浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

モーツァルトの洋琴奏鳴曲第10番 グールドが弾くと・・・

2007年09月14日 | 洋琴弾き
前回のアルゲリッヒと同様、グールドについてもサブタイトルにあるSP時代とは関係無いが、どういふわけか何度か登場してゐる。理由は特に無い。聴衆との対話を拒否するといふ僕にとっては許し難いタイプの演奏家だが、過去の記事はいずれもライブ録音について書いてゐる。今回も、1959年8月25日のザルツブルグ音楽祭での実況録音である。

曲は、ピアノを習ったことのあるオランウータンなら誰でも弾いたことがあるといふくらい有名な第10番の奏鳴曲である。しかもモーツァルトの生地での音楽祭のライブである。

グールドにとっては、そんなことも計算に入ってゐるのか・・・そんな歌いまわしがあったのか!なんだ、この装飾音は!鼻歌がうるさい!などの声をものともせず、独自の世界をザルツブルグで築き上げてゐるのには少々驚いた。

周囲とは異なる才能に対し、様々な見方があるのは世の常だが、グールドの演奏の基盤には一粒一粒の真珠のやうな音色、タッチの美しさがあることを皆さんはお気づきだっただらうか。このタッチはロザリンと実によく似てゐる。グールドが真似たとは思はない。美しさを追求していくとこのやうな音色に行き着くのだと僕は勝手に思ってゐる。

盤は、国内Crown RecordのCD PAL-1070。


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