Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

アデル・ブルーは熱い色

2014-04-21 14:43:59 | Weblog
今回は映画「アデル・ブルーは熱い色」について。




カンヌ映画祭でパルムドールを監督と主演女優二人に与えられたという、異例の映画なんですね。

レズビアンのカップルの映画ということで、ゲイの僕が観ないわけにはいきません(笑)。


ここで、内容を・・・



教師を夢見る高校生アデル(アデル・エグザルコプロス)は、運命的に出会った青い髪の画家エマ(レア・セドゥ)の知性や独特の雰囲気に魅了され、二人は情熱的に愛し合うようになる。数年後、念願の教師になったアデルは自らをモデルに絵を描くエマと一緒に住み、幸せに満ちあふれた毎日を過ごしていた。しかしエマの作品披露パーティーをきっかけに、二人の気持ちは徐々に擦れ違っていき……。


と書いてあります(笑)。



この映画、3時間くらいあるのですが、さほど長さを僕は感じませんでした。

そして、観終わってみると、レズビアンですが、普通の恋愛映画なんだなぁと思ったんです。

運命的にであって、すぐに惹かれあい、レズということから、お互いの両親に会う時には、友達として紹介したり(この辺はゲイの僕たちも一緒ですが)しますが愛を育むあたりは、普通の恋愛映画。そのSEXシーンが話題になりましたが、本当にすごい(笑)。女優さんってすごなぁとただ感心するばかり。いわゆるAV(ノンケ用)にあるレズシーンとは全く違う、リアルなレズビアンのセックスがそこにはあって、その映像にはただ、息をのむばかり。レズのセックスは終わりが無い(笑)。その点ゲイはお互いイっちゃえば終了ですからね。

時間の経過もうまく表現されていると思いました。最初高校生だったアデルも教師になっていって、その大人になっていく感じもとてもうまかったと思います。

そして、アデルがエマの仕事が忙しく家を空けるようになるところから、二人の関係が変わっていくんです。エマと仲良くしている友人の女性(妊娠しています)との関係に焦りを感じ、孤独を感じたアデルは同量の男性と関係を持ってしまいます。それに執拗に怒るエマ。必死に許しを請うアデルですが、エマの気持ちは変わりません。

家を追い出されてしまうのです。

ここで、おもったのですが、もともとアデルがエマにであったときには、エマにつきあっている人がいたんですよね。たぶんその人と分かれて、アデルと付き合ったのですが、付き合う前に、二股状態だったのはエマも同じなのでは、と思いました。

分かれて、3年後に合う二人の様子が、切なくて。

アデルはずっとエマのこと好きだったので、その気持ちがよく伝わるシーンです。

3時間もあるし、レズの映画だし、フランス語だし、よほど好きな人じゃないと観ない映画だと思いますが、劇場で一人でみることをお勧めします。

にしても、レズのセックス、すごすぎです。

フルートベール駅で

2014-04-21 14:43:23 | 映画
今回は映画「フルートベール駅で」について。



この作品は事実をもとに描かれている作品です。2009年1月1日に実際に起きた、黒人青年を警官が射殺してしまった事件についてです。ニュースを見ていたのですが、その裏にある背景などを知ると、この事件の理不尽さやいまだにある人種差別の実態を感じずにはいられません。


ここで内容を・・・



2009年、新年を迎えたサンフランシスコのフルートベール駅。多くの人が入り乱れるホームで、22歳の黒人青年オスカー・グラント(マイケル・B・ジョーダン)が銃で撃たれてこの世を去る。命を失ったオスカーにとって、母の誕生日を祝い、娘と遊び、家族や友人と過ごしたいつもの日常が、悲しいことに最後の日となってしまった。


と書いてあります。




オスカーはちゃんとした人間になりたかったのに、それを許さなかった「貧困」と「格差」。自ら、麻薬がらみの罪を認め刑務所に入ったのに、刑務所内では、「仲間を売った」と喧嘩を売られ、出所して職に就こうを思えば、代わりの人がいるので雇えないと言われ、結局麻薬がらみでお金を得るしかないという現実。それでも、妻と約束したように、麻薬の売人に再びなることは無く、売買の寸前で、海に麻薬を捨ててしまうオスカーの姿に、野良犬が車に引かれて、誰も助けようとしないのに、自分が助けようとするオスカーの姿に、「格差や貧困によって、こんなにまっとうになろうとしている人間を救えないのか」という切ない気持ちが出てきます。

オスカーのお母さんを演じている、オクタヴィア・スペンサーがとてもうまいんですよ。息子のこと本当に心配している姿が。刑務所で息子と面会している時に、相手の挑発にのってしまった息子を「何にもかわっていない」と言って、出ていくシーンは親の気持ちがすごくよく出ていると思いました。


電車の中で、オスカーを挑発したのは白人なのに、その白人は警察に捕まらず、黒人だけが電車から降ろされ、拘束され、状況を説明しようとすると、殴られたり。



黒人に対する、差別的な感情がやはり、この事件の根底にはあると思うのです。そして、それを大きくしているのが、貧困なのでしょうね。黒人などは勉強の機会や、良い就職などもなく、ドラッグや麻薬、ギャングなどがすぐそばにあって、いつでも足を踏み入れることができる環境にあるのが、この問題を大きくしているのだと思いました。

「それでも夜は明ける」は過去の話でしたが、現代でも差別は大きな問題であることを改めて思いました。

興味がある方はご覧になってみてください。