浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

イグナーツ・フリードマンによるショパン「エチュード」4曲

2007年08月24日 | 洋琴弾き
久々にフリードマンのCDを取り出して聴いてゐる。フリードマンのショパンには気味の良い痛快さと、現代では聴くことのできない生きた浪漫派の歌いまわしがあり魅力的だ。「革命」と作品10-7及び変ト長調の「てふてふ」と「黒鍵」の2曲ずつをそれぞれ1セッションで録音してゐる。

ホロヴィッツの打鍵の力強さや類を見ない弱音の魅力にとりつかれた人は多いだらう。フリードマンにはそれに加えて、音楽の運びやメリハリの付け方に独特の味わいを持ち、比較できる洋琴弾きは居ない。ヴィルトゥオージティだけでなく、洋琴をオーケストラのやうに豪快に響かせてダイナミックスの幅を最大限に拡大していく。そしてそういった確かなテクニックに基づいた上で独自の歌の世界を持った奏者が戦前までは大勢居たのである。

「革命」や作品10-7ではテクニックの冴えを存分に楽しめる。変ト長調の2曲ではフリードマンの奔放なデフォルメを聴くことができて、いずれも大変有意義だ。

盤は、英國AppianによるSP復刻CD APR 5508。


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