浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

カール・ヘラーのセロ協奏曲第2番

2008年06月03日 | 忘れられた作品作曲家
カール・へラーはミュンヘン音楽大学の学長を務めた作曲家で、浪漫派の影を残した作風である。今宵はヘラーのセロ協奏曲第2番を、世界初演のときの演奏と思しきライブ録音で聴いてゐる。指揮は戦後復帰を果たしたフルトヴェングラーである。

フルトヴェングラーは、クラランのヴィラ・ランベルール(別荘)からへラーに宛てた手紙の中で、この作品を高く評価してゐる。全体の様式も、管絃樂の扱い方に於いても、進歩の跡が著しいと褒め、成熟した傑作の一例と讃えてゐる。また、この独奏を受け持ったルートウィッヒ・ヘルシャーの演奏についても実に見事だったとし、ヘルシャーが海外で演奏することを期待する気持ちも伝えてゐる。

フルトヴェングラーは自らも作曲家と名乗り、同時代の作品に厳しい目を向けることが多かった。ヒンデミットやR・シュトラウスに関しても、ときには辛口な評価を口にしてゐたことを考えると、へラーに対する高い評価は単なる社交辞令とは考えにくい。独逸的なものへのこだわりのある聴き手には、へラーの音楽は受け入れられるだらう。その独逸的に感ずる部分がなんなのかと尋ねられれば答えられないが、なんとなくそう思ふ。

演奏は、1949年の伯林でのライブ録音、オケは伯林フィルハーモニー。

盤は、伊太利亜OriginalsによるリマスタリングCD SH834。


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