Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

おろち(ネタバレ注意)

2008-09-30 13:55:04 | Weblog
今回は、今公開している「おろち」について。

前回の赤んぼ少女もそうでしたが、このおろちも梅図かずおの漫画が原作です。映画のできからすれば、この「おろち」はすごくよくできています。タマミはB級のスプラッターですが、こっちは人間の情や欲などを描いていて、ホラーという感じではありません。脚本もよくできています。セットもきれいだし、時代考証もしっかりされているから、みていてその世界にどんどんひきこまれてしまいます。ただ、「おろち」のことをうまく理解できるかが、この話をおもしろく感じるかどうかだと思います。

ここで、内容を少し。

ある有名大女優の双子の娘。どちらもすごくかわいいのですが、なぜか姉のほうにのみつらくあたる母親。その家にはとてもつらい事実があったのです。その家の女性たちはみな「29歳」になったときから、顔や体にあざやできものができ始め、どんどん体が崩れていくというもの。その家にたまたま雨風をしのごうと入ってきた「おろち」はその姉妹のことを見守ることをきめます。家政婦としてはたらいていたおろちですが、ついにお母さんに29歳がおとずれ、その兆候があらわれます。それを機にこの女優は引退し、酒びたりとなって車での事故をおこします。これをふせいだのが「おろち」しかしそのせいで、おろちは100年に一度のふかい眠りについてしまうのです。

20年がすぎて、おろちはひとり身寄りのない少女として目覚めます。そこへ20年経って、あの双子の妹が現れるのです。女優である姉の世話をしてもらえないかと。
20年ぶりにあう姉はあのときのお母さんそっくりに成長しています。
しかし、顔もくずれ、精神も病んだ母が死の間際に妹に事実を告げます。ここから、事態は一変します。妹は実は本当の子ではなかったのだという事実。姉は妹になぐるけるの暴行を働くようになります。「自分だけはきれいなまま」だから。
でも、その世話をするという約束で連れてきた娘を使って姉を治療しようとしていたことがわかるのですが・・・・

女優の演技もすごいので、機会があったらごらんになってみてください。お勧めします。

ここからはネタバレです。




この少女を殺して、姉の血と入れ替えれば、治ると確信している妹は祖母の主治医で今は執事の男とともに、入れ替えをするのですが少女が血液型を偽っていたため、失敗。半狂乱になった姉は自分の顔を火かき棒で自分の顔を焼いてしまいます。妹までも殺そうとするのですが、そこに少女の体からぬけた本当の「おろち」があらわれ、妹を救います。

しかし、実はここからが本当の恐さがはじまります。

姉はそれいらい、精神をやんですっかり子供のようになってしまうのです。そこへ妹がやってきて手袋をはずしながら、こういいます。「ほら、お姉さま、ついにはじまったわ」。そう実は本当の子ではなかったのは「姉」だったのです。母の死の間際に事実をきかされた妹は、姉にウソをついていたのです。ほんとうの子ではないと知って、自分を見失い階段からみずから落ちて自殺した姉。みにくく変形した妹。人間の欲深さがおこした悲劇。



じつによくできた話だと思います。日本映画のホラーはどうしても、貞子路線だったのですが、これはまったく違うアプローチ。
おもしろかったです。観客はまばらでしたが(笑)。

そうそう、この映画山本太郎が出ています。あの人って、どうもゲイに見えるのはぼくだけでしょうか(笑)。