Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

ヒッチコック

2013-04-21 11:06:19 | 映画
今回は映画「ヒッチコック」について。



これはなんといっても、アンソニーホプキンスが特殊メイクと太る役作りで本物のヒッチコックにそっくりになっているところがミソ(笑)それと、映画「サイコ」がどのようにできていったのかがわかるというところも観たいと思った点でした。あとは、ヒッチコックを支えていた奥さんをヘレンミレンが演じるのも、観たい理由でした。


ここで内容を・・・


1959年、作品の高評価とは裏腹に監督としてはアカデミー賞に縁遠かったアルフレッド・ヒッチコック(アンソニー・ホプキンス)は、後にサスペンス映画の金字塔と称される『サイコ』の製作に着手。しかし独創的かつ奇抜であるがゆえに資金繰りは難航し、数々の困難に見舞われてしまう。さらに、常に彼を支え続けてきた最大の理解者である妻アルマ(ヘレン・ミレン)との関係までほころびが生じてきて……。


と書いてあります(笑)。


映画が終わって、「サイコ」ってこうやってできたのかぁって思って、もう1度サイコを見直してみたくなりました。

そもそもヒッチコックは才能はあるのに、コンプレックスがたくさんあったり、ブロンド美女に偏熱的であったり、殺人に倒錯気味だったりと、ちょっと変わった人物だったんですね。サイコに固執していくのもそのあたりが理由でした。このサイコのモデルになったのは殺人鬼のエド・ゲイン。彼が映画の中でヒッチコックの心の声として様々な場面であらわれてくる演出も面白かったですね。ちなみにこのエド・ゲインは映画「悪魔のいけにえ」のモデルにもなっているくらいの殺人鬼(笑)。彼が映画のオープニングで殺人をする場面、テレビシリーズのヒッチコック劇場のような演出でヒッチコックが登場してくるのも、テレビシリーズを観ていた人たちにとっては、おもしろい演出です。ちなみに、ラストの演出もなかなか秀逸ですから、期待してください(笑)。

アルマが浮気してるのでは、と疑っていくあたり、女優たちの着替えを壁の穴からみてるあたり、サイコの主人公ノーマンのようで、「壁の穴が見る側の方が大きく空いているのはなぜ」とスカーレットヨハンソン演じる女優ジャネットリーに尋ねられるのですが、「それは、いろんな角度からみたいから」と即答するヒッチコック。いつも女優の姿をそうやって壁越しにみていたからわかるっていう演出なんですね。おもしろい。

サイコの有名なシャワーのシーンですが、ここにもヒッチコックのこだわりがあって、ナイフをふるスタントマンにダメだしして、自らおこなうんですよね。ジャネットを本当に殺す(というか、犯す?)ことが目的のようにふるまうヒッチコックにその異常さが垣間見れるところです。

主演女優達を大きく飛躍させることが、ヒッチコックの目的だとわかる場面も描かれています。ジェシカ・ピール演じる女優ヴェラ・マイルズとヒッチコックの会話で、有名にさせてやろうとしたが、君がそれを望まなかった(彼女は結婚していて、人気が出たところで妊娠した)と怒る場面が出てます。これもヒッチコックにしてみれば、自分の思い通りにならない女性に対してのきびしさみたいなものが現れています。

アルマもヒッチコックのことは才能があって好きなのですが、自分のことをもっと大事にしてもらいたいと思っている感じがしました。だから、友人の脚本家であるウィットと共同で脚本を書くあたりは、なんだかうれしそうな場面もあります。でも、ウィットが本当に他の女性と浮気(ウィットには奥さんがいます)しているところ見たアルマはショックをうけるんですよね。ここ、「やっぱ、ちょっと浮気心があったのかも」と思わせる演出です。


そんなこんなでなんとか進んだサイコですが、最初のできあがりはあんまりおもしろくないものだったみたいです。そこで、奥さんであるアルマが最後に編集の作業に加わって、今僕たちがよく知っているあの「サイコ」になったということがわかりました。いわば、彼女のおかげで最高の映画になったんです。


ちなみにこの映画の監督、調べたらトムハンクスの「ターミナル」を撮った人だったんです。あの作品もすごく好きな映画ですが、今回の演出もどこかにユーモアがあって、楽しい映画になっていました。

映画ファンなら、観ても損はない作品だと思いますよ。