梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

沼津でした

2010年07月18日 | 芝居
静岡2カ所目、<沼津市民文化センター>での2回公演でした。

沼津は江戸時代よりの鰻の産地で、名物だったそうですね。そんなわけで、今日もご当地グルメを堪能。
「冨久家」さんのうな重を頂きましたが、ふっくらと蒸し上がった身がタレの香ばしさに包まれて大感激の美味しさ! 大満足大満腹でございましたが、夜の部『七段目』の仲居は、帯がチョイと苦しくて困りました。

その仲居ですが、昔お伝えしたこともございますが、東京式のやりかたですと帯の結び方が短めの“柳”、関西式は“角出し”になることが多いです。
今回も柳ですが、帯揚げ、蹴出し(裾よけ)が緋縮緬となりまして、より色気のある拵えとなっています。
浅葱縮緬のこともございますが、昔は赤の方が多かったそうです。今回は古い先輩のご進言で昔の通りになりました。
6世歌右衛門の大旦那がお軽をなさっていたころなどは、仲居役にも錚々たる先輩方がお出になっていらしたそうです。眉を描かず、やや年かさの雰囲気でお勤めになった方もいらしたと、先輩から伺いましたが、これなどは、最近はまず見られないなさり方ですね。やるやらないは別として、覚えておきたいことだと思います。

幕開きの仲居はこの度初めて勉強させて頂いておりますが、研修中に、中村吉之丞師より台詞やこなしなどを教わりました。そのときのことを思い出しながら勤めておりますが、『重の井』でもそうですけれど、幕開きというのはそのお芝居の雰囲気を作りますので、身が引き締まります。といって固くなっては『七段目』でなくなってしまいますからね。トッテンチンリン トッテンチンリン…の「踊り地」という下座の、あのウキウキした感じ。ただそれだけです。

最新の画像もっと見る