浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ロチェスターの想い出蘇るハンソンの交響曲第1番

2007年08月23日 | 自作自演
僕は3年弱、ロチェスターといふ美しい街に住んだ経験がある。幼稚園時代の幼い記憶は全てこの街での出来事ばかりである。当時の大統領は歴史上の人となったJFケネディーであった。そんな僕が、懐かしさを強く感じるものが幾つかある。

ラムレーズンやシナモンの香りに満ちたデパートのお菓子売り場、ヒッコリーの木の実、クリスマスやハロウィンの様子を映し出すアメリカ映画のシーン、親父愛用の流線型のダッヂ、それとどこかで聴いてゐたであらう米國の音楽。

そんな僕にとって、同じ時期に同じ街で同じ空気を吸ってゐたハンソンといふ作曲家の作品は特別な存在だ。イーストマン音楽院の学長を務め、ロチェスターフィルハーモニーを振って自作の交響曲を数多く録音した米國の人気作曲家、ハワード・ハンソンである。彼は、85年の生涯に7つの交響曲を書いてゐて、シベリウスと比較されることが多い。しかし、北欧の血が混じってゐるといふだけで特に根拠がある訳でもなささうだ。

第1交響曲の名は「ノルディック」だが、第2楽章など、亜米利加の懐かしい想い出が蘇る曲想で、ちっとも「北欧的」ではないと僕は感じてゐる。第1交響曲、第2交響曲ともに緩徐楽章の雰囲気がとても良い。また、各楽章が短く、物語風にまとめられてゐて大変とっつきやすい。少し吹奏樂的な薄っぺらな響きが玉に瑕だが、どうせ、イーストマンウィンドアンサンブルに絃を付けてフィルハーモニーに仕立て上げたのだらうから、これは仕方の無いことかも知れない。

盤は、英國BiddulphによるSP復刻CD WHL038。


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