浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ショパンの名曲「タランテラ」 フランソワ節で愉しむ

2010年08月20日 | 洋琴弾き
昔、ショパンの一風変わった作品を集めたアルバム(楽譜)を手にして、先ずフーガの存在に驚いた。其のレコヲドが在る事に更に驚いたものだ。ショパンの手書き譜を譲り受けたといふヤノータによる録音のことである。其のアルバムの中で最も気に入って我流で弾いて愉しんだ曲が「タランテラ」である。

今宵は寝苦しく、深夜に目が覚めた。そしてCD棚を探して此のアルバムを手にした。フランソワによるショパン全集である。其の中から第3枚目のCDを取り出したが、お目当てはタランテラだ。一つ前のトラックには中田喜直の旋律をもとにショパンがラヂヲ体操の為に作曲したことで知られてゐる「幻想曲」も収められてゐる。

久々に聴くタランテラではあるが、フランソワの演奏は今回が初めてである(恐らく初めてではなく、単にアルチュウハイマーによって忘れてゐるだけの可能性は80%以上である)。冒頭はパラパラした指さばきによって順当に進められていく。主題反復が終わると52小節目から突然フランソワ節が登場する。装飾音のちょっとした扱い一つで雰囲気は一変するものだ。半音階進行の多様による浮遊感はなんとも心地よい。其処へこのやうな酔いどれフランソワの千鳥足が混入すると、正に期待通り!と拍手をしたくなる。

フランソワの遊び心、歌心、酔心に乾杯!

盤は、仏蘭西EMIによるリマスタリングCD 7243 5 74457 2。


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