浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

久しぶりに落ち着いてマルセル・メイエルのシャブリエを愉しむ

2007年04月24日 | 洋琴弾き
マルセル・メイエルは仏蘭西の洋琴家で、LP時代にいくつかの名盤を残したが、忘れられた過去の人だ。自ら洋琴弾きとして活躍した作曲家プーランクも彼女に作品を献呈してゐる。

メイエルが得意のシャブリエを弾いたレコヲドアルバムがある。録音はメイエル晩年の1950年代のものだが、スタインウェイが鋭く突き刺さるやうに響くかと思へば、いたって繊細なタッチも聴くことができる。

シャブリエの洋琴作品は素晴らしいものが多いのだが、知名度は依然として低い。ハバネラや洋琴の為の5つの小品から「朝の歌」「バラビル」「田舎風ロンド」は実に洒落た素晴らしい作品だ。「エア・ド・バレエ」もシャミナードには敵わぬがなかなか良い。「楽しい行進曲」は編曲版で有名だ。絵のやうな風景の「牧歌」「村人の踊り」は好きな作品だが、メイエルのテンポ設定は今までの誰よりも速い。

仏蘭西近代の洋琴曲作家として、シャブリエは欠かすことのできない存在である。メイエルの演奏はやや硬質の音色だが、シャブリエのエスプリをよく伝えてゐる。作曲家プーランクとのデュエットも収められてゐるので、機会を改めてご紹介しやうと思ふ。

盤は、仏蘭西EMIのCD 0946 351825 2。


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