Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

ゼロ・ダーク・サーティ

2013-03-05 17:33:20 | 映画
今回は映画「ゼロ・ダーク・サーティ」について。



監督はハートロッカーのキャスリンビグロー。テーマは「ビンラディン殺害」。もう映画にしてしまうあたり、アメリカだなぁって感じます。アカデミー賞でもノミネートされていたので、興味もあり観に行ってきました。

ここで内容を・・・


ビンラディンの行方を追うものの、的確な情報を得られずにいる捜索チーム。そこへ、人並み外れた情報収集力と分析力を誇るCIAアナリストのマヤ(ジェシカ・チャスティン)が加わることに。しかし、巨額の予算を投入した捜査は一向に進展せず、世界各国で新たな血が次々と流されていく。そんな中、同僚の一人が自爆テロの犠牲となって命を落としてしまう。それを機に、マヤの中でビンラディン捕獲という職務が狂気じみた執心へと変貌。ついに、彼が身を隠している場所を特定することに成功するが……。

事実や証言に基づいて作製されている作品なので退屈になってしまうかなと思っていましたが、なかなかうまく作っていて緊迫感もあり、僕は長さ(約3時間くらい)についてはあんまり気になりませんでした。

そもそも9.11のテロの首謀者としてその存在を追うことがアメリカの目的になって、必死なことが非常によくわかります。ここではアメリカは「テロの被害者」という位置づけになっています。でも、考えてみればテロをおこさせてしまうようなことをアメリカはしてきているので、この映画はあくまでもアメリカ側から見たイスラム過激派が描かれます。拷問なども行われていて、ここもよく描かれていました。

様々な情報の中で、埋もれていたもっとも重要なことを見つけてから映画は大きく動いていきます。ビンラディン自体を確認することなく突入していくとは、アメリカもすごいですね。そして、潜伏していた家にステルス機能を持ったヘリで行くのですが、その内の1機が墜落してしまうなんて、映画っぽいですよね(笑)。でもこれも本当の話のようです。

ビンラディンを倒してから、主人公がラストに流す涙が非常に印象的にうつりました。

喜びではなく、何かがひっかかっているような、虚無感のような、不思議な表情で終わるラスト。

人が人を殺すということに、大義は無いのではないかなと感じました。ビンラディンを殺す時にいた複数の子供たちがまたアメリカに対して、復讐心を持つことは確実のように思います。

こんなに考えさせられるように、演出している監督の手腕はすごいと感じました。単にアメリカを正当化するだけの映画ではないと僕は思いました。

興味があれば、ぜひご覧になってみてください。

にしても、この監督、前作と言い今回と言い、かなり骨太な作品を作るのが得意なんですねぇ。ジェームスキャメロンは本当に強い女性が好きなんだな(彼女は元の奥さん)と感じました(笑)。