する。

■—7月20日(木)の昼、京都市内の四条河原町のファミレスで、亀田さん(ウズベキスタン国、サマルカンド国立外国語大学教員)、堀部さん(中国の大学の教員)と会って話す。8月5日(土)の昼過ぎにも、京都駅構内の喫茶店で、亀田さん、堀部さんと再び会って話した。この日には、約10年間、中国の西安の大学(西安外国語大学や西安交通大学など)で教員をし、日本に帰国後、京都府立高校の教員をしている奥野さん(中国人女性と結婚し日本にて共に現在暮らす。)も参加した。■8月7日(月)、昨年10月からの約1年間、日本政府による国費で現在、京都大学に留学中の、閩江大学学生(9月から4回生)の呉さんと、侘助にて飲食。

■この1か月間余りで、たくさんの本を読んだが、①『迷宮の月』(安部龍太郎著)―遣唐使を描く、②『もののふの国』(天野純希著)の二冊は、とても優れた歴史小説だった。(※天野純希[1979年生]は44歳と若いが、とても優れた歴史小説作家だ。) この二人の歴史小説家、丹念に史実を調べ学び、真摯に作品づくりを行っている。そして描く確かな筆の力。

■今年の1月から始まったNHK大河ドラマ「どうする家康」。たまに視聴することがあるが、なんとも、脚本や演出が低俗だと思う。最近発表された視聴率でも、NHK大河ドラマ史上、最も低い視聴率を推移しているようだ。(これまでの大河ドラマ史上、最も低い視聴率だったのは、数年前に放映された「いだてん」(原作・脚本は宮藤官九郎氏)だったが、それをさらに下回るワースト1視聴率になりそうだ。10%~11%の平均視聴率/7月には7.2%の週もあった。放映の打ち切りもささやかれているとも揶揄されている「どうする家康」だが、「どうするNHK」とも、やはり言いたくもなる。)

 この視聴率低迷の最大の原因は、前述した「ドラマの低俗性」にある。原作・脚本を担当しているのは古沢良太氏(50歳)だが、一言で言って、「歴史の史実に対するなめ切った態度」を強く感じてしまう人物だ。「恥を知れ」とも言いたくなる。