浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ウェルナー・エックの「魔法の提琴」自作自演

2008年06月04日 | 自作自演
カール・オルフの弟子、ウェルナーエックは僕の学生時代に独逸で現役として活躍してゐた作曲家である。1935年にフランクフルトアムマインで初演された彼の最初の歌劇「魔法の提琴」から「スパニョーラ」を自作自演盤で聴いてゐる。

1935年と言へばフルトヴェングラーの全盛期だが、戦前の独逸にこのやうな平和な明るい音楽が生み出される風土があったのかと思ふと少々意外である。戦後は伯林ホッホシューレの校長を務めた教育者でもある彼の作風は、調性に基づいた極めて明快なもので決して難解ではない。

この「スパニョーラ」はボレロのリズムに乗って華やいだ雰囲気が楽しめる。ヒットラーにかかれば退廃音楽のレッテルを貼られそうだが、実際のところはどうなのか知らない。この作品は、一度聴くとその個性は忘れられないものとしてきっと脳みそに焼きつくことだらう。

その作風は同時代のフォルトナーらとは異なり、アイネムなどと同様、保守的に聴こえるのだが、歴史上は「改革派」と位置付けられてゐて、僕には納得できない。演奏は伯林放送交響樂團で、エック70歳のときの録音である。

盤は、独逸Berlin ClassicsによるCD 00920928C。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。