浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ハンス・プフィッツナー/伯林フィルによるベートーヴェン第8番

2007年06月01日 | もう一つの顔
フルトヴェングラーが高く評価した作曲家プフィッツナーは、指揮者としても格別な仕事を残してゐる。このことは以前にもベートーヴェンの第1交響曲で取り上げたが、今日は第8番を聴いてゐる。

ポリドールの3枚組のSP盤から復刻した私家版のCDを鳴らしてゐるが、我ながらなかなかの音質だと聴き入ってゐる。

演奏は、当時の伯林フィルハーモニーの重厚な響きの中、独特な間合いを持って展開されていく。曲の構築美をくっきりと浮き立たせた名演で、作曲家の眼による分析から生まれた解釈だといふことは直感的に感じる。動機、対位法、形式などが、誰の耳にも明らかに感じ取れるやうに、分かりやすく表現されるので、古い演奏であるにもかかわらず新しい感覚を覚える。

ワインガルトナーやフルトヴェングラーの陰に隠れがちで、既に忘れられた指揮者は数多く居るが、プフィッツナーやローターなどの演奏を聴くにつけ、戦前の独逸の音楽界は実に高い次元にあったことが窺える。

盤は、独逸PolydorのSP盤 45022-4 私家版復刻CD 復刻堂765-0010OR。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。