浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ラザール・レヴィの自作自演「ワルツ」

2011年06月03日 | もう一つの顔
僕の最も好きな洋琴家の一人、ラザール・レヴィの自作自演が残されてゐる。しかも国内録音である。世界中のコレクターの垂涎の的であるSP盤、SD-55は我が國Victorが製作したレコヲドなのである。ただし、戦後の貧國が作ったレコヲドである。1950年の録音にしては貧しい音なのはシェラック不足を補う為のダンボール混じりの粗悪な盤質によるものであろう。

レヴィの國内録音は8曲あるようだが、其の中で最も長い曲が此の作品である。実際には自作のワルツを適当に続けて弾いてゐるやうな感じであるが、冒頭部はアレンスキーのワルツを思わせる伴奏に乗ってコミカルな動きの旋律が奔放に踊る。続けて演奏されるのはシューベルト風のゼクエンツを交えた軽快なワルツである。その後ドビュッシー風のワルツも聴こえてくるが、何処から何処までが一つの作品として書かれたものなのか、僕には分からない。ワルツ組曲のやうでいて、最後にはちゃんと冒頭部が再現されてまとまりを付けてゐる。

そう云へば、ザイデルホッファー教授に習った友人TUも自作のワルツを持ってゐたことをふと想い出した。学生時代、阪神大震災で倒壊してしまった今はなき実家にTUが遊びによく来た。其の際に録音したオープンリールのテープが今でも残ってゐるが、丁度こんな感じで気軽にお楽しみとして弾いてゐたのを懐かしく想い出す。

しかし、SD盤の復刻に耳が馴染むには蝋管レコヲドなどで耳を鍛えておく必要がある。

盤は、國内Green DoorによるSP復刻CD GDCS-0034。


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